パリ街歩き、おいしい寄り道。

ドラクロワ美術館とセーヌとカフェ・ド・フロール。

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やるべきこと、考えるべきことが山とあって
朝から心臓がばくばくしていた。これじゃダメだ
と思い、いったん作業から離れることにする。
お天気もよいし、ロダン美術館でゆったり過ごしたい
ところだったけれど、きっと気持ちが焦ってしまうし
規模の小さいところで、わりと近場で……と考えて、
ドラクロワ美術館に行くことにした。
「ウジェーヌ・ドラクロワ友の会」の会長を務めた
画家、モーリス・ドニとドラクロワの作品に焦点を
当てた企画展中で、けっこう混んでいた。
写真にあるのは、右がドラクロワで左がゴーギャンの
作品。この時代の、お花を描いた作品は好きだなぁ。
ひと通り観て回ってから、アトリエの前に広がる
お庭へ出た。すでに萎れているものもあったけれど
いろんな種類のバラが咲き乱れていて、それぞれに
香りが違うから、お庭じゅう、香りを嗅いで回った。

いい匂いをたくさん吸い込んで、美術館を後にし、
セーヌ川までてくてく歩く。私の場合、気持ちを
落ち着かせるのには、セーヌに行くに限る。
ポン・デザールの東側、西側の風景を交互に見て
しばらくしたら、心の昂りもおさまっていた。
ふと見上げたら、南京錠が街灯にかけられていた。
本当はここから右岸に渡って、行くつもりのお店が
あったのだけど、なんだか右岸に行く気にならなくて
左岸に引き返す。とてもいいお天気で25度もあって
お昼を食べそびれていたから、お腹が空いていた。
食べたいものはすぐに頭に浮かび、フロールへ。
バニラのアイスに、フランボワーズのシャーベット、
そこにベリー系のソースがかかって、シャンティが
たっぷり絞られたクープ・サンジェルマンが目当て。
カフェ・ド・フロールにたまーにひとりで行くときは
2階の席につく。静かでいい。
この日も、物書きっぽいムッシュと、打ち合わせ中の
男性グループだけだった。クープを食べたくなったら、
右岸ならセバスチャン・ゴダール。左岸ならやっぱり
フロールだなぁ、とひとり勝手に納得しながら、
すっかり気持ちも落ち着いて、家に帰った。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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