花粉症は、腸から解決! キーワードは「多様性」。
Beauty 2022.02.04
桐村里紗
花粉症の皆さん、そろそろむずむずしてますか?
今年のスギ花粉症の飛散予測は、昨シーズンより花粉の量は多く、2月上旬からスタートして3月下旬までがピークになる見込みだそう。
お天気情報サイトの1月半ばの調査では、関東や東海ではすでに3人に1人が花粉を感じているとか。
抗アレルギー剤に、マスクに、ゴーグルに、色々対策をしても、ぐすぐす鼻がつまりっぱなしで頭もぼーっとする花粉症は本当につらいもの。せっかく身も心も晴れやかなはずの春シーズンが憂うつになってしまいますね。
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しかし、諦めないでください。自分次第で良くなります!
花粉症がひどい人は、まず食生活を見直し、腸内環境を整えて、「潔癖すぎない」生活を心がけることです。
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花粉症とは、免疫が暴走するアレルギーの一種。
免疫とは、身体を外敵から守る兵隊みたいなものですが、これが暴走すると、自分にとって特に敵でないものを敵と見なして、攻撃してしまうことがあります。
これが、花粉や食べ物で起きるアレルギーです。
免疫の暴走を食い止めるためにまず大事なのが、腸内環境です。
ひとつ目のキーワードは、ダイバーシティ(多様性)。
ダイバーシティといえば、ジェンダーや人種など人間社会の話だけじゃありません。
いわゆる「善玉菌」と言えば、ビフィズス菌や乳酸菌が誰もが知る有名なスター。でも、腸内には彼らだけでなく多種多様な腸内細菌がいます。
有名なスターが活躍するにも、それを支えるたくさんの人たちがチームになってそれぞれの才能を発揮して良い仕事をすることが大事です。派手な仕事も、地味な仕事もいずれも重要で、それぞれの才能や個性を尊重してみんなが活躍できるのが、サステイナブルな社会。人の社会でも、腸内も、一緒です。
良い腸内環境とは、スターだけが活躍するのではなく、ダイバーシティが形成されていること。
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それから、免疫の暴走を食い止めるのに重要な役割があるのは、大腸にいる「酪酸菌(らくさんきん)」です。このヒーローが活躍するためにも、ダイバーシティが形成された良い腸内環境であることが大切です。
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そのためにまず、できることは食の選択です。
色々な種類のプラントベースフードを食べること。
オーガニックな野菜を選ぶこと。
腸内の多種多様な細菌は、食べ物の好みもいろいろです。だから、食べ物がダイバーシティであれば、腸内もダイバーシティになります。逆に偏った食生活では、エサが減った細菌が弱ってしまって多様性が低下します。
特に、植物にはたくさんの栄養素が含まれています。でも、精製度が高くなればなるほど、植物の持つ全体性が失われてしまって、栄養価が偏ってしまいます。
だから、精製度の高い加工食品やファストフードなどを控えて、いろいろな種類のプラントベースの食べ物を組み合わせて食べてください。
特に、酪酸菌などの大好物は、発酵性の食物繊維です。海藻やこんにゃく、豆や大麦などの雑穀などに含まれているので、色々な種類を組み合わせて食べるのがマル。
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そして、選ぶなら、なるべくオーガニックに育ったものを。
土で育った作物には、皮にも、身にも、芯にも、たくさんの土に暮らす菌(土壌菌)が含まれています。
「汚い!」と思わないでくださいね。土壌菌には、自然な発酵食品のもとになる、納豆菌の仲間や乳酸菌の仲間など、人と共生できるたくさんの種類の菌がいます。私たちは、作物を通して、多様な土壌菌を腸内に取り込むことで、腸内環境を整える手助けをしてもらっています。
農薬や化学肥料を使うと、土壌菌のバランスが崩れて、多様性が低下して、乳酸菌の仲間が減る代わりに、病原菌が増えてしまうという研究も。
農薬や化学肥料を控えたオーガニック農法の多種多様なプラントベースフードを食べることは、地球環境への負荷を減らしながら、私たちの健康を保つ基本。人と地球の健康を実現するプラネタリーヘルスフードです。
さらに、花粉症などのアレルギーを予防するためには、「潔癖すぎない」生活が大事。
次回はそのポイントをお伝えします。
text: Lisa Kirimura
桐村里紗
医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
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