妊娠中にお腹に現れる不思議な線、一体なにもの?

Beauty 2022.08.02

妊娠中、恥骨と胸骨の間に茶色の線ができることがある。フランスの皮膚科医と産婦人科医がこの不思議な色素沈着について説明する。

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メラニンが増加すると、体の部位によって色が濃くなる箇所がある。photography: Getty Images

今年5月に第1子を出産したリアーナは妊娠中、公の場に登場するたびに世間をあっと驚かせた。バルバドス出身のシンガーである彼女はあらゆるタブーを破り、クロップトップやコルセットのようなトップス、ダイアモンドのブラなどを着て楽しそうに大きなお腹を披露したから。

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そんな彼女のお腹に濃い茶色の線が目に入った人もいるだろう。“正中線”と言われるその線は、実はよくみられる現象だ。これは一体何なのか? どこから来たのか?

 

 

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肌や髪の色が濃い人により頻繁に起きる

「病気ではありません」とパリで婦人科医として開業しているナズリーヌ・キャレは安心させてくれる。「妊娠初期に現れることが多く、母親のホルモンと発達中の胎盤のホルモンがメラニンの生成を加速させていることが原因です。メラニンは髪、体毛、肌の色の由来となる自然な色素です」。色素の数が増えるとお腹、おへそ、恥骨と胸骨の間、乳輪や顔(シミ)など、身体のいろいろな部位で色が濃くなる現象が起きるのだ。

正中線は誰にでも現れ得るものだが、より可能性の高い肌のタイプはあるようだ。「遺伝的な要素もありますが、色が濃い肌の場合、見えやすいようです」とレーザー治療の専門医であり皮膚科医のユーグ・カルティエは言う。「黒や茶色い肌でも現れます。皮膚と髪の色が濃いということは、メラニンの受容体がより敏感だということを意味していますから」と婦人科医のナズリーヌ・キャレは付け足す。

太陽の光に当たることで、この線が濃くなることがある。「どんなシミ(色素沈着)も光線に敏感です」とナズリーヌ・キャレは説明する。すなわち紫外線に反応するのだ。予防するには肌を保湿し、UV50+の日焼け止めを使うことを推奨する。緑の葉物(レタス、ほうれん草など)から葉酸を多く摂取するのは、紫外線対策にも効果的だと付け加える。

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迷信に惑わされないで

この生理学的な現象に別の意味をつけたがる人もいる。正中線が子どもの性別を教えてくれると言うのだ。「線が恥骨からおへそまでなら男の子で、胸まで伸びているようなら女の子だと友人に言われた」とaufeminin.comという女性向けサイトの掲示板に書いてある。「中国の迷信ですが、科学的には証明されていません」と産婦人科医は一掃する。

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3カ月ほどで徐々に消えていく

この線が現れた人が一番気にするのは、産後もこの線が残るかどうかだ。「出産し、胎盤が排出されたら元に戻りますよ。妊娠中ほどメラニンが刺激されなくなるので、正中線は徐々に消えていきます。最も肌の色が濃い人でも3カ月ほどでなくなります」

もし出産後4~6カ月たっても消えないようなら、皮膚科の医者などに相談してもいいかもしれない。「触診によって盛り上がりがないことが確認されたら肌の病気などの可能性が排除されます。しかし私の経験上、正中線は必ず消えていきます」とナズリーヌ・キャレは保証してくれる。

「正中線を治療する必要は滅多に必要ありません。それにどのような治療であっても長期的な効果はありません」と皮膚科のユーグ・カルティエは付け足す。「レーザー治療やピーリングは不要です。ハイドロキノンを配合したクリームを塗れば6週間で肌の色を明るくすることはできます。ただし周りの肌の色まで白くならないよう、線からはみ出さないように気をつけてください」

text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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