実践編、私も地球もハッピーになれる食事法とは?

Beauty 2023.01.07

桐村里紗

前回の記事に続いて、自分にも地球にもうれしい食事法「プラネタリーヘルス・ダイエット」についてご紹介していきます。
今回は実践編として、具体的な摂取量なども見ていきましょう。

プラネタリーヘルス・ダイエットは、カロリー制限のダイエットとは違いますから、年齢や性差、ライフスタイルに応じて自分にとっての適性カロリーを維持すればOK。
世界標準では1日の摂取カロリーの目安は2500kcalとされています。
しかし、あまりこの数字にとらわれる必要はなく、重視したいのはその内容です。

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上の図が、1日の食事でのバランスを図式化したもの。
まず、お皿の半分はいろいろな種類の野菜やキノコ類、果物など。
残りの半分を、全粒粉の穀物、植物由来のタンパク質(ナッツや豆など)、不飽和脂肪酸を含む植物油、それに、少々の動物性タンパク質と乳製品、デンプン質の多い野菜、砂糖などの添加糖分は控えめにというバランスが推奨されています。

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それぞれの食材の1日の摂取目安量と、そのメリットをお伝えしますね。

● 野菜300g、果物200g
多種多様なプラントベースの食品をチョイスすることで、食の偏りによる生物多様性低下を防ぎます。山菜や野草、土地の伝統野菜などを取り入れることも推奨されています。
生活者がこの食生活をチョイスすることで、生産者が栽培する品種が増えることも狙っています。

●未精製の穀物232g
穀物は精製度が上がるごとに、工業製品化して電力使用量も増えますし、栄養価が減っていきます。
白米や白い小麦の代わりに、分づき米や雑穀、蕎麦、ライ麦などを食べることで、食物繊維がとれるので腸内環境改善にも役立ちます。

●ナッツ類50g
ナッツ類は狩猟採取時代の主食です。ビタミンEを多く含みます。

●でんぷん質の多い野菜50g
芋類はでんぷん質が多いので、食べすぎに注意。野菜とは別カテゴリーで考えましょう。

●乳製品250g
乳製品は家畜に与える飼料の生産過程の問題や、牛から発生するメタンガスなどの影響などもあり、環境負荷が高め。家畜が狭い畜舎で育てられる場合、アニマルウェルフェアの問題もあります。
フリーに放牧され牧草を食べているグラスフェッドミルクは日本では希少ですし、あまり多く摂ることは健康面からもおすすめしません。

●タンパク源
  赤身肉:牛肉、羊肉、豚肉14g(1週間に100g程度)
  鶏肉やその他の家畜の肉:29g(1週間に200g程度)
  卵:13g(1週間で1個ちょっと)
  魚:28g(1週間に200g程度)
  豆:75g
赤身の肉はだいたい週1切れ。鶏肉や魚は週2切れ。卵も1個程度。
その代わり、プラントベースプロテインとして、豆類を積極的に摂るようにすすめられています。
大豆や小豆は昔から日本の重要なタンパク源だったわけですし、いまは大豆で作られた代替肉もありますので、積極的に使ってみて下さい。
家畜は身体が大きいほどたくさん食べるので、環境負荷の大きさは、牛>豚>鶏の順番。
一般的な畜産は環境、動物への負担が大きいものですが、その代わりに猪や鹿などの野生肉を活用すれば健康にも良く、森の生態系を適正に維持することにも役立ちます。

●添加糖分31g
多くの加工食品に入っている砂糖やコーンシロップ(果糖ブドウ糖液糖など)は、血糖値や中性脂肪を上げて肥満の原因にもなるうえに、プランテーション型のサトウキビやコーンの生産が環境の負担にもなります。腸内環境のためにも、シュガーフリーがベターです。

●不飽和植物油40g、飽和脂肪酸 11.4g
加工食品に含まれている加工油脂は、精製度が高く健康にも悪影響なので控えめに。
脂肪は身体にとって必須の栄養素でもあるので、ゼロにすることはおすすめしませんが、質が大事。
料理には、化学抽出ではなく圧搾製法の米油やコールドプレスのエクストラバージンオリーブオイル、エゴマ油やアマニ油を。

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もしメニュー選びに困ったら、伝統的な和食に戻るのが一番です。
伝統的な和食メニューは、意識しなくてもプラネタリーヘルス・ダイエットのバランスに近くなります。

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photo: iStock

あまり厳格になりすぎてもストレスになって続きませんし、そもそもストレスは健康の最大の敵。
でも、食事法について知っているのと知らないのでは大違いです。
知識を持って、日常のちょっとした選択を変えることで、自分も地球も持続可能になっていきますよ。

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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