シャネルの美容アイテムが生まれる、 パンタンのラボを訪ねて。

Beauty 2023.12.22

パリの北東に位置する隣町、パンタン。カルチャースポットがいくつも誕生して近年注目を集めているこの町は、実は100年も前からシャネルのビューティを発信してきた研究所のある場所。11月半ば、このラボラトリーで初めての見学会が行われ、ガブリエル・シャネルの時代から貫かれるビューティ哲学が披露された。

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パンタンのラボラトリーは、創業者ガブリエル・シャネルが美容に進出した時代からの歴史的な場所。© CHANEL

1921年にシャネル N°5を発表して大成功を収めたガブリエル・シャネル。パンタンは、彼女が24年にパルファン・シャネル社を創立して以来、シャネルのビューティを司ってきた歴史的な場所だ。女性としてクチュリエとして、初めて自分の名前を掲げたビューティプロダクトを発信した彼女は、モードもビューティも、女性一人ひとりのスタイルを作るものだというビジョンを持っていた。そんなシャネルのビューティ哲学は、創業以来100年を迎えようとする現在も変わらない。

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創業時代からのメッセージ。

黒い文字だけのシンプリシティに徹したパッケージが、創業当初からのデザインコンセプトであることはよく知られている。ラボの一室に展示された当時の製品には、週末にセカンドハウスに出かける女性たちのための旅行用ミニサイズや、日焼けした健康な肌を演出するためのタンニングプロダクツもあり、女性たちの新しいニーズに応えようとしたガブリエル・シャネルの先見性を物語る。
「このクリームは私が手がけ、ピュアなものであることを保証します。(中略)肌をなめらかにし、パウダーのための理想的なベースに仕上げます」――1927年に発売されたフェイシャルクリームの容器の底に添えられたメッセージは象徴的だ。

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初期のプロダクトの展示より。ミニマルなパッケージのデザインはいまに受け継がれている。© CHANEL

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シンプルなグラフィックデザインの1951年のカタログ。中ページにはスキンケアプロダクトひとつひとつについて、そのノウハウと使用方法が説明されている。© CHANEL

自社開発、栽培の自然由来成分。

シャネルのビューティを特別なものにしているのは、世界5箇所にあるオープンスカイ ラボラトリーの存在だ。環境と生態系を保護しながら、それぞれの気候に適した植物を栽培し、成分の分析と研究を重ね、自社の管理のもとで最高の成分を抽出する。フレンチアルプスでは高山植物、フランス南西部ゴジャックではカメリアを育て、マダガスカルではヴァニラを、コスタリカではメリポナ蜂のハチミツとコーヒーを栽培しており、2014年にはヒマラヤの秘境ブータンにもラボをオープン。シャネルのスキンケアの成分のほとんどは、これらのオープンスカイ ラボラトリーからやって来るのだ。

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マダガスカルのオープンスカイ ラボラトリーでは、何種類ものヴァニラが栽培されている。右はヴァニラ プラニフォリア。香りの成分以外に、肌のための成分が。© CHANEL

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シャネル リサーチ&テクノロジー原料開発ディレクターを務めるニコラ・フザッティは、世界各地の植物の成分についての情報を集め、オープンスカイ ラボラトリーとパンタンのラボを行き来する。新しい成分の可能性をキャッチし、抽出と検証に労を惜しまない。
「成分を発見しても、新製品の処方だけでなく、植物の生育のリズムに合わせた栽培も必要。製品化には時間がかかります」

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オープンスカイ ラボラトリーの重要性と役割を解説してくれたニコラ・フザッティ。© CHANEL

ゴジャックのオープンスカイ ラボラトリーの赤いカメリア「ザ ツァー」の分析からは、2022年、N°1ドゥ シャネルが誕生した。一方、最新ラボのブータンからは、手作業で収穫されるスウェルティアの保湿成分を発見、抽出している。マダガスカルのヴァニラ プラニフォリアに含まれる肌を輝かせる効果を秘めた成分とともに、先頃発表された、新配合のサブリマージュ レクストレをパワーアップさせることになった。

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ブータンのラボで栽培されるスウェルティア。© CHANEL

インテグレーティブビューティとは?

シャネルは、2012年からオーストリア 生物資源科学大学と共同研究を行い、皮膚細胞の老化のメカニズムであるセネッセンスの考えをいち早くエイジングケアの基本として取り入れてきた。
また、1993年には感覚の測定を行う部門を開設。プロダクトの香りやテクスチャーを比較測定するスキルを持った被験者たちが、機械で測ることのできないクリームやセラムのつけ心地を評価する。さらに近年では、ニューロサイエンスを導入。プロダクトを目にし、香り、実際に肌につけることで、脳にどのような反応が起きるのかを計測する。これらの研究部門が存在することで、有効性だけではないプロダクトが誘発する精神的な効果が、製品開発のプロセスに組み込まれるようになった。

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見学者たちも、テクスチャー測定に挑戦。© CHANEL

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「顔は、あなたの内なる世界を映し出す鏡。その顔を、十分ににお手入れしてあげなさい」
ガブリエル・シャネルはこんな言葉を残している。
環境を守り、手間ひまかけて栽培した植物から自らの手で抽出する成分を、最新の研究成果とテクノロジーをもとに配合し、幸福感を与えるテクスチャーと香りで女性たちに届ける。シャネルの掲げるインテグレイティブビューティは、心も身体も統合する美容。それは、創業者ガブリエル・シャネルから受け継がれる大切な価値観なのだ。

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シャネルのオープンスカイ ラボラトリーから生まれる、最新の細胞老化対策成分による新しいフォーミュラで、10月27日に発売されたばかり。マダガスカル産のヴァニラ プラニフォリアから生まれる濃縮ウォーター、アンフラルージュオイル、PFAに加え、ブータン産のスウェルティアのエキスを配合。
左:サブリマージュ レクストレ ドゥ ニュイ コンサントレ 30ml ¥104,500
右:サブリマージュ レクストレ ドゥ クレーム コンサントレ 50g ¥89,100/ともにシャネル
© CHANEL

●問合せ先:
シャネル カスタマーケア
0120-525-519(フリーダイヤル)
chanel.com

text: Masae Takata(Paris Office)photography: ©CHANEL

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