あなたの歯をダメにする、日常の何気ない動作とは?
Beauty 2022.03.05
歯を傷つけてしまうと、口の中が感染源となり、全身に影響を及ぼす。そのため、入念に手入れすることが大切だ。私たちが気づかないうちに歯に害を与える、よくあるしぐさを専門家が解説する。
歯を傷つけると、健康に大きな影響を及ぼす。photo : Getty Images
顔の第一印象にも影響する歯は、食事をするのに欠かせない存在だ。そして、忘れがちなことだが、歯は発音のためにも重要な役割を果たす。
一見無害に見える日常の行為でも、私たちの歯にダメージを与え、修復不可能なものにしてしまうものがある。「Vos dents vous parlent(歯が語りかけるもの)』(1)の著者で歯科医師のカトリーヌ・ロッシが解説する。
1. 朝、レモンジュースを飲む
レモンジュースには身体に良い効果がたくさんあり、消化を促すために朝に飲むことを推奨されることもある。しかし、レモンは歯には悪影響をもたらす。「レモンの酸味はエナメル質を溶かし、溶けてしまうと元に戻すことができない」とカトリーヌ・ロッシは警告する。エナメル質は、寒さや暑さなどから歯を守る包帯のようなもの。口内環境には欠かせないものであり、できるだけ長く保っておきたい。
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2. 重曹を使う
歯の白さを保つために、重曹で歯を磨くことが推奨されることもある。しかし、歯科医師はこれに強く反論する。「重曹は研磨剤です。汚れた沈殿物を除去するので白くなりますが、むやみに毎日行うと、完全に歯を脱灰(酸によってカルシウムやリン酸イオンが溶け出すこと)してしまいます」
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3. 食事中に清涼飲料水を飲む
甘いものの摂りすぎが歯に悪いことはよく知られている。口の中に存在する細菌と接触すると、糖は酸に変化し、歯を攻撃する。甘い飲み物、特に炭酸飲料類は、食事中に飲むとさらに有害だ。
「“噛む”という行為は、歯ぐきを守るコラーゲン繊維をわずかに弱めてしまいます。通常、食事が終わると唾液がエナメル質を再石灰化させますが、炭酸飲料は歯のエナメル質を溶かしてしまうため、歯がむき出しになってしまうのです。そうすると、さらに摩耗が進みます」と専門家は説明する。
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4. 熱いものの後、寒いものを口に運ぶ
コーヒーを飲んだ後に水を飲むなど、口の中の温度変化がエナメル質を破壊する原因になると、カトリーヌ・ロッシは警告する。「歯が裂けるような感じさえします」。氷にお湯をかけると、溶ける前に割れてしまうのと同じだ。
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5. タバコを吸う
タバコはエナメル質に沈着して、エナメル質を弱くする。さらに、「歯ぐきに有害です。ニコチン、タール、その他すべての化学物質が浸透し、これが口腔がんの原因となります。これらの有害物質は、歯茎の下にある歯根の周りの骨も破壊してしまうので、歯がもろくなってしまうのです」とカトリーヌ・ロッシは言う。
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6. チューイングガムを噛む
ガムを噛むということは、息をリフレッシュするため、退屈しのぎのため、あるいは単にミントの風味を感じるため、私たちの日常生活の一部になっている。しかし、長時間噛むことは歯に悪影響を及ぼす、とカトリーヌ・ロッシは言う。「長時間噛んでいると、歯に悪影響が出ます。噛むと顎の関節が摩耗して、関節症になる可能性もあります」。顎のバランスや噛み合わせに問題がある場合は、特に注意が必要だ。
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7. 歯をくいしばる
歯のくいしばりはストレスによって起こることが多く、「歯ぎしり」に悩まされることになる。歯の摩耗が早まり、顎の筋肉が疲れてしまう。ストレスによって引き起こされる健康危機が不調を際立たせ、さらにマスクをすることで「酸素不足になり、交感神経が刺激され、神経の収縮が促されます。そのため、歯を食いしばる傾向が強くなります。歯の痛みや歯の割れを訴える患者も増えています」とロッシは言う。
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8. 爪を噛む
この習慣は、長期的には歯に悪影響を及ぼすと言われている。職場や学校でペンを噛んでいる人も同様だ。「歯は丈夫ですが、小さな衝撃を毎日何度も繰り返すと、磨り減ってしまいます」とカトリーヌ・ロッシは言う。
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9. 歯の磨き方が悪い
何気なくやっていることが多い歯磨きだが、一本たりとも磨き残しがないようにすることが大切であると歯科医は指摘する。なぜなら、磨き残しは歯周病や歯肉が破壊される感染症だけでなく、嚢胞ができやすくなったり、細菌の増殖につながったりして、がん組織になりうることもあるからだ。また、単にフロスを使うだけでは十分ではない。食べかすは除去できるものの、歯と歯の間の細菌性プラークは除去できないからだ。
カトリーヌ・ロッシによると、良い歯磨き方法は、上から下へやや長い円を描くように磨き、一本ずつ丁寧にゆっくりと磨くことだ。柔らかすぎる歯ブラシでは十分な効果が得られないので、すべて適度なかたさの歯ブラシで行う。また、ブラシで歯ぐきをマッサージすることも忘れないようにしよう。除去すべき細菌性プラークは、歯肉と歯の接合部にある。マッサージをすることで歯茎の調子を整え、抵抗力を高めることができる。
(1) Vos dents vous parlent (版元:Hachette Bien-être、200ページ、17.90ユーロ) カトリーヌ・ロッシは、ブログ「naturebiodentale」の創設者であり、サイエンス・ディレクターでもある。
text : Kassandre Fradelin (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi