良質な睡眠、ストレス減少......森林浴がもたらす効果。

特集

何週間にもおよぶ自粛生活の後、私たちは自然との触れ合いを求め、その大切さを痛感している。睡眠の質、ストレスホルモンレベルの低下、血圧の改善……。森林セラピーの専門家である李卿(リ・ケイ)医師が、なぜいま森林浴をはじめるべきなのかを説明してくれた。

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森林浴は日本の医療現場で実用化されている。photo : iStock

私たちは家に長い間閉じこもる生活を送り、これまで経験したことがないほど自然や緑を求めている。森が私たちによい効果をもたらす科学的根拠があるとの知らせが届いた。

日本では「森林浴」、または森林セラピーは一般的によく知られ、医療の現場で実用化されている。日本の森には木々からの健康効果を得るための歩道がある。李医師はその道のプロだ。彼は日本医科大学公衆衛生学科の免疫学者であり、日本の森林医学研究会の創設者でもあり、2005年から森林浴に関する研究に取り組んでいる。著書『Shinrin Yoku』(Penguin Life刊)の中で、李医師はなぜ森林浴を実践すべきかを説明している。2年前、李医師がパリを訪れた際、パリにある森林公園ブローニュの森からほど近いカフェで彼と会った。

――「Shinrin Yoku」とは何ですか?

「Shinrin Yoku」とは森林浴を意味する日本語です。森の中で五感を使って健康を増進し、ストレスを減らす活動と意味します。

――いつから森林浴が行われるようになったのですか?

森の中を散策するというのは以前からありましたが、「森林浴」とは、1982年に日本の林野庁が健康増進を提唱する目的のため、初めて用いた言葉になります。しかし、当時は森林浴の利点について科学的証拠はまだありませんでした。健康を気遣うために森に出かけるようになれば、森の保全に対する意識も高まるだろうというのが当時の考えでした。

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森林浴は睡眠の質を改善する。

――日本では森林浴が医療の現場で実用化されているそうですが、健康への具体的な効果を教えてください。

森林浴は予防医学です。病気を治す効果はありませんが、免疫システムを強化します。森林浴は、睡眠の質を改善し、ストレスホルモンを低下させ、血圧を改善します。

――森林浴による影響をどのように測定されるのでしょうか?

私が行った実験のひとつでは、森林浴を実施するグループに対して、森林浴を行う前と後にあるデータを測定しました。森で2晩過ごした後、すべての参加者の間で、ウイルスやガン細胞との闘いを助けるナチュラルキラー細胞の活動が増加しました。彼らのストレスホルモン「コルチゾール」値のレベルは下がり、平均睡眠時間も伸びました。

――この森林浴による影響をどう説明しますか?

ひとつ目は、森の空気中のフィトンチッドの存在です。一般的にエッセンシャルオイルとして知られる、木から放出される分子は、ナチュラルキラー細胞の数を増やし、ストレスホルモンを下げる効果があります。森の空気を吸い込むことにより、これらの分子の利点を利用します。森の中を歩いていると、エネルギーを節約するために身体の機能を遅くする副交感神経系が刺激され、逆にストレスがあるときに活発になる交感神経系が弱められます。このように神経系が再調整されることにより、コルチゾールレベルが低下するのです。

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最も重要なことは、五感を研ぎ澄ますこと。

――どのように森林浴を行えばよいですか?

最も重要なことは、五感を研ぎ澄ますことです。 鳥のさえずりに耳を傾け、木々の緑の色合いを見て、森の香りを嗅ぎ、口から空気を吸い込み、またフィトンチッドを吸い込みます。 木の幹に触れたり、地面に寝転んだりすることもできます。重要なことは、完全にその時間にどっぷりと浸ることです。

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李医師の著書『Shinrin Yoku初版17.95ユーロ

――スマートフォンは自宅に置いておくほうがよいとおっしゃっていますね。

理想的にはそうですね。しかし、スマートフォンを携帯しないのは難しいこともわかります。できるだけチェックしないようにしましょう。

――どのくらいの頻度で、どのくらいの期間、森林浴を行ったらよいでしょうか?

私の経験では、森に2泊3日滞在すると、免疫システムへのよい影響を受けることができ、そのポジティブな効果を1カ月間持続させることができます。したがって、月1回週末に実践することが理想的です。でも、日中しか行けない場合には、週1回2時間実践してみましょう。

――著書の中で、街の中でも森林浴はできるとおっしゃっていますが、どのように行えばよいですか?

街の中の公園で散歩中に五感を活性化することができます。森の中にいる時のようには免疫システムを強化することはできませんが、リラクゼーション効果はすぐに表れます。たとえば、私の生徒たちと一緒に都内の公園で2時間の森林浴を行います。このセッションの前後に65種類のポジティブまたはネガティブな感情に関するリストに回答してもらいます。公園で2時間過ごした後、疲労感、怒り、混乱などのネガティブな感情が軽減され、ポジティブな感情が高まりました。

――家やオフィスでも森からの効果を得られるとおっしゃっていますが、どのように実践すればよいですか?

フィトンチッドを含むエッセンシャルオイルなどから、森の要素を取り入れることができます。 家やオフィスに植物を置いたり、森の音を使った音楽を聴いたりするのもよいでしょう。これらすべてから森のリラックス効果が得られます。

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texte : Sevin Rey (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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