腸を整える善玉菌「プロバイオティクス」の豊かな個性。選ぶ時の注意点は?
Beauty 2023.11.11
桐村里紗
こんにちは。
皆さん、腸活に励んでいますか?
最近、腸内環境の重要性がますます注目されていて、腸内環境を整える「腸活」はヘルスコンシャスな人たちのルーティンになっています。
腸内環境をサポートしてくれる製品の中でも、日常に取り入れやすいものに、善玉菌を含むプロバイオティクス食品があります。
プロバイオティクス食品とはいわゆる善玉菌と言われる、私たちの健康にポジティブな働きをする有用菌を含む食品のこと。
味噌や納豆、ヨーグルト、コンブチャなどの発酵食品や、有用菌を含むサプリメントのことです。
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有用菌と言えば、「乳酸菌」や「ビフィズス菌」というイメージがあると思います。
確かに、それは正解。
でも、乳酸菌やビフィズス菌の中にもたくさんの種類があります。
その種類によって、個性が全く違うということは、案外知られていないと思います。
人も、人種や民族によって個性が違いますよね。さらに血縁によって顔や体型などに個性が生まれます。
それと同じように、乳酸菌やビフィズス菌と一言で言っても、さらにそのグループによって個性が違います。
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たとえば、ビフィズス菌はこれまでに30種類以上が見つかっています。ヨーグルトに活用されている代表的なビフィズス菌は、ビフィズス菌ロンガム種(BB536)。
母親から赤ちゃんへと受け継がれるビフィズス菌で、感染防御作用や整腸作用、免疫調節作用、コレステロール低下作用などさまざまな働きをサポートしてくれます。
肉食系女子にも朗報なのは、この菌が肉食による腸内環境の劣化を防いでくれること。
肉食生活を5日間続けて、ビフィズス菌ロンガム種(BB536)を併用したところ、肉食のみ摂取したグループと比較して、肉食と同時にBB536入りヨーグルトを摂取したグループでは、便内のビフィズス菌数が保たれ、悪玉菌の一種であるビロフィラ菌の増加が抑えられたことが報告されています。
どのくらい食べれば整腸作用を発揮するかというと、ワンスプーンでもOK。
100gの摂取と30g(カレースプーン1杯)の摂取では、継続摂取で同等のお通じ改善効果が報告されています。
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また乳酸菌は、これまでに400種類ほどが発見されています。
乳酸菌は、乳製品等に含まれる動物性乳酸菌と、漬物やキムチ等に含まれる植物性乳酸菌に分けられます。土の中にも乳酸菌がいて、植物に付着している乳酸菌は、ザワークラウトやキムチのように酸っぱいお漬物の発酵の元にもなっています。自然界のあらゆる場所に生息している身近な存在です。
乳酸菌には、乳酸という物質を出して腸内環境を弱酸性に傾けて良い環境にする働きがあります。
ビフィズス菌も乳酸を出すので、大きな意味では、乳酸菌の仲間です。
ビフィズス菌は主に大腸で働くのに対し、乳酸菌は口の中から小腸、大腸まで幅広く矯正して活躍します。
プロバイオティクス食品には、「機能性表示食品」と言って、主に企業の責任で、科学的根拠を基に「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、食品の機能性を商品パッケージに表示することができるものがあります。
これらの表示を参考に、自分のお悩みや目的に合ったものを選ぶといいですね。
たとえば、便秘予防や解消に効果のある乳酸菌は、LB81やラブレ菌、ガセリ菌SP株、R-1、LG21など多くあります。
免疫を強化するのは、クレモリスFC株やラブレ菌、ガセリ菌SP株など。
逆に、花粉症の改善、つまり高まり過ぎる免疫を抑えるのは、シロタ株やL-92など。
免疫の強化と過剰な免疫を抑えるのは、真逆の働きですからご注意を。
乳酸菌シロタ株は、「ストレス緩和」「睡眠の質向上」という機能性があり、ストレスフルだったコロナ禍に人気になりました。
また腸ではなく、口内フローラを良好にするのは、ロイテリ菌です。
口内フローラに良い乳酸菌は、酸がマイルドなのが特徴です。あまり酸が強いと歯のエナメル質を溶かしてしまうので、NGなのです。
口には口、腸には腸の乳酸菌。適材適所ですから、ターゲットに応じて選び分けることですよ。
プロバイオティクス食品は、食品の機能性表示を確認して、自分に合ったものを選んでくださいね。
でも、人に寄って合う合わないがあることも知っておく必要があります。
次回は自分に合ったプロバイオティクス食品の選び方をご紹介します。
text:Risa Kirimura
桐村里紗
医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
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