パリ街歩き、おいしい寄り道。

サント・シャペルとオニオンスープ。

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フランス生活19年8カ月目にして、初めて
サント・シャペルに行った。
これまでなんとなく機会を逃していたのだけれど、
先日、目の前にあるブラッスリーのクロワッサンが
この店の自家製で、とてもおいしいことを発見し、
インスタグラムで10月24日に写真挙げてます~!)
寄り道したい場所もできたし!と動機が生まれた。
お天気がよかった朝、出かけることにする。
幸い、それほど待たずに、入館することができた。
狭い階段を上がったところに開けた礼拝堂は、
まさに宝石箱のようだった。
普通の教会と違って日常に使われている場所では
ないから、観光名所の空気が満ちていて、
うーん……外国人が金閣寺を訪れるとこんな感じ
なのかなぁ?なんて思いながらステンドグラスを
眺めた。
私は絵画や彫刻の天使を見ると、いつも、なんで
天使って怖い顔をしてるんだろうなぁ、と思う。
でも、ここの天使はとても穏やかな顔をしていた。
パステル調の床も、フランスの歴史的建造物であまり
見かける色ではなくて、下を向いて歩き回った。


礼拝堂内部が寒くて、すっかり身体が冷えてしまい、
今日はオニオンスープだな!と、
目あてのブラッスリー・カフェLes Deux Palaisへ。
10日ほど前にクロワッサンがおいしいことを発見し
てからすでに3度目の訪問。
オニオングラタンスープを注文してから、サラダも
頼めばよかったかな、ともう一度メニューをもらい
見ていると、グリーンサラダのようなものが運ばれて
いくのが見えた。でもどうもそれは賄いっぽい。
そのサラダに該当するものは、サイドメニューにも
なかった。「何か追加しますか?」と聞かれたので、
「グリーンサラダらしいお皿をあのムッシュが運んで
行ったのだけど、メニューには見当たらなくて」と
いうと、「できますよ」とオーダーを受けてくれた。
オニオンスープはメニューにあってもおそらく缶詰の
お店がほとんどで、ここはちゃんとホームメイドと
記してある。クロワッサンも自家製なくらいだから
(そしておいしいし!)スープも作っているのだろう。
熱々で出てきたそれは、軽く焼き目のついたチーズの
量もほどよく、中に入ったバゲットも2切れほどで、
とてもバランスがよかった。ちょびっと塩っぱかった
けれど、サラダのドレッシングが軽めだったので、
ちょうどいい。
おなかに余裕があったから、自家製タルトタタンも
お願いした。甘さがとっても自然だった。
りんごの切り方も、スライスでも塊でもなく、そこに
主張がなくて、それがすごくよかった。食べやすい。
居心地がよくて、結局暗くなるまでそのまま仕事して
過ごした。今度はフリットを食べてみたいなぁ。

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川村明子

文筆家
1998年3月渡仏。ル・コルドン・ブルー・パリにて料理・製菓コースを修了。
朝の光とマルシェ、日々の街歩きに日曜のジョギングetc、日常生活の一場面を切り取り、食と暮らしをテーマに執筆活動を行う。近著は『日曜日はプーレ・ロティ』(CCCメディアハウス刊)。


Instagram: @mlleakikonotepodcast「今日のおいしい」 、Twitter:@kawamurakikoも随時更新中。
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