パリ街歩き、おいしい寄り道。

メインは古代麦パスタの新ビストロと、ホックニー展。

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昨年からNYに移住した友人がバカンスでパリに
帰ってきていて、ランチをすることになった。
とっても腕の良い料理人の彼女から
「明子、もうKitchen ter(re)に行った?」と聞かれる。
Ze Kitchen Galerie, KGB (Kitchen Galerie Bisの略)
の2店を6区で経営しているシェフ、
ウィリアム・ルドゥイユが、サンジェルマン大通り
沿いに、7月にオープンしたばかりの3店目だ。
まだ行っていなかったので、行くことにした。
ランチメニューは、メインに、古代麦のパスタのみが
5品並んでいた。このシェフらしく、豚とキムチや、
グリーンカレーのソースなどアジアンテイストが健在。
私は前菜に、ソフトシェルクラブとエビのコロッケ
黒ごまソースを、
メインには、照り焼きチキンとアリッサ、レモンの
コンフィが具の、スペルト小麦のパスタを注文。
いずれも食べやすい味で、一緒に来ていた幼稚園生の
子どもたちも横からどんどん摘まんでいた。
それにしても、ついにメインに古代麦のパスタだけを
揃えるお店が出てきたかぁと思う。
パリの古代麦ブームは続くのかなあ。

友人と別れ、そのまま歩いてポンピドゥーセンターへ。
デヴィッド・ホックニー展に行きたかったのだ。
入り口で、会場内での撮影は禁止と言われる。
ホックニーの絵画は、実物を見たら、もう全然私は
好きになれなくて、居心地が悪いし、違和感があった。
でもだから、ちゃんと見ようと思った。
違和感があるときというのは、何かがひっかかるのか
後までずーっと作品が自分の中に残ることが多い。
そして時を経て、まったく違う印象になったりするので、
そのときは居心地が悪くても、見るようにしている。
とはいっても、疲れてきたなぁ……と思い始めたころに、
写真の作品が展示されている部屋に行き着いた。
これが、もう、びっくりする作品で。
そのあとに登場した、映像の作品にも釘付けになった。
それらの作品の解説と解釈を読みたくて、企画展の
カタログと特集雑誌を、結局2冊も買ってしまった。
会場を出たら、空が、泣いた後のような様相だった。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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