パリ街歩き、おいしい寄り道。

エルスケン展と、ソーセージ&アリゴ。

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最寄り駅の改札を入ると、目の前に貼ってある
ジュ・ド・ポームの広告を見るたびに、ぎゅっと
引き寄せられて、行きたかったエルスケン展。
1950年代のパリを撮った写真から始まり、
1980年代の東京までをたっぷりと。
日常のひとコマの切り取り方と、その1カットに
宿る魅力に、思わず笑顔になったり、いきなり
切なくなって眉間にしわを寄せたりしていた。
写真の中の被写体に想いを寄せてしまう瞬間が
何度も訪れた。最高に好きな写真展だった。

すっかりパリは秋のお天気で、肌寒い。
少し前にたまたま前を通って、久々に今度来よう
と思ったお店があった。カンボン通りのフロット
10年くらい前に、ある雑誌のパリのカフェ特集で、
カフェの起源を残す店を探したときに通ったところだ。
ジュ・ド・ポームからは歩いて3分ほどで着く。
メニューを見ると、タルタルステーキや鴨のコンフィ、
ローストチキンなんかの定番メニューが並ぶ中に、
ソーセージとアリゴ、とあるのが目に付いた。
身体も温まりそうでちょうどいい。
正直に書くと、お肉の挽き方が粗い方が好きな私には、
ここのソーセージは好みの味ではなかったのだけれど、
カウンターの端には以前と同じくマダム・フロットが
健在で、スタッフの人たちが“マダム・フロット”と
呼ぶのを耳にするたびに、今日はここへ来てよかった、
と思った。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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