Guerlain 生物多様性と自然保護を、フランス・ミリエール渓谷で学ぶ。
Beauty 2024.07.20
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自然生態系の保護に関する意識を高め、その手段を提供する教育プログラムが、パリ西部にあるミリエール渓谷でスタートした。その支援をしているのがゲラン。美しく生産的な庭や、香り豊かな植物の回廊を巡り、環境に思いを馳せて。
複数のエリアがある「分かち合いの庭」。共同創設者のトム・アルテュス=ベルトランは、父ヤンが撮影した有名なニューカレドニアのハート形の地形のフォルムで沼を作って捧げた。
パリから西へ約30キロ、ランブイエの森に隣接する30ヘクタールにも及ぶミリエール渓谷を、写真家で環境活動に取り組むヤン・アルテュス=ベルトランが4年前に購入。この土地は、長らくゲラン家が所有したもので、近くに住んでいたヤンが購入する機会を得たのである。渓谷の"再野生化"、つまり自然の生態系を回復することが目的だった。
エコロジー、動植物に関する自然保護区に指定されたこの地でのさまざまな活動のため、2021年に非営利団体のミリエール渓谷協会が設立された。それを支援すべくメセナとなったのが「美の名において」という理念を掲げ、よりサステイナブルな世界の実現のために行動するゲランである。生物多様性の保全、持続可能性の促進、気候変動への対応などに07年から取り組んでいる。なかでも女性養蜂家の支援などミツバチの生態系維持に積極的だ。1853年からゲランのシンボルであるミツバチは、ポリネーター(花粉媒介者)という重要な生物のひとつでありながら絶滅が危惧されているからだ。ゲランの親会社であるLVMHグループ全体もこの協会をサポートしている。
ミリエール渓谷の28ヘクタールが人間の手を入れない再野生化に当てられ、生息する動植物は350種だったのが、いまでは600種以上になったという。そして、共同創設者であるヤンの息子トム・アルテュス=ベルトランが「入手時は草原だった」と言う1.8ヘクタールの土地に「分かち合いの庭」をクリエイトした。
ミリエール渓谷に生まれたトム。「分かち合いの庭」には、森のような菜園、森林農法、野菜や果物の栽培など、複数のエリアを作った。
「ここは自然保護に対し、人々の意識を高めるための教育的庭園です。また野菜や果物が栽培され生産的でもあり、視覚的にも美しい庭。ここを訪れることで人々は自然保護についての知識やアイデアを得ることができます。この庭では、土のクオリティを上げることに集中しました。土をむき出しにせず、保湿のために木屑や藁で覆い、養分を与える。バランスのとれたエコシステムが作られ、良い土壌となって植物がすくすくと育っています」
木の切り株をポンと置いて昆虫を呼び寄せ、アブラムシを食べるてんとう虫のためにアブサントを植えて野菜畑を護る......などなど、植物の植え方や彼が持つさまざまな知識や伝統的な技術が多数生かされた庭で、訪問者は多くを学ぶことができる。
この庭には、メゾンの5代目調香師ティエリー・ワッサーによる「香りの回廊」も設けられた。
「香りの回廊」にて。薬草についても学んだというゲランの5代目調香師ティエリー・ワッサー(左)とトム(右)。アーチの蔓バラのナエマは1979年にジャン・ポール・ゲランが調香した香水「ナエマ」へのオマージュ。
「地中で起きていることについて、私たちは何も知りません。だからトムが作った庭で私たちは持続のための解決法を学ぶのです。彼の庭への愛、情熱、自然への関心、知識。それを農家の方たちも含め世界中に広く知らせたいですね。たとえば、遠くの地で香水の原料となるパチョリを栽培している人に、より環境に配慮した栽培技術がありますよ、と伝えることもできます」とティエリー。渓谷を何度も訪れてトムと庭の植物について意見交換をし、ふたりで「香りの回廊」を作り上げたという。
「香りが識別しやすいように植物ごとにまとめて植えました。ラべンダーやミントなど、ひとつの植物でも異なる産地で複数植えることで多様性も見せています」
この「分かち合いの庭」にはミツバチが多く集まってくる。その存在なしにはエコシステムは存在しない、と強調するトムとティエリー。さらにミツバチ以外のハチ、蝶、ハエといったポリネーターの姿も庭のあちこちに! 今後の進化とミツバチの未来が楽しみな渓谷だ。
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「世界ミツバチの日」を記念してお披露目。
5月中旬、世界各地のジャーナリストとインフルエンサーにお披露目されたミリエール渓谷。「分かち合いの庭」の案内に加え、さまざまなワークショップが行われた。
原料と調香の教室。
庭園スタッフによる鉢植えレッスン。
ゲランの養蜂家プログラムの参加者によるビースクール。
養蜂箱の解説。
6月に始まったミリエール渓谷の教育プログラムは、学校や大学などのグループ、企業、NGOなどが対象。詳細はホームページから問い合わせを。
text: Mariko Omura