花粉症を救う? 「潔癖すぎない」ライフスタイルとは。

Beauty 2022.02.05

桐村里紗

そろそろ花粉症シーズンです。

前回は、花粉症などのアレルギー対策として、腸内環境のダイバーシティ(多様性)が大事で、そのためには、食のダイバーシティが大事ということをお伝えしました。
人の社会も腸内の社会も、ダイバーシティがキーワードです。

今回は、さらに、「潔癖すぎない」ライフスタイルをおすすめしたいのです。

残念ながら、コロナ禍に、誰もが「潔癖すぎる」ライフスタイルを余儀なくされています。
もちろん「清潔」は大事ですし、「清潔感」があるほうが良いに決まってます。でも、過剰な清潔は、アレルギーにはむしろネガティブに働く可能性が。

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photo: iStock

いま、ことあるごとに消毒・消毒。感染予防に、他人となるべく密にならないように、一緒に食事を突かないようにと、徹底されています。
病原性ウイルスの蔓延防止に、この対策は社会全体としては仕方ないことかもしれません。
でも、1種類のウイルスを避けるために、人と共生し、人の健康をサポートしてくれているたくさんの環境の微生物(細菌やウイルスたち)と触れ合えないことがむしろリスクになることはあまり語られていません。

都市の衛生環境が整って、清潔になるほどに、感染症は減るものの、アレルギーなどの免疫系の病気が増えることが知られています。
免疫を鍛えるために、適度に微生物と触れ合っておくことがとても大切です。

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私たちの身体の細胞は、37兆個とされています。でも、私たちの身体に共生する常在細菌は、全体で100兆から1000兆個とも言われています。皮膚、口、腸、子宮、目にもくまなく共生しています。彼らは、私たちを外敵から守り、免疫や代謝、メンタルや脳機能もサポートしています。さらに、部屋の中もオフィスも屋外も、環境は微生物だらけ。いない方が不自然です。
キスをする、握手をする、食卓を囲む、ペットを抱っこする、そんな暮らしで、私たちは常に微生物を交換していたわけです。

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そんなことを言うと「汚い!消毒しなきゃ!」と思うかもしれません。
1種類のウイルスの悪目立ちで、「ウイルスは悪者」「微生物は悪者」というイメージがすっかり定着してしまった感があります。
でも、人と共生する微生物がいなければ私たちは健康的に生きられません。
お母さんのお腹から生まれ落ちたその瞬間から、私たちは常に微生物とともに生き、共生することでむしろ病原体からも守ってもらっています。
適度に微生物と触れ合わないと、免疫もバランスを崩してしまい、これからアレルギーを増やしてしまうのでは!?と。世界の微生物学者たちは頭を抱えています。

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もちろん、感染対策としてやるべきことは求められます。
そんないまだからこそ、安心安全な環境で、健康的に微生物と触れ合いたいのです。
土や川、海には、たくさんの微生物がいます。
最近、レンタル農園を借りたとか、私のように地方に拠点を持ったり移住したりして畑を持ち始めたという話をよく聞きます。これは、土の微生物と健康的に触れ合うチャンスです。農体験や田植えイベントなどに出かけてもいいですし、キャンプや山歩き、季節には川や海で遊ぶのもオススメです。
実は、ペットを飼うのもアドバンテージです。ペットと暮らすことで多様な微生物と触れ合うことができるので、微生物学者は子どもの健康のためにあえてペットを飼うケースも。

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こうしたライフスタイルは、免疫のためだけでなく、ストレスリリースにも最適。
ソーシャルディスタンスが求められるストレスフルないまだからこそ、たくさんの微生物のダイバーシティの中に身を置いてみてほしいのです。

text: Lisa Kirimura

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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