本物の土の魅力を味わう、秋の唐津旅
こんにちは、都田です!朝夕が少し肌寒くなって、秋の深まりを楽しむ季節となりましたね。さて、久しぶりに九州の唐津市周辺を訪れました。器に触れる仕事柄、自然豊かな環境で生まれる唐津焼にも興味深々。
その唐津焼の起源は、室町時代末から桃山時代にかけて山あいの岸岳付近で焼かれたとされ、その後、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に朝鮮から連れ帰った陶工が各地で窯場を作り焼き始め生産量が一気に拡大し、唐津焼は日本の茶の世界における茶碗の格付け「一井戸、二楽、三唐津」と古くから愛されてきました。
今では70もの窯元が唐津市内にあるそうですが、現代作家による作品はカフェや飲食店、旅館、ホテルでも唐津焼が気軽に楽しめるんですよ!こちらは宿泊した昭和28年創業の「日本料理旅館 水野」。
唐津城のすぐ近く紙問屋の別荘だったそうで、400年前名護屋城から移し築いた武家屋敷門と数寄屋造の落ち着いた部屋には茶室を備え、皇室や政治家の方もご利用になるという由緒ある旅館。器には唐津焼と有田焼で食事が満喫できるのも魅力!!もちろん料金に含まれているのでとってもお得な気分に。
今回の旅で訪れた窯元は、中里太郎右衛門陶房、山瀬窯、中川自然坊窯、三里窯。そしてどこも便利といはいえない山中にあり、視界には大自然のみ。焼き手ご本人にお目にかかれたのは三里窯の浜本洋好さん。少し前に東京・しぶや黒田陶苑での個展でお会いして優しいお人柄に触れたばかり。
浜本洋好さんは、唐津焼発祥の地、岸岳近くで当時の「斑(まだら)唐津」を再現しようと昔ながらの割竹式登窯で作陶されていて、流れるような斑を表現する藁灰釉薬へのこだわりとレベルの高さから唐津焼の愛好家から絶大な支持を受けています。
「とにかく毎日使って、使わないときは水で濡らすだけでもやってみてください」。使い続けることにより、どんどん変化を見せてくれる唐津焼の魅力を存分に味わえるのだそう。
この土地の自然や土から生まれた唐津の歴史と技を器として受け取って、今度はこの自分の手で育てていく。わたしも浜本さんの作品を幾つかありがたく受け継がせていただきました。
唐津は2泊3日の滞在で焼き物だけでなく、もちろん佐賀牛や玄界灘の海の幸も存分に満喫して、さらには城下町の雰囲気も味わって、住みたいと言ってもいいくらいまだまだ楽しみは続きそうでしたので、必ずまた訪れたいと思いました。
・三里窯 浜本洋好
佐賀県唐津市北波多稗田 TEL:0955-64-3730
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