プラネタリーヘルス視点で、コーヒーを選ぶなら?

Beauty 2023.08.11

桐村里紗

こんにちは、桐村里紗です。
今回はプラネタリーヘルスと持続可能なコーヒーについてお話したいと思います。
最近は、日本でもこだわりのコーヒーロースタリーが登場し、いろいろな産地の個性豊かなコーヒーが楽しめるようになってきましたね。
私も、毎日一杯のコーヒーが欠かせません。
この至福の一杯が、地球にも生産する農家にも至福であってほしい。それが、サステイナブルなコーヒーです。

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photo: shutterstock

でも、これまで私たちが楽しんできたコーヒーには、地球環境や、コーヒーを栽培する地域の農家の暮らしにもネガティブな影響を与えてきた歴史があります。
世界中で多くの人々がコーヒーを愛好してきましたが、それは主にアメリカやヨーロッパ、そして日本などの先進国での話。
コーヒーの生産が行われる南アメリカやアフリカなどの地域では、農家は生産するコーヒーを飲んだこともなく、安い賃金で働かされてきたなどの問題がありました。
先進国の人たちがコーヒーをどんどん消費することで、コーヒー農園の規模が拡大し、森林伐採や生物多様性の喪失に繋がったり、農薬や化学肥料の過剰使用が地域の水の汚染に繋がってしまうこともあります。
これらの問題は地球環境に悪影響を及ぼすだけでなく、農家の人々の健康にも被害をもたらす可能性があるため、プラネタリーヘルスの観点からも重要な課題となっています。

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こうした問題に対して、フェアトレードやオーガニックコーヒーの普及、豊かな森林を再生しながらコーヒーを栽培するアグロフォレストリーの推進など、環境への配慮と農家の福祉を重視したサステイナブルな取り組みが広がっています。

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photo: shutterstock

私たちも、プラネタリーヘルスの観点からサステイナブルなコーヒーを選ぶことで、地球環境や地域コミュニティに貢献することができます。
コーヒーを選ぶ時は、フェアトレードやオーガニックのものを意識してみましょう。
「シングルオリジン」のコーヒーは、単一の生産地のみで栽培された豆の個性を活かすようにローストしたもの。
こだわりのコーヒーロースタリーでは、豆を買い付けるために直接現地の農園に足を運んで、実際に環境を見て農家と交流をし、収穫や輸送の過程も確認したうえで納得したものを選んでいることも多いです。
ぜひ、ロースターのこだわりを聞きながら、自分に合った至福の一杯を叶えるコーヒー豆を選んでみては?
コーヒー農園の周りの動植物が生き生きと育ち、農家の歓びにも繋がることが、プラネタリーヘルスです。

次回は、サステイナブルなコーヒーとしてぜひ試していただきたい「スペシャリティコーヒー」についてお話します。

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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