お酒で腸内環境悪化? 飲まない「ソバーキュリアス」が流行中。

Beauty 2021.11.26

桐村里紗

前回は、サステイナブルなお酒との付き合い方や、醸造酒の選び方についてお伝えしました。

間違った付き合い方をすると腸内環境も身体も悪化させ、精神にも影響するのがお酒です。
また、最近流行のアルコールの中には危険なタイプもあります。

あえて飲まない「ソバーキュリアス」が増加中

お酒のリスクを踏まえて、アメリカを中心に、お酒は飲めるけどあえて飲まない「ソバーキュリアス」が広がっています。
Sober=シラフの、酔っていない
Curious=好奇心旺盛な
から作られた造語です。

アルコール分を含まなくてもテイストが楽しめるノンアルコールのモクテルやビールにスイッチすれば、楽しみも捨てることなく健康維持ができますね。
お酒を飲む人も、あえて飲まない人も、誰もが楽しく食卓を囲むことができます。

それでも、やっぱり少々飲みたい人には、微アルコールや低アルコールの商品もたくさん登場しています。

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photo:iStock

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腸への刺激物となるアルコール

適度なお酒は血流を改善し、胃腸の働きを高めることは知られています。
「百薬の長」とも言われますが、付き合い方を間違えると「万病の元」にもなります。
最近では、大切な腸内フローラを乱すことがわかってきました。

米国国立衛生研究所(NIH)の研究では、アルコールを摂りすぎると、腸内で毒素を産生する菌が増え、腸内フローラを乱し、腸に炎症を起こすことが判明。
腸内フローラが乱れると、アルコールが分解されにくくなります。アルコールが体内に入ると細胞を傷つけ、肝臓に負担をかけます。

また、腸内フローラの働きで、アルコールが毒性の高いアセトアルデヒドになる場合もあります。これはアルコールよりも毒性が高く、二日酔いを起こす原因物質であるだけでなく、老化の原因にもなるため、ビューティの大敵でもあります。
「二日酔いしやすい」というタイプは、この毒を分解しづらいタイプですから、飲酒に向かないと考えたほうがいいですね。

アセトアルデヒドは腸の粘膜自体に傷をつけますし、体内に入って肝臓に負担をかけます。肝臓の酵素が十分に働けば、水になって無毒化されますが、酵素の働きが不十分であれば、活性酸素を発生させ、肝臓や全身までも傷つけます。

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photo:iStock

体感を大切に、自分にとっての適量を知る

アルコールの適量は、自分自身の腸内フローラの状態や肝臓の体質によりますから、一概には言えません。
一般論としては、厚生労働省は、一日あたりの適量は、ビールだと中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、ワインなら1/4本(180ml)程度までとしています。

ただし、これでもNGであることも当然あります。そこで重視したいのが体感です。
お酒を飲んだら下痢をするとか、翌日だるさがあるなどの体感がある人は、アルコールが上手に分解できていません。許容量を超えているということですから、控えることです。
お酒を飲んでも調子が悪くならずに、翌日も元気でいられる程度の量が、自分にとっての適量と思ってください。

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もはやドラッグ? 危険なお酒

ストレスフルな社会で、アルコール依存症が増えているようですが、依存しやすい安価なお酒が出回っているのも一因です。
精製された醸造用アルコールに、香料や甘味料で口当たりをよくした飲みやすい酒類「スピリッツ」の中でも、最近流行っているアルコール濃度を高めたタイプは、「危険ドラッグ」として扱うべきとも言われています。
前回お話したような醸造酒と違い、アルコールの害がダイレクトに出やすい危険なお酒です。

日本では、昔から祭りの時にお酒を飲んできました。
豊穣の米で作られた日本酒は、神の恵みであり、神道では、その神の酒に「御」の字をつけて「御神酒(おみき)」と呼ばれます。祭りの起源は、神と繋がる神事で、日本酒を頂き酩酊状態になる事は、日常の意識を超えた神の領域に近づくための媒介だったと言えます。
飲酒は、むしろ人を退廃に導いてしまう紙一重=神一重の行為でもあります。

理性を失うのは、祭りの時くらいにして、日常的には理性を失わない程度の適度なお付き合いが良さそうです。
ノンアルコールや微アルコールも活用しながら、いい関係を続けていきたいですね。

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photo:iStock

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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