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妖しい魅力を放つ、『廃墟の美術史』展へ。

こんにちは、編集NSです。遺跡や遺構、廃墟といったものに惹かれます。そんな全国5000万の廃墟好きための展覧会が始まっています。渋谷区立松濤美術館で開催中の『終わりのむこうへ:廃墟の美術史』です。

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ユベール・ロベール『ローマのパンテオンのある建築的奇想画』(1763 年)。ヤマザキマザック美術館。ドーム部分が崩れ落ちた建物の奥に、パンテオンが見えます。ロベールは古代ローマ時代の建造物のある風景を多く描き、「廃墟のロベール」の異名を持つ作家。朽ち果てたルーヴル美術館を空想した『廃墟化したグランド・ギャラリーの想像図』など、描き込みに見入ってしまう作品をたくさん残しています。

歴史や建築が好きで、遺跡・廃墟に惹かれるようになりました。いまのような建設機械のない時代に建てられた巨大建造物には畏怖の念を抱いてしまいますし、それが変わり果ててしまった姿を見ながら、かつての栄えていた様子を想像するのがたまらなく好きです。

絵画のジャンルでは、そんな廃墟が描かれた作品がたくさんあります。まずは18~19世紀に「廃墟趣味」が起こり、これらを取り入れた風景画が多数描かれたといいます。『終わりのむこうへ:廃墟の美術史』では、そんな時代の廃墟をモチーフにした西洋絵画を皮切りに、シュルレアリスムのような後世のスタイルの中の廃墟、あるいは廃墟と出合った日本の画家の作品に触れながら、全6章立てで多彩な作品を紹介していきます。

ユベール・ロベールの甘美な絵。建築家でもあったというジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージの、質感までも描き込まれたエッチング。遠近感ある浮世絵「浮絵」をたくさん残した歌川豊春が、西洋の建築物を描いた錦絵。海沿いの町を見下ろすように鎮座する巨大な廃船を描いた、不染鉄の不気味で物悲しい作品。不安を掻き立てるポール・デルヴォー……。

廃墟のある風景の中に吸い込まれて、過去と未来、繁栄と衰退、現実と虚構などいろんなことを考えてしまう、見どころたっぷりの展覧会です。

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ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ『ローマの古代遺跡』(第2巻Ⅱ)より『古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点』(1756年刊)。町田市立国際版画美術館。精細なエッチングで古代ローマの建造物をたくさん描いたピラネージ。この作品は奇想の要素が大きく、妖しい魅力があります。展覧会カタログではロンドンに美術館があるジョン・ソーンが引き合いに出されていました。私はフランスの郵便配達員が33年かけて作り上げたシュヴァルの理想を思い出しました。

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元田久治『Indication:Diet Building, Tokyo3』(2008年)作家蔵。現在の日本の中枢のひとつ、国会議事堂が木々に飲み込まれようとしています。奇想を味わうとともに、どうしてこうなったのか?といろんな物語が浮かんできます。元田さんの作品はほかに3点出品されていますが、荒廃した渋谷の街をリアルに描いた2作は、「ここを歩きたい」と思ってしまいます。美術館の帰りはぜひ、モデルとなった渋谷駅周辺を歩いてみてください。

『終わりのむこうへ:廃墟の美術史』

2018年12月8日~2019年1月31日
渋谷区立松濤美術館
tel:03-3465-9421
開)10時~18時(金曜は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休)12/17、12/25、12/29~2019/1/3、1/7、1/15、1/21、1/28
料)一般¥500
www.shoto-museum.jp

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