悪夢を見る時、身体の中で何が起きているの?

Beauty 2022.08.03

悪夢は、その感情的な内容から、容赦無く私たちを眠りから目覚めさせる。この内なる葛藤がもたらす影響について、フランスの2人の専門家が解説する。

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悪夢の影響は、ある種の心理的・身体的なメッセージとして現れる。photography : Getty Images

夢は一般的に日常生活に密着したものだが、悪夢はストレスや不安、あるいは恐怖を伴う状況を反映することが多いようだ。リヨン神経科学研究センターの研究員ペリーヌ・ルビーは、「悪夢を見ることは、科学的にはまだ謎に包まれています。その時、脳内で何が起こっているのか、正確にはわかっていません」と認める。しかし、ある種の精神的・身体的な反応は、こうした「悪夢」によって引き起こされるという。

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感情の調節がうまくいっていない

脳は感情を司ると言われている。脳、より具体的には「眼窩前頭皮質」は、夜間、夢の感情の強さを調節し、時に「消化」する機能さえあると、ペリーヌ・ルビーは説明する。カナダの神経科学者ロス・レヴィンとトール・ニールセンが2007年に発表した理論によると、悪夢はこの感情調節の「失敗」の結果であるという。

このメカニズムを説明するため、ルビーは不安を強く感じる時期の夢に関心を持った。2020年に健康危機が夢に与える影響を調査した結果(1)、専門家は(新型コロナウィルスの)パンデミックの開始以降、「悪夢の数が増加していることを確認しました。頻度も2倍になっています」と指摘する。「この増加は、最初のロックダウンの際、私たちの感情システムがパンクし、圧倒されたことが一因であると考えられます」

悪夢の内容は時に非常に恐ろしいものだと、睡眠を専門とする精神科医のパトリック・ルモワンは断言する。『先生、眠れません(2)』の著者でもある専門医は、「悪夢は、痛みを伴う情報を処理するために自然が用意した、ポジティブで好ましい現象です」という。悪夢のメカニズムは、子どもの頃から見られる。「学校では、いつも小さな不公平を経験します。悪夢のおかげで、子どもたちはこれらの出来事を消化する鍵を持っているのです」と彼は付け加える。

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不安感

夜の間に寝ている時、一般的には身体は不活性化し、筋肉の緊張が失われる。しかし、悪夢はこの平静を乱し、寝ている人をも目覚めさせてしまう。「悪夢が生み出すネガティブな感情は、体系的に、時にはハッとするような目覚めへと繋がります。心臓は不規則に鼓動し始め、呼吸も不規則になります。そして、これらの感覚は時に不安感を伴うのです」と精神科医のパトリック・ルモワンは説明する。

この現象が一時的なもので、心臓に影響がない場合、夜驚症と混同しないようにしよう。「夜驚症は主に小さな子どもに多く、過剰に汗をかき、起床時に夢の記憶がないことが特徴です」と睡眠の専門家は付け加える。

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悪循環

あまりに頻繁に繰り返される場合、悪夢は睡眠、特に入眠に多かれ少なかれ影響を与えることがある。「1週間に1回以上悪夢を見ると、それが害となり、悪い夢を見ることを恐れて眠れなくなるという悪循環に陥ります」と、研究者のペリーヌ・ルビーは強調する。ちなみに、平均的な成人は1年に9回悪夢を見ると言う。

精神科医のパトリック・ルモワンは、悪夢にまつわる苦しみも無視できないと主張する。その原因を理解し、その頻度を減らすために、専門家は精神科医や心理学者と相談することをすすめている。

研究者のペリーヌ・ルビーは、悪夢のシナリオを変換することを目的としたIRT(イメージ・リハーサル・セラピー)などの行動療法を提唱し、睡眠の専門家は、目の動きによってトラウマの原因に探るEMDR(眼球運動による脱感作と再処理)を推奨している。

(1)Perrine Ruby著、『Rêver pendant le confinement』、EDP Sciences社刊。
(2)Patrick Lemoine著、 『Docteur j'ai mal à mon sommeil』、Odile Jacob社刊。

text: Clémence Dubrana (madame.lefigaro.fr)  translation: Hanae Yamaguchi

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