ボローニャ「森の家」暮らし

花咲く心は幸福を呼ぶ。豊かさに波長を合わせる3月。

2月末、三姉妹を連れて一年ぶりに日本へ。

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下向し始めた機内を眩しい朝日が射し、嬉しくなった。神々しい富士山を反対側の窓から拝みながら、これから半月ほどの日本滞在が、みんなにとって楽しく糧になる経験になりますように、とお祈りした。

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着陸から数時間後、神奈川の実家に着いて一休みすると、いつものように近所の神社に。

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流れる水があるところにとても惹かれる。この水でお清めすると、長旅の疲れもあれこれ考え事も、リセットされるよう。

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この一年で日本の漫画やドラマに興味を持ち始めた長女のゆまと次女のみうは、神社の佇まい、お参り、巫女、何かの祈願に訪れる学生や、神社を通り抜ける下校中の小学生など、すべてが新鮮で、目を輝かせる。

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ここ秦野の湧き水は、全国の名水百選の中で全国1位にもなり、たくさんの人が汲みに来る。神社の湧き水は、また特別良いエネルギーがありそう。

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木漏れ日に水のせせらぎ。みんなで自然と深呼吸。

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境内にある樹齢1000年のケヤキには、いつも必ずご挨拶。

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緑豊かな場所に行ったり、木や岩を触ったり、素足で地面に数分立つと、エネルギーが調節され、疲れ、痛み、ストレスを軽減することは化学的にも証明されている。グラウンディング、またはアーシングと呼ばれるこの方法は、身体を地面に直接接触させることで、身体に溜まった不要なエネルギーを放電してリセットし、パワーバンクである大地から必要なエネルギーを充電することができる。これを行うようになり、時差ボケ知らず。森でも日常的に行なっているけれど、疲れやストレスを感じる時は特に意識的にグラウンディングをするようにしている。

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疲れも何も流せて最高に気持ちいいことといえば、湯船に浸かること。森の家ではお湯のタンクの容量の問題で今までお風呂にお湯を溜めたことは一度しかなく、それもすぐ冷めてしまうし、長いことお風呂につかっていたい私の願いは今のところ日本に帰った時しか実現しない。日本のお風呂システムは(トイレも!)本当に素晴らしい。子どもたちも良くおばあちゃんちのお風呂に入りたいなぁというくらい、日本式お風呂ファン。

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実家の窓からは朝日が見える。森の家は東側に山があって、日の出の数時間後にしか朝日が見られないので、天気がいい日は車で4分、山の向こう側まで朝日を拝みに行く。橙色に輝く朝日は魂への栄養剤一番搾りのよう。朝日を浴びることは、体内時計をリセットし、睡眠の質を向上させるだけでなく、ビタミンDの生成を助け、免疫力を高める効果の他、メンタルヘルスのためにも大切なこと。雨の日でも朝一番に自然光を意識的に浴びることはとても大切だ。

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朝日を浴びてメディテーションをしたり、感謝や祈りを綴ったり、ヨガをしたりしたら、朝ごはん。実家で毎日食べた納豆ご飯は、お風呂に次ぐ日本での楽しみのひとつ。納豆好きは子どもの頃から。父の転勤でアメリカに引っ越した小学生だった私は、父の上司に日本からのお土産は何がいいかと聞かれ、納豆!と答えたら、その上司はアメリカ出張のたびに納豆を山ほど持ってきてくれた。でも常温で数日たった納豆はアンモニア臭がし始めて、食べられたものではなく、ういろうとか餅菓子とか言えばよかったなぁと後悔した思い出がある。

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今回の帰国に合わせて個展も開催した。3度目になるPale Juteとの東京個展、会場は原宿のギャラリー。3日間の開催期間、たくさんの方に作品を観ていただき、来場して下さったほとんどの方とお話ができて、笑いあり涙ありの素晴らしい経験となった。

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今回の個展のタイトルは、「QUI e ORA ~今・ここに・在る~」。世の中益々混乱したニュースが飛び交い、世界は破綻寸前かのように見えるかもしれないけれど、だからこそ、自分自信としっかり向き合い、今、この瞬間を意識的に過ごす。唯一確かなのは今、この瞬間だけ。過去も未来も各々が記憶と想像で綴る物語でしかないのだ。機内安全アナウンスで言われるように、誰かを助ける前に、まずは自分自身の酸素マスクを装着することが大切。自分の心のケアができていないと、操作されたニュースや溢れる情報に流され自身を見失ったり、意見が異なる人の選択を批判したり、なんでも誰かのせいにして被害妄想にとらわれかねない。

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毎朝自分と向き合う時間から感じたことを綴った詩は、個展のたびにPale Juteの松野さんが素敵な洋服に刺繍という形で着られる作品にしてくれるおかげで、たくさんの方に楽しんでいただけるようになった。

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スウェットに施された刺繍は立体感を感じさせ、ワイヤーの雰囲気が伝わってくる気さえする。

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神楽坂のお花屋さん、te-n.のなおさんが出張フラワーショップを開催してくれて、会場は華やかに。大好きな花に囲まれ、私も作品も、きっと足を運んで下さった方々も、とてもとても幸せだった。

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どの作品も思い入れがあるけれど、花のモチーフでハートを描いた作品は、頑なになった心を大きく開いて、たくさん花を咲かせましょう。そうしたら虫たちがやってきて、他の<花咲く心>に花粉を届けてくれて、豊かなエコシステムを作ることにも貢献でき、多くの実りも期待できるでしょう。という想いがつまっている。

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自由、希望、天上の知恵の象徴として、羽を用いた作品もいろいろ作った。<神聖な抱擁>は、<花咲く心>を優しく抱きしめ、そして解き放つイメージからうまれた。

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朝晩キャンドルを灯し、自分と向き合う時間を作るようにしている。自分にとっての祭壇的な空間があると、そこに座ってキャンドルを灯せばメディテーションモードに切り替えやすいと感じる。<祭壇>シリーズは、そんな習慣から作ったもの。

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そして、いつでも忘れないように、<感謝>のリース。毎朝私の感謝ノートには、このスーパーコンピューターである素晴らしく高機能な肉体に生まれてきて、五感、六感を使って濃い体験ができて、酸いも甘いもバラエティーに富んだ感情を経験し、人間らしい地球上の暮らしができることに感謝します、というようなことを毎日のように書いている。生きていられることは、それはそれは素晴らしく、ありがたいことだ。

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今回の帰国中、東京でPRの仕事をしていた時に仕事を通して友だちになった、さいちゃんこと橋本彩子さんに、新しいアトリエに招待してもらった。

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一緒にお仕事していたのはおそらく22年ほど前。当時最先端だったフィンガーフードのケータリングチームで活躍していたさいちゃんは、独立して詩的な料理を出張して作ったり、レシピを作ったり、テーブルを演出したり、おもしろいイベントで美味しいものを作ったりしている。屋号<FOOD LETTER>の作品は、前回ゆっくり会えた7年前に作ったもの。

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築地で待ち合わせて歩いて行った下町の小さなアトリエは、一日中陽が射すアットホームな気持ちいい空間。月数回、ここで料理教室やアトリエレストランも開いている。

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この日は野菜のぬか漬け、絵に描いたようなおでんや、マグロと菜の花の昆布締め、豆ご飯など、シンプルながらプロの技が光る料理をテーブルいっぱいに振る舞ってくれた。

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みうはひらめいたようで、ミニチュア寿司を作り出した。なかなかセンス良いプレゼンテーションが出来た。

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この可愛すぎるドイツのお香用ミニミニキッチンに、ティーキャンドルを入れて、マグロとお米を調理していた。(私も欲しい!)

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子どもたちがミニミニキッチンで遊んでいる間に、イチゴのスコップケーキとお茶をいただきながら、近況報告からディープな話まで、終わりなきおしゃべりを存分に楽しんだ。出会った頃から彼女のセンスとユーモアと佇まいが好きだった。こんなにじっくり話したのはもしかしたら2度目。それぞれ違う畑で成長してきて、人生いろんな経験を経て、ボキャブラリーは若干違っても、感覚的な話がちゃんとわかり合える友は貴重だ。家とアトリエと築地の間、自転車をこぎながら、唄をうたうようにレシピの材料やプロセスを調整するそう。彼女の料理は味も食感も彩りも無駄がなく、絶妙なリズムがあり、実に心地よい。

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一緒にお皿を洗って片付けて、また来るね!今度は一緒に料理しようね!いつか森でもね!と別れた。

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日本を発つ数日前。下北沢のアパートの一室を借りて、昔よく集まっていた気のおけない仲間が集まることに。アパートが見つからずうろうろしていたら、ミミズクと目が合った。ミミズクはうちの森にもいるけれど、いつも鳴き声しか聞こえないので、ここで会えるとは!とちょっと興奮。

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社会人になってすぐ、25年来の気のおけない友だちが次から次へやってきた。みんな持ち寄りでいろんな料理が並んだ。学生時代、サークルの友だちと集った時もこんな感じだったような。子どもたちは日本のドラマでこんなの見たことある!と大喜び。唐揚げを箱から食べるのもきっと初めて。高校生になった友だちの子どもたちにと打ち解けた三姉妹は、日本の友だちができて嬉しい!と言っていた。

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本当の友とは社会的なレーベルやステイタスは関係ない。仕事やパートナーが変わったって、支え合い、尊重し合い、一緒に笑って泣けて、放ってもおけて、時の隔たりを感じさせない友は財産だ。

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東京を後にして森に帰ったら、すっかり春だった。

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あたりはタンポポや小さなマルゲリータが絨毯のように咲き誇り、畑はケールやブロッコリーの黄色い花でいっぱいだ。

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それだけで、なんて豊かな生活だろう、ありがとう大地のお母さん!と思う。240404_ 1_blog_march_34.jpg

主に耕さない自然農法の私の畑。秋に窒素を固定するために植えたフィールドビーンズ(ソラマメ系)は、今花盛り。豆ができる前に地面で切って、大地に窒素が残るようにするのが目的なので、毎日いるだけ収穫して、ほうれん草のように使っている。

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炒めたりニンニクとブレンダーでまわしてペストにしたり、味噌汁の具にしたり。この日はヒヨコ豆の粉をといた液をくぐらせて揚げ物に。

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紫ブロッコリーの脇芽も揚げた。

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あぁ幸せ。

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畑は冬から何もせずしてずっと収穫できていて、いつも2、3月にはグリーンハウスで苗を準備し始めるビーツやサラダ類も、去年花が咲いてタネが落ちたものが自然と育っているので、今のところ苗作りはしていない。これから菊芋やスナップピーなどは直植えで、その後ズッキーニやキュウリなどの苗を準備するつもり。

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唯一、土をいじったのは、アスパラガスの畑。2年前に段々の畑を作って牛糞の堆肥で土作りをしてアスパラの株を植えたものの、当時畑の奥の森側にはフェンスがなく、夜な夜なミミズを食べにヤマアラシやアナグマがやってきて、毎晩アスパラ畑はひっくり返されてしまった。

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これは植えた当時の写真。堆肥化した牛糞にはたくさんミミズがいて、アスパラも嬉しかっただろうけど動物たちはもっと嬉しかったに違いない。

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数える程だけ残った当時のアスパラの株からは、太く立派なアスパラが。新しい株から生えるアスパラは2年間は収穫せずに育てて、株を育てる。これだけ太くなっていれば食べても良さそうだけど、来年まで待つつもり。うまくいけば15年ほど収穫できるというので楽しみ。除草してご近所さんにもらった自家製コンポストを混ぜ、新たに株を植え直した。そしてその畝に沿って、アスパラと植えると相性がいいというニラやニンニクを株分けして植え付けた。白くて丸い花が沢山咲くといいな。

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雑草対策で、通路のところにはロバたちの藁と糞が混ざったものを敷き詰めマルチング。これでどれだけ雑草対策ができるか分からないけれど、ものは試しで実験中。

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ところで先日おもしろいイベントに参加した。ヴィンテージカーのメモリアルラリーだ。

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地元のリゾートには、100台以上のヴィンテージカーが集まり、ファンたちも沢山駆けつけた。

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ヴィンテージのフィアット500ほか、昔の車は車体が低いものが多く、大きなおじさんたちが、折れ曲がって窮屈そうに、でも楽しそうに車に収納される姿は滑稽で愛らしい。

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私は仲良しのセレーナの1973年製シトロエン・ディアーヌの助手席で参加。

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出発は朝9時40分。まずはトスカーナ方面へ。山道を上り降りしながら快適ドライブ。

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折り返し地点は標高1000メートル。霧が出てきて風も強くなり、別世界に来たよう。

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そしてなんとエンスト。上り坂を頑張りすぎたようだ。今朝整備士のところから帰ってきたばかりなのに!とセレナ。イベントオーガナイザーに電話して、伴走していた整備士を回してもらったものの、彼らではなんともならず、その後ベテランがやってきて、一件落着。冬中停まっていたのでガソリンのチューブに空気が溜まっていたのが原因だったよう。

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ラリーの番号は、17番。イタリアでは17は運の悪い数字と言われていて、受付の人は「17番でもいい?」と心配そうだった。17の迷信のことを知ったのは、三女のたえを出産した時。16日の夜23時過ぎにお産で病院に行った時、パオロは「あと少しで17日になってしまうなぁ、今年は2017年だし、ダブルで17か‥‥‥」なんていうので、そんなのイタリア人だけの迷信でしょ、と私はまったく気にもしなかった。17番をもらったおかげかエンストして、私はやっぱり⁉というより、きたーっ!!とワクワクした。

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駆けつけてくれた整備士たちとのおしゃべりも楽しく、そのうちのひとりはなんと教師だったセレーナのお母さんの教え子だったことがわかり、世の中狭いよね、と笑った。一見マイナスなことでも、ポジティブな視点で見つめたら、必ず何かギフトが見つかるものなのだ。私たちは一見不運だったことを笑い飛ばし、そのエネルギーに陥らなかった。

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私たちが最後かと思いきや、途中でエンストしている車が数台あった。50キロほどのコースを無事完走して街へ戻ってきて、12時ごろアペリティーボ。いい大人たちがいい顔していてよかった。そしてやっぱり今の車より昔の車の方がずっとカッコいいと確信した。

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月末にはパスクァ(復活祭)のバカンスがあって、学校は6日間お休みに。私はパスクァの数日前から少しずつ料理を準備。

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去年の秋に収穫した大きなエレファントガーリック。それに庭のハーブとフランス土産のバターをブレンダーでまわしてガーリックハーブバターを作り、パン生地に塗って編んで焼いた。

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初めて作ったこのカタチ、見た目も可愛くて、バリエーションも色々作れて楽しい。

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オーブンで焼いたヒヨコ豆粉の生地、パネッラには、よく炒めた玉ねぎとキノコのディップ、うずらのたまごをトッピング。  

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エンダイブには、カルチョフィと豆腐とパルミジャーノのクリーム、ヤギのチーズ、アスパラ、炒ったナッツにオレンジ風味のオイルをかけて。

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卵なしのキッシュは、畑の野菜にヒヨコ豆やジャガイモのフィリング。

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キヌア以外は畑でとれた野菜で作ったグリーンと花のサラダは、毎日でも食べたい美味しさ。 

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他にもタネがつまったクラッカー、サワークラウトやスパイスでマリネしたヒヨコ豆、おかずマ
フィンなどを作った。

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パスクァといったらバーベキューや羊肉料理を食べることが多い。でも肉をほとんど料理しなくなり、ナターレやパスクァなど宗教的な行事で肉料理が主流で食べられる時も、私は見た目も華やかで味にもバリエーションがある野菜中心の料理でおもてなしをしている。

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それでも生粋のボロネーゼのパオロも子どもたちも、こんなイベントの時に必ずと言ってもいいくらい食べられる伝統の詰め物パスタ、トルテッリーニを食べたがる。これはパスクァに来た友だち夫婦が持ってきてくれたもの。

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ラザーニャもボローニャ料理で、お祝いの席でもよく食べられる。これはパスクェッタ(パスクァの翌日で、この日も祝日)にフレッシュパスタ屋さんの夫婦が持ってきてくれたもの。伝統のラグー(ミートソース)ではなく、ベジタリアンでバジルのペストとドライトマト入り。

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ドルチェはコロンバ。その名の通り、ハトを象っている。パネットーネのような長時間発酵生地は、たまごとバターがたっぷりで、しっとりふわふわ。

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そして子どもたちは、待ちに待ったチョコレートのエッグハント。

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広い庭には隠すところはいくらでもある。みんなすべてのたまごが見つかるまで根気よく探すのだ。

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それからカテリーンとたえと散歩がてら、いまが旬のワイルドアスパラガスを探しに。

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この辺りのことならなんでも知っているドナートにどのあたりで採れるか聞いて、行ってみたらあったあった。松の木など酸性の森によく生えている。

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たえもたくさん採れて嬉しそう。

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味はまるでアスパラ。私はエッグハントよりアスパラハントがいい。

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私の感謝ノートには、いつも豊かさについても書いている。豊かさはお金と結びつけがちだけれど、人との縁、健康、インスピレーション、好奇心、遊び心、精神の安定性、そんなものもすべて豊かさのバロメーターになる。私たちは常に豊かで、神聖な力が私たちの信念に沿って豊かさをサポートしている。例えば、自分には仕事運がないと思っている人には、その信念を応援してくれるので、ますます仕事運は良くならない。良縁がないと思っている人には、その信念を覆さない限り、今思っていることをサポートしていてくれる。

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すべてはエネルギーであり、私たちは自分が発するエネルギーと同じものを呼び寄せている。それで、自分が本当に望む姿のエネルギーに波長を合わせていくことが大事になる。また、宇宙は私たちが望むものではなく、私たちに必要なものを与えてくれる。それはもし好まないことが起きた時は、そのおかげで望まないことがより明確になったといえる。難題が起きた時は、そこにどんな学びがあるかを好奇心を持って対応する。そしていつでも宇宙は自分の味方なのだということを信じて、もし何かあったとしても高い次元からみたらなんでもない、すべては神聖な力が働きかけているのだと、身をまかせる。そうしたら、もっとみんなが優しくなり、心安らかに過ごせるのではないか。

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イエス・キリストが復活したのは春だった。春だったのは偶然ではない。偶然なことは何もないのだ。この身を持って生きていられるのは一度きり。この春、新たな気持ちで自分が本当に望む豊かさに波長を合わせて、フレッシュなジャンプスタートを切ろう。高く、心軽やかに。

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3月に東京で開催された個展が、4月6日、7日に京都で開催されます。Pale JuteとのコラボレーションTシャツやグッズも販売されます。詳しくはPale Juteのウェブサイトやインスタグラムのページをご参照ください。

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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