アメリカのセレブがグルテンフリーに励むのはなぜ?

Beauty 2023.06.09

桐村里紗

アメリカの西海岸や東海岸では、「グルテンフリー」がいまや常識になっていて、美容意識の高いセレブリティからパフォーマンスを上げたいビジネスパーソンまで、小麦を食べない派がますます増えています。

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Whole Foods Marketの棚に並ぶ、グルテンフリーのパスタ類。ムング豆、グリーンピースなど原料もさまざま。

食材を買い物に行くと、グルテンフリーパスタ、グルテンフリーグラノーラ、グルテンフリーブレッド、グルテンフリークッキー、グルテンフリーパンケーキミックスなど、小麦製品の代替品が大充実。米粉やタピオカ粉、キャッサバ粉などを使ったおいしくてヘルシーでギルトフリーな食品も充実して、ヘルシーな食文化が発展している印象です。

小麦文化はアメリカから入ってきたものですが、いまや日本人の方がたくさん小麦を食べているのではないでしょうか。

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パンケーキミックスもグルテンフリーに対応。右の「パレオ」とは旧石器時代の食習慣を取り入れた食事法で、小麦粉の代わりにキャッサバ粉が使われる。

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アメリカでなぜグルテンフリー派が増えたかというと、やっぱり圧倒的に効果が体感できるからではないでしょうか。

日常的に食べている小麦と、自分の心身の状態のリンクについて、普段あまり意識することはないと思います。でも、実は小麦粉は結構あなたのパフォーマンスを下げているのです。

小麦という穀物は、古代から世界で食べられてきた人類の大切な主食のひとつですから、それ自体が悪いわけではありません。現代になって大量生産をするため、それからモチモチ食感を高めるため、品種改良が重ねられた結果、消化しづらいタイプのグルテンタンパクをたくさん含むようになってしまったのが問題です。

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photo: shutterstock

下痢や便秘などの原因になったり、腸に炎症を起こしてさまざまなアレルギーの原因になったり。グルテンが半分消化されたペプチドが、脳にモルヒネのように働いて中毒を引き起こして、食欲が止まらず「もっともっと食べたい!」と過食の原因になったり。疲労や倦怠感、頭のもやもや(ブレインフォッグ)の原因になったり。自覚なしに毎日食べていた小麦が、心身の不調を引き起こしているかもしれません。

グルテンフリーに切り替えると、「お腹の調子が良くなった」「アレルギーがなくなった」「過食がおさまって体重が減った」「頭の霧が晴れて頭脳が明晰になった」などの効果が比較的早く現れます。

グルテン中毒の人は最初がきついかもしれませんが、まずは1週間我慢してみてください。
そうすると、あんなに欲していた小麦製品を食べなくても平気になり、「食べたい食べたい」というソワソワも落ち着きます。
心も身体も軽くなり、パフォーマンスの向上を実感できると思いますよ。

次回は、おすすめのグルテンフリープロダクトをご紹介します。

text: Lisa Kirimura

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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