美髪のための土台づくり、頭皮ケア4つのポイントとは?
Beauty 2020.06.01
美しい髪は、健やかな頭皮から誕生するもの。そうとは知っていても、実際の頭皮と髪の関係性を理解して、効果的なケアができていますか?
頭皮も髪同様に老化していくものだから、ポイントを押さえたお手入れは必須。土台を整えて美しい髪を育むための「頭皮ケア」4カ条を、花王ヘアケア研究所の早間美由紀さんに伺いました。
花王ヘアケア研究所 主任研究員
入社以来ヘアケア研究に携わり、頭皮や毛髪のメカニズムを熟知するエキスパート。消費者のヘアケア行動を丹念にリサーチし、イネス、エッセンシャルフラット、リーゼなど多くの商品開発を手がける。
point 1
髪のハリやコシを左右するのは、頭皮の血流量。
髪は頭皮に存在する毛根から生み出されるものだけど、毛根の毛母細胞に酸素や栄養を届けるのが、頭皮のすみずみまで張り巡らされた「毛細血管」。
「日常的に頭皮の血流量が多い人ほど、髪にもハリやコシがあるという相関関係があります。調査では20~70歳の女性を対象に測定したのですが、年齢に関係なくその傾向が認められました」と、早間さん。
つまり、同年代だったとしても、頭皮の血流量が多い女性のほうが髪にもハリ・コシがあるということ……?
「はい。同年代でも個人差があり、血流が多い人のほうがハリ・コシが高まる傾向が認められます。また、年齢が高い人のほうが血流が悪いかというと、一概にそうとはいえません。さらに50~70歳の女性を対象にした調査では、血流量の多い人ほど、髪も太くなる傾向が判明しました」(早間研究員)
左は、20~70歳女性の頭頂部の血流量と、髪を曲げる時にかかる力(=ハリ感の目安)を測定したグラフ。右は50~70歳女性の頭頂部の血流量と、髪の太さを測定したグラフ。血流量が多いほど、ハリ・コシが高まり髪も太くなる傾向が見てとれる。資料提供:花王
ハリのある健やかな髪を育むために、頭皮の血流がこんなに大切だったとは……!
「血流を促すための最も簡単で効果的な方法は、頭皮のマッサージです。3分間、正しい方法でセルフマッサージを行うと、頭皮の血流量が最大120%上昇することが確認されています。専用アイテムを使うのももちろん効果的ですが、毎日無理なく続けるなら、シャンプーで洗う時やトリートメントを塗布する際に、マッサージを取り入れるのがおすすめです」(早間研究員)
頭皮マッサージを習慣にするために、花王ではこんなメソッドを提案。気になる方はぜひ、参考にしてみて。
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point 2
頭皮にも老化はつきものだから、スキンケア発想でお手入れを。
年齢とともに肌の機能が衰えていくように、実は頭皮もエイジングしていく。
「髪は本来、すくすく伸びる『成長期』、毛根の働きが衰える『退行期』、完全に働きを停止して抜け落ちる『休止期』というサイクルを繰り返しています。年齢とともに頭皮に存在する毛根の働きが衰えると、成長期にある髪が減少し、代わりに休止期が長くなります。成長サイクルが全体的に遅くなり、毛量が減ったり、一本一本の髪もハリを失いやすくなるんですね」(早間研究員)
髪の成長サイクル。成長期は平均3~6年、退行期は約2~3週間、休止期は約3~4カ月。休止期を経て新しい髪が成長していくが、頭皮環境が悪化するとこのサイクルが乱れることも。資料提供:花王
髪の成長サイクル以外にも、老化によって頭皮の状態は変化していく。
「年齢を重ねると、頭皮は『薄く』『硬く』『動きにくく』なる傾向があります。頭皮が柔軟な状態だと、髪の根元がふんわり立ち上がりますが、硬くて動きにくい頭皮では立ち上がりが損なわれ、髪がぺたんとしやすいんです」(早間研究員)
もし髪の質感や根元の立ち上がりに変化を覚えたら、頭皮が老化しているサインかも? スキンケアと同じ発想で、頭皮もケアしてあげよう。汚れを落とし、頭皮に必要な潤いを補給し、マッサージで柔らかくほぐして。頭皮環境が整うことで、健やかな髪が生まれるはず。
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point 3
夕方になると硬くこわばる頭皮、ほぐしてケア。
考え事をしたり、仕事が忙しいと、頭部がコチコチに固まる感じがしませんか? その感覚、気のせいではないかもしれません。
「頭皮の『動き』を測定すると、午前中より午後のほうが動きにくくなる傾向があります。この頭皮の動きやすさの変化が、頭皮のコリを感じる一因と考えています」(早間研究員)
動きが悪くなるということは、頭皮が硬くこわばっている証拠。頭皮を巡る血流も低下してしまう可能性がある。
「一日で急激に頭皮の柔軟性が低下したり、血流が低下することはありませんが、頭皮がこわばった状態が続くと、慢性的な血流量低下や髪の質感に影響するかもしれません」と、早間さん。特に仕事で頭が常にフル回転、デジタルツールに触れる機会も多い人は、ご注意あれ。
「一日の終わりにマッサージを取り入れて、凝り固まった頭皮をじんわりほぐしてあげましょう。また、乾燥によっても頭皮の柔軟性は失われます。頭皮は背中や腕に比べて水分が蒸散しやすく、乾燥しやすいエリア。しっかり保湿してあげることも大切です」
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point 4
頭皮の臭い対策は、皮脂をしっかり洗い流すこと。
頭皮には皮脂腺がTゾーンの約2倍も存在し、汗腺は胴体の約2倍というベタベタしやすいエリア。これからの季節、ちょっぴり「臭い」が気になることも……!?
「汗や皮脂に雑菌が繁殖したり、空気に触れて酸化すると、独特の臭いを発します。特に頭皮は洗髪から時間が経つと皮脂量も増え、その皮脂の組成も変化していきます」と、早間さん。この変性した皮脂は、頭皮に刺激を与えたり、臭いの原因となる物質。
汗や皮脂が変質して、臭いの原因になる。資料提供/花王
「臭いや変性皮脂による頭皮トラブルを防ぐためには、何よりもシャンプー時に余分な皮脂をしっかり洗い流すことが大切です。洗い残ししやすい後頭部と襟足、そして生え際の部分は、髪の間に指を入れて頭皮をしっかりと洗い、すすぎも丁寧に行いましょう」(早間研究員)
すすぎの時は頭頂部からだけではなく、うつむいて後頭部からもシャワーを浴びることで、洗い残しを防ぎ、頭皮全体を清潔に保つことに繋がる。臭いが気になる人は、洗髪前に皮脂を効率よく浮き上がらせるオイルや、デオドラントシャンプー、日中にドライシャンプーを取り入れるのもひとつの手。
「ドライシャンプーは、もともと欧米で人気のアイテムです。配合されたパウダーが皮脂を吸着して、一時的に頭皮や髪をサラサラにします」(早間研究員)
ベタつきを抑え、根元のふんわり感が復活するので、汗や皮脂が気になる夏場や、髪のハリ・コシが少ない人には頼もしいアイテム。ただし、あくまで一時的な効果なので、一日の終わりには入浴し、シャンプーできちんと汗や皮脂を洗い流そう。
大人の頭皮を見つめた頭皮ケアの4つのポイント、土台から美しい髪を育みたいなら、ぜひ実践してみて! 次回からは4つのポイント別に、お手入れに最適な注目アイテムを紹介します!
photo:©JGI/Jamie Grill/Blend images/amanaimages, réalisation:NAMIKO UNO