40歳以上の妊娠には、どんなリスクがあるの?

Beauty 2023.06.09

インタビュー:40歳以降での出産数が1970年代後半以降最も高い水準にあるフランス。40歳以上の妊娠とは実際どんなものか、どんな合併症やリスクがあるのか? 産科婦人科医のエレーヌ・フライ・サントマリーが情報と安心材料を提供してくれた。

20220310-高齢出産のリスク-01.jpg40歳からの妊娠ってどんな感じ?どんなリスクがあるの? photography : Getty Images

女性が子どもを産む時期が年々遅くなっている。2022年1月にINSEE(フランス国立統計経済研究所)が発表した調査結果によると、40歳以上での出生数が1979年以降最も多くなっている。より正確に言うと、1970年代と比較して3倍だ。学業の長期化、晩婚化、再婚の多さ、子どもを持つ前に職業的安定を得たいという希望から、40歳から45歳の間での妊娠は、もはや少数派のものではなく、非日常的なものでもない。

しかし、この年齢での出産のリスクが心配になることもある。40歳での妊娠は実際どんなものなのだろう? 45歳の場合は? リスクは? 特別なモニタリングは必要? CHUスュド・デュ・ラ・レユニオンの産婦人科医エレーヌ・フライ・サント・マリーが教えてくれた。

――いわゆる"高齢妊娠"とはどんな感じでしょうか?

全体として、40歳での妊娠経験は、35〜40歳までのものとあまり変わりません。疲れを感じやすくなるのはそれ以降です。女性の場合、出産後の回復が遅くなることがありますが、これは年を取ると疲労が回復しにくくなることと関係しています。また、加齢に伴う症状があると、この傾向はさらに強まる可能性があります。

実際には、妊娠中にほかの子どもの面倒を見なければならず、疲労が溜まりやすい経産婦のケースと、今回初めて妊娠した初産婦のケースでは状況が違います。しかしどちらのケースでも、高齢の妊婦さんたちは、より快適な妊娠生活を送るために、事前にいろいろな工夫をされていることが多いです。

――40歳以上の妊娠のリスクは?

女性の年齢に関連し、妊娠する前からすでに存在している病理と、妊娠に関連した病理があります。一般的には、35歳前後の妊娠で女性が重大な病気を発症するリスクは1%であるのに対し、40〜44歳では2%に増加します。そのため、婦人科医による妊娠前の健診を受け、既往症の評価やその後のフォローアップに役立てることがとても大切です。

妊娠初期には、染色体異常による流産のリスクが高くなります。理由は簡単で、私たちの配偶子(卵子と精子)も、体内のほかの細胞と同じように、年齢とともに老化していくからです。そのため、より多くの異常があり、それを受け継いでいくのです。

また、妊娠糖尿病の発症リスクは、40歳を過ぎると3~4倍に高まります。子癇前症(しかんぜんしょう:高血圧や蛋白尿を特徴の妊娠合併症。胎盤の機能障害に起因する)の発症率も5~10%と高くなります。赤ちゃんの発育不全や早産に繋がるもので、胎盤を取り除くと治る病気です。帝王切開、発育遅延、高血圧、分娩時の出血など、これらのリスクは40歳以上で増加しますが、45歳以上ではさらに高まります。

---fadeinpager---

――彼女たちはどのようにモニタリングされているのですか?

妊娠前の診察で高血圧、糖尿病などの病理を確認する以外は、ほかの方法と同じです。たとえば、赤ちゃんが発育不良の場合は、より定期的にモニタリングします。そして、すべての女性と同様に、妊娠初期に13、18、21トリソミーの有無を複合スクリーニング検査で調べます。赤ちゃんの首の長さ、お母さんの年齢、血液検査の結果という3つの情報を組み合わせ、X分の1のリスクを算出します。1000分の1を下回るとリスクゾーンに入り、非侵襲的出生前スクリーニング(NIPS)をすすめることになります。これは、母親の血液から胎児の細胞を探し出し、異常があるかどうかを調べるものです。リスクが50分の1以下であれば、羊水検査を提案します。

年齢的に遺伝的・染色体異常のリスクが高い患者に対しては、通常3回の超音波検査に加えて、無月経の18週目に第2期初期の超音波検査を行うこともあります。

――これらの年齢で妊娠することを心配する女性もいるかもしれません。どう思われますか?

もちろん、25~30歳での妊娠に比べれば、若干のリスクはあります。ただ、40歳を過ぎると最大のリスクは流産です。ですので、リスクは高まりますが、妊娠初期を過ぎれば、うまくコントロールできるようになります。

そして、妊娠前の検診がとても大切です。そうすることでリスクを把握し、予測することができ、よりよいサポートを提供することができるのです。40歳での妊娠が増えていますが、そのほかの年齢での妊娠と比べても、怖がる必要はありません。

texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

2025年春夏トレンドレポート
中森じゅあん2025年年運
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリシティガイド
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • 広告掲載
  • お問い合わせ
  • よくある質問
  • ご利用規約
  • 個人の情報に関わる情報の取り扱いについて
  • ご利用環境
  • メンバーシップ
  • ご利用履歴情報の外部送信について
  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • Pen Studio
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CCC MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CCC Media House Co.,Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.