パリ街歩き、おいしい寄り道。

今年いちばんリピートのビストロと、ディオール展。

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バカンスに入る前に、どうしても行きたいなぁ
と思っていたビストロ、シェ・ラ・ヴィエイユ
フィガロ本誌5月号のパリ特集でも紹介したこちらは
10年来の友人のお店で、実は友だちになった最初の
きっかけも、彼が初めてオープンした小さなお店、
スプリングをフィガロで取材したことだった。
思えば今年、いちばん行っているお店。
予約必須の2階のテーブル席よりも、予約不可の
1階のバーカウンターが私は好きで、お仕事ごはんも
2〜3人の気のおけない会食なら専らカウンター。
小さめのポーションで、内臓料理を含むクラシックな
フレンチが楽しめて、とても好みなのです。
いつもは、パリ中を食べ歩いているパリジャンたちで
混み合っている平日のランチも、バカンスシーズンで、
いちばん好きなカウンター奥の席も難なく陣取れた。
「軽くお昼を食べに来た!」と着いたときには
高らかに宣言したのに、メニューを見たらやっぱり
テット・ド・ヴォーに抗えず、この日のメニューには
夏らしくトマト・ファルシもあり、結局
なんだかとても食べ応えのある2品を注文。
カリッと仕上げられ、ねっとりゼラチンがいっぱいの
テット・ド・ヴォーは安定の味。続いて出てきた
トマト・ファルシは想像を見事に裏切る大胆さで、
付け合わせにごはんが出てきたのもうれしく、ひとり
ニヤつきながら、ナイフを入れた。
いま夢中になっている小説を読みながら
満喫のランチを終え、最後のお客となった店内で
お会計をお願いすると…… フロア責任者のレミーが
「明子、ここでの仕事に区切りをつけることにしたよ」
と言ってきた。好きなワインの道に集中することに
決めたらしい。そうかぁ、バカンス前にどうしても
行っておきたい!と思っていたのには、
なにか直感があったのかもしれないなぁ。


歩いて5分もかからずに着く装飾芸術美術館に向かう。
すっごく混んでるよ、と聞いてはいたけれど、
みんなバカンスに出て少しは空いてきたかな?
と淡い期待を抱いて行ったディオール展。
が、甘かった。着くと、入り口には長蛇の列。
その時点で45分待ち、という。
すでに閉館時間まで2時間強しかなく、
展示を見るのには最低でも2時間はかかるから、
スマホをお持ちの方はいますぐネットで券を購入し
入場されることをお勧めします! プリントアウトの
必要はありません!とスタッフが呼びかけていた。
ので、すぐに美術館サイトでチケットを購入。
それで入場したのはよいのだけれど……あまりの人に
酸欠になって倒れるかと思う混み方だった。
でもしばらくすると、少しずつ人が少なくなってきた。
どうも、時間切れで入場が制限されたようだ。
少しゆとりのできた館内で鑑賞する。
ミニチュアのドレスに靴やバッグ、アクセサリーが
展示されたコーナーで、うわぁあれ素敵!!と
思ったものはどれも1947年と1948年の作品
だった。自分の好みがわかって面白い。靴も、
惹かれるのはロジェ・ヴィヴィエのものだったなぁ。
係員の人に、出口の方向に進んでくださいー!と
せっつかれながらではあったけれど、
最後の最後だったから、人の少ない中で
“Les Jardins Dior (The Dior Gardens)”
のコーナーを見ることができた。
パリだからできることだよなぁと思ったのは、
モネやファンタン=ラトゥールの絵画が、
テーマに合わせ、展示されていたこと。
こちらの出口を出たら、向かいにもまだ展示室がある
というのでそちらに向かおうとしたら、”閉館です”。
え?! なんと?!
そう、見切れませんでした、最後まで。
後半、あとどれくらいあるのか知らないけれど、
また行かなくちゃ。いや、あれは2時間じゃ足りない。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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