一杯のコーヒーから見えてくる、環境や生命の繋がり。
Beauty 2023.08.12
桐村里紗
こんにちは、桐村里紗です。
前回は、プラネタリーヘルスとサステイナブルなコーヒーについてお話しました。
今回はコーヒーの中でもとりわけクオリティが高く、徹底した品質管理がなされる「スペシャルティコーヒー」の楽しみ方についてお伝えしますね。
From Seed To Cup、農園からコーヒーカップまで。
スペシャルティコーヒーとは、おいしいことはもちろん、人の健康にも、生産農家や栽培、流通などにも配慮された質の高いコーヒーです。
その定義を日本スペシャルティコーヒー協会が定めていますが、“農園からコーヒーカップまで(From Seed To Cup)” 全てのプロセスが明確化され、トレーサビリティがしっかりしていて、飲む人にとっても生産者にとっても負担がないことが意識されています。
必ずしもオーガニックではありませんが、農園周囲の環境に大きな負荷をかける生産方法は選ばれません。
photo: shutterstock
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豆のテロワールを引き出す一杯。
コーヒーカップにコーヒーが抽出される、その一杯に徹底的にこだわるため、雑味がなく芳醇な味わいを楽しむスペシャルティな体験ができます。
高品質な豆は、ワインと同じようにそれぞれの豆の生産地のテロワールが個性となり、ローストの仕方や抽出方法もその個性を引き出すべく工夫されています。
香り高く風味豊かなコーヒーには、心の安らぎやリラックス効果も期待できます。
都市部でも、ローカルエリアでも、スペシャルティコーヒーが飲めるコーヒーショップが増えてきました。
主に「サードウェーブ」と呼ばれるコーヒーショップを中心に扱われています。
従来の大量生産・大量消費型のコーヒーが、「ファーストウェーブ」。
スターバックスなどのシアトル系のコーヒーチェーンが登場してやってきたのが「セカンドウェーブ」。
エスプレッソコーヒーメーカーを使って抽出したコーヒーをミルクやホイップクリームなどでカスタマイズするスタイルです。
スペシャルティコーヒーが登場し、個性を活かすハンドドリップ形式で一杯のコーヒー豆を徹底的に味わうのが「サードウェーブ」です。
ブルーボトルコーヒーなどの展開と同時に、独自の焙煎所、ロースタリーを持った小さなコーヒーショップで提供されてています。
photo: shutterstock
スペシャリティコーヒーを飲む時、生産者や農園の周りに暮らす生き物たち、そしてロースターやバリスタなど、この一杯に関わる全ての人や生き物との繋がりが、豊かさを織りなしています。
桐村里紗
医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
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