足裏から、美ボディ計画始めよう! 美脚への近道! 理想的な足の構造とは?
Beauty 2019.11.12
小さな面積でありながら、全体重を支える「足裏」は、身体の土台ともいえる大切な存在。それゆえに足の骨格構造が乱れると、ボディラインやさまざまな足のトラブルに影響することも……! 今回は足の構造と美しい身体づくりの関係について、のべ4万人の足を診察してきた専門医、桑原靖先生に伺います。
桑原靖
足のクリニック 表参道 院長
埼玉医科大学医学部卒業後、同大学形成外科にて創傷治療学を専攻。外来医長、フットケアの担当医師を務めたのち、2013年に日本初の足専門クリニックを開院。骨格や皮膚、血管など各分野と連携を取りながら、足の総合的な治療とケアを行っている。
あらゆる足の悩みは「アーチの崩れ」が原因。
外反母趾や巻き爪、膝の痛みなど、足に関するトラブルの根本をたどると「足裏のアーチ構造の崩れにたどり着きます」と、桑原先生。足首から下には、実は全身の1/4もの数の骨が集中しているという。「約28個の骨が関節や靭帯で繋がり、甲の部分が浮いたアーチ型の構造を形成しています。このアーチがたわむことで、体重や衝撃を吸収し、歩行の推進力に変換するんです」(桑原先生)
足の骨格構造
<正しい足の骨格構造> 骨同士が関節面できちんとかみ合い、足の甲が浮いたアーチ型の構造。このアーチが体重を分散し、推進力を生むことで、スムーズな歩行が可能に。 |
<崩れた足の骨格構造> 骨格構造が弱いと、アーチがつぶれてしまう。足の軸が定まらず歩行が不安定になり、特定の部位に力が集中すると、外反母趾や巻き爪の要因に。 |
「アーチ構造がぺたんと崩れると、足が内側に傾いて、足首の関節が内側に倒れます。足にこのようなねじれが生じると、特定の部位に不要な力がかかり、靴ずれや魚の目の原因になる。指に負荷が集中すると、爪が変形したり、巻き爪になりやすくなります」(桑原先生)
ねじれが生じた足は、歩行に不要な筋肉を使うため、一日の終わりにはぐったり疲れやすくなる。この状態が続くと、筋肉が張り出して足のシルエットが崩れたり、脚の長さに微妙な差が生まれてしまうことも……!
あなたの足は大丈夫? 足の構造が崩れているサインをチェック!
□ 足が疲れやすい。
□ スニーカーよりハイヒールのほうが楽。
□ 靴底のかかとの減り方が左右で違う。
□ 夜寝ていると足がつりやすい。
□ 足裏にタコや魚の目がある。
□ 大股でゆっくり歩けない。
□ 片足で立つとフラフラする。
□ パンツの裾の長さが左右で違う。
チェックが多いほど、足の構造が崩れている可能性が!
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足首が硬くなる「ハイヒール」にご用心。
日本人はもともと足のアーチが平たい「扁平足傾向」の人が多く、約7割にも及ぶそう。「男性のほうが骨格や構造がしっかりしていますが、女性は骨格が弱いぶん、足の構造も崩れやすい。特に踵の高い靴を常用していると、アキレス腱が収縮し、足首の柔軟性が失われやすいんです」と、桑原先生。私たちが歩く時は、まず踵が着いて、足首が前に倒れ、後ろに蹴り出すことで前に進む。一連の動作には「足首がしなやかに動くこと」が必要なのだ。
足首の構造
<正常な足首> 足首を後ろから見ると、本来は縦のラインがまっすぐ繋がっている。 |
<扁平足> 足が内側に傾き、足首のラインが内側に曲がる。体重がかかることで、たわみではなく歪みとなる。 |
<甲高> 足が外側に傾き、足首のラインが外側に曲がる。体重がかかっても、ほとんどたわみが生じず、足での衝撃吸収ができない。 |
足首が硬いと地面をしっかり踏ん張ることができず、小股でちょこちょこ歩くことになる。当然筋肉が疲労して、夜になると足がつったり、痛みが発生する場合も。片足で立つとふらついたり、大股で歩けない人は、足首の柔軟性が低下しているサインと心得て。
「本来は大股でしっかりと重心を移動させながら歩くのが理想です。普段ハイヒールを愛用していたり、足が疲れやすい方は、足首を柔軟に保つ『アキレス腱のストレッチ』、足全体の動作を司る『股関節のストレッチ』を取り入れてみましょう」(桑原先生)
アキレス腱のストレッチ
- 両手を肩の高さにまっすぐ伸ばし、壁につけて立つ。
- 片方の足を一歩後ろに下げ、前の脚をゆっくり曲げていく。アキレス腱が気持ち良く伸びる状態で1分間キープして。脚を替えて何度か繰り返そう。
股関節のストレッチ
- 片方の膝を床につき、もう片方の膝を前に出し90度に曲げる。
- 背筋をピンと伸ばしたまま、お尻をゆっくり前にスライドさせて。太ももが気持ち良く伸びる状態で1分間キープする。脚を替えて何度か繰り返そう。
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正しい靴選びで、美脚を手に入れる。
華奢なデザインのミュールやハイヒールは、足元を女性らしく演出してくれるけれど……?
「靴の役割は本来、足を正しい位置に固定したうえで、歩行をサポートすることです。履いた時にスポッと脱げてしまうミュールのような靴は、無意識のうちに指先に力が入りやすい。ハイヒールもすべてがダメとはいえませんが、足をきちんとサポートする靴を選んでいただきたいですね」(桑原先生)
正しい靴の選び方 5か条
- ヒールカップがしっかり硬く、踵が固定されている。
- 足の甲の高さがちょうど良く、きちんと甲を覆っている。
- 素材は革など、足の形に適応して伸縮するもの。
- 爪先の余裕は5~10mm。足が少しだけすべることで衝撃を吸収。
- 置いた時に安定感があり、靴底に適度な厚みがある。
最低でも「踵が固定される」「甲の高さが最適」「靴内部で足が動きすぎない」の3つの条件を満たす靴を選びたい。さらに、インソールで下から足のアーチ構造をサポートできると理想的だ。ヒールが履けないとファッションの楽しみが減ってしまうような気もするけれど、前述のとおり、足は小さな面積で体重を支え、ボディラインに関与する大切なパーツ。本質的な意味で「美しいシルエット」を手に入れるなら、ぜひ靴選びや普段のケアに心を配って。
「シルエットはもちろん、巻き爪も外反母趾も、根本要因を解消しないと再発してしまいます。根本要因とは、足のアーチ構造を正しく保つこと。もし痛みや動作の不具合など、足に何がしかのトラブルがあるなら、専門医にご相談いただくのもひとつの方法です」(桑原先生)
医師のもとでは、医療用のインソールを用いてアーチ構造のサポートをしたり、症状によっては手術等の選択肢もある。生まれつきの骨格や柔軟性など、足の個性は人それぞれ。自分の足の傾向を知る意味でも、専門医は頼もしい存在だ。
足のクリニック 表参道
東京都港区南青山5-6-24 南青山ステラハウス3F
tel:03-6434-1082
診)10時~13時30分、15時~19時
休)日(一部診療)
https://ashi-clinic.jp
illustrations:NAGISA HAMADA, réalisation:NAMIKO UNO