知っておきたい泌尿器科の話 vol.1 毎日の尿が教えてくれる、身体の不調とは?

Beauty 2023.06.08

フェムケアが普及して、婦人科関連の情報は増えてきたけれど、まだあまり語られていないのが尿をつくりだす「泌尿器」の話。毎日の尿が語りかけてくる内容に、あなたは気付けていますか? そこで泌尿器科の専門医、「いぬいクリニック」乾将吾先生が、気になるトピックに答えてくれる短期連載をスタート! 第1回は泌尿器科の基礎について。ぜひ、自身の尿や生活習慣と向き合うきっかけにして。


泌尿器科って、どんなところ?

初めまして。京都の二条城近くで泌尿器科・内科を専門に診療する「いぬいクリニック」院長の乾将吾です。

泌尿器科には、あまりなじみのない人が多いかもしれません。身体の中で尿をつくる腎臓、尿を溜めておく膀胱、そして尿管や尿道といった、主に尿に関わる疾患を診る診療科です。また、それに付随して前立腺や陰嚢、睾丸など、男性特有の臓器も診察します。このことから “泌尿器科の患者さんには男性が多い”というイメージを持たれるかもしれませんが、実際はクリニックを訪れる男女の比率にさほど差はなく、年齢も小児から中高年、お年寄りとさまざま。日常的な不調から悪性疾患まで、幅広くカバーしています。

230604_inui_01.jpg

ほかの診療科と比べた時に、泌尿器科ならではの特徴を挙げるとすれば、ひとりのドクターが一貫して診察を行うケースが多いことでしょうか。消化器科や内科と異なり、診断から治療、アフターフォローまで、さほど担当を分けずに診るスタイルが定着していると思います。

---fadeinpager---

婦人科? 泌尿器科? 迷った時は……。

先ほども述べたように、泌尿器科は男性患者さんが多いという印象を持たれがちですが、決してそのようなことはないんです。膀胱炎や尿失禁、頻尿といった病気や症状は、むしろ女性のほうが多いくらい。

230601_healthcare_01.jpg

photo: shutterstock

来院された女性の患者さんの問診や検査をして、 “結果的に婦人科の病気だった”ということや、婦人科と連携した治療を行うこともあります。たとえば尿失禁の原因にもなる「骨盤臓器脱」などは、婦人科でも泌尿器科でも治療できる病気。またうちのクリニックでは女性看護師による骨盤底筋体操の指導なども行っていますが、婦人科でも実施しているところはありますよね。

女性の方が不調を感じ、泌尿器科と婦人科のどちらを受診してよいかわからないという時は、“排尿にまつわる違和感や痛みがあれば泌尿器科を”と考えてください。一方で、外陰部の痛みやかゆみを感じることがあれば婦人科へ。“血液が出ているけれど、血尿か女性器からの出血かわからない”など、どちらの部門の疾病なのか不明な場合、泌尿器科では尿検査や尿路の超音波検査などを実施して、原因を見つけるアプローチをします。

---fadeinpager---

毎日の尿が教えてくれる、身体の状態。

みなさんは日々、自分の尿を観察していますか? いまの体調を知るために毎日気を付けて見ておきたいのは、濃さと色。尿が濃い時は、身体に水分が足りておらず、脱水ぎみになっているサインです。赤みがかった色や褐色を帯びている場合、尿路感染症や腎臓疾患の可能性が。ぜひ排泄の最後には、日常的にチェックするようにしてみてください。

頻度については1日に5〜7回、量は1日1〜2ℓの排尿が正常とされています。1回の排尿にすると150〜200㎖、多くても400㎖程度。ですがこれには個人差があるので、“この範囲から逸脱したら絶対に異常だ”ということにはなりません。むしろ「いつもはこうなのに今日は違う……」という、“変化”のほうに気を配ってみるとよいですね。

---fadeinpager---

泌尿器系の健康のため、気を付けたい生活習慣。

泌尿器科においては、水を飲む習慣が大きなポイントとなってきます。1日の水分量の目安は、健康な人で1〜1.5ℓくらい。1ℓ以下だと少ないです。飲水が足りていないと、尿路感染症や腎臓結石も起きやすくなりますね。腎臓結石や既往のある方には2ℓ以上飲むことをすすめる場合もあります。とはいえ、水も飲めば飲むほど身体によいかというと、泌尿器科医の立場からはそうは言えないこともあるんです。

摂取する“水分”とは、お茶などでもOK。ただ、やはりカフェインは利尿作用があるので、コーヒーなどは飲んでも水分がそのまま排出されてしまいます。一方、夏は水ばかり飲んでいると電解質が足りなくなって熱中症の引き金となってしまうことも。バランスが重要なんです。

230601_healthcare_02.jpg

photo: shutterstock

最近ではサプリメントやプロテインを取り入れている方も多く、“肝臓や腎臓に負担がかかる”と言われることもありますが、必要に応じて摂取するのであれば構わないと思います。目安は1日あたり体重1kgに対してたんぱく質1g前後。それ以上摂る時は、一緒に水分摂取することもしっかり意識してほしいですね。何事もそうですが、過剰摂取はよくありません。ビタミンCも体内に吸収される上限は決まっているのですが、留めておけなかったものが体外に流れる際に尿中のシュウ酸が増加。腎臓結石の温床になるとも言われています。また脂肪分やカフェイン、塩分、糖分などの過剰摂取も結石を引き起こしてしまうので、極端な摂り方は避けるようにしていただきたいですね。

---fadeinpager---

メンタルが泌尿器系に影響を及ぼすってホント?

ストレスの大きい環境では心身ともに疲れ、免疫力が低下します。膀胱炎などの尿路感染症が起きてしまうこともあり、“気疲れ”はバカにできないんです。新型コロナウイルス感染症の療養中や療養後、気分の疲れやストレスから、こうした泌尿器科系の疾患に二次的に感染してしまうケースもありました。

また男性の場合は、長時間のデスクワークや精神的な疲れが原因とされる「慢性骨盤痛症候群」という疾患も当クリニックでは多く見受けられます。このように、病気は気持ちの面で困っていることとリンクする場合がおおいにあるので、診療の際はひとつひとつの症状の有無だけでなく、ライフスタイル全般についてヒアリングをすることもありますね。

クリニックではオンライン受診もスタートしました。まずは問診で泌尿器科に相談してみたいという方は、こちらもあわせてご利用ください。

次回は、泌尿器科の中でも患者さんが多い「膀胱炎」についてレクチャーします。

230601_inui_profile.jpg

乾将吾|Shogo Inui
いぬいクリニック院長、日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医

2009年、京都府立医科大学卒。卒業後、同泌尿器科に入局。府立医大病院のほか京都市内の複数の病院で勤務後、在宅医療にも従事し、より広範な医療現場を経験する。2022年「いぬいクリニック」を京都の烏丸御池・二条城エリアに開院。クリニックを診療の場としてだけでなく、人々が集うコミュニティへと発展させるべく、フラットスペース「いぬいのいこい」をクリニック2階に設けワークショップなどを開催。「医療と衣料」をかかげ、インスタグラム(@inoui___)で日々のコーディネートも公開中。

いぬいクリニック
www.inucli.com

●information
いぬいクリニック2階「いぬいのいこい」では、セミナーやワークショップも随時開催。いずれも参加費無料、要予約となりますので、お問い合わせください。

骨盤底筋を鍛えるヨガレッスン
開催日:6月23日(金)午前、7月21日(金)午前
京都河原町にある「畳ヨガ」aina style 主催、岡智恵子さんによるマンツーマンのヨガレッスン。詳細、ご予約は「いぬいクリニック」へお電話にてお問合せください。
tel: 075-255-1212

いぬいクリニック・ワコール 「らくラクパートナー」セミナー
開催日:6月20日(火)13:00〜14:00
意外と知らない介護の話や、自立した生活を過ごすための健康の秘訣などを院長がわかりやすくレクチャーします。ワコールのシニアライフスタイルウエア、ワコール 「らくラクパートナー」によるウエアの紹介や、座ってできる体操も交えながら、介護と健康について楽しく学べるセミナーです。申し込みは下記サイトにて。
https://member.wacoal.jp/campaigns/18956

 

text: Misaki Yamashita

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories