
ルドンの世界に溺れる。
先日心にじんわりと沁みる、貴重な体験をしました。
2/8から三菱一号館美術館でスタートした『ルドン―秘密の花園』展が、なんとも素晴らしく魅了されている編集MIです。先日の内覧会は、会場を進むごとにルドンの生きた時代へといざなわれ、時空が心地よくゆがむかのような不思議な体験でした。
建築も見どころの三菱一号館美術館は、英国建築家ジョサイア・コンドルの設計。イギリス・ヴィクトリア時代のクイーン・アン・スタイルという赤レンガ建築です。
今回の展示は、巨大パステル画『グラン・ブーケ』と、かつてそれとともにドムシー男爵家の食堂を飾っていた装飾画が一堂に会すというのが目玉。それに加え、世界各地から名画が集合。また、私がいちばん心惹かれるのは、“植物”をテーマにした展覧会であるということ。そこにはルドンと、彼に影響を与えた植物学者アルマン・クラヴォーとの関係性が浮かび上がり、とても奥行きを感じるのです。
クラヴォーは、ボードレールやポーなどの文学の魅力を若き日のルドンに伝えました。インド哲学等を愛したクラヴォーの影響で、東洋の仏教を含むさまざまな世界にルドンを導いたのです。その影響は、ルドンの絵画のそこかしこに見られます。
(以下作品写真はすべて展示風景より。)
こんなダークな印象の作品も。左:『兜をかぶった横顔』1869-79年 プティ・パレ美術館、右:『荊の冠の頭部(キリストの頭部)』1877年 プティ・パレ美術館
ボードレールの『悪の華』の挿絵が展示されたコーナー。ルドンはクラヴォーの影響で、刊行されると同時に本書を読んだそうです。
ドムシー城食堂の装飾画のコーナーは圧巻です。大判の夢幻の世界が広がります。
ドムシー男爵家の食堂を彩った装飾画たちがずらり。
左:『ひな菊』1900-01年 オルセー美術館、右:『人物』1900-01年 オルセー美術館
左:『人物(黄色い花)』1900-01年 オルセー美術館、右:『花とナナカマドの実』1900-01年 オルセー美術館
左:『黄色い背景の樹』1900-01年 オルセー美術館、右『黄色い花咲く枝』1900-01年 オルセー美術館
左:『花のフリーズ』1900-01年 オルセー美術館、中:『グラン・ブーケ』のサンプル、右:『花と実のフリーズ』1900-01年 オルセー美術館
そしていよいよ『グラン・ブーケ』。暗闇に浮かび上がるたたずまいが奥ゆかしくも、その存在感は圧巻です。巨大な絵画を前に、浮遊、幻想、魅惑、神秘、まどろみ、・・・さまざまな感覚が体を流れていきます。
『グラン・ブーケ(大きな花束)』1901年 三菱一号館美術館
ほかにも幻想的なブーケの絵画がいろいろ。
左:『花束』製昨年不詳 ボルドー美術館、右:『花々(赤い芥子)』1895年以降 オルセー美術館
左:『首の長い花瓶にいけられた野の花』1912年頃 ニューヨーク近代美術館(MoMA)、右:『青い花瓶の花』1912-14年頃 ひろしま美術館
そして、蝶の絵もとても印象的だったのです。引き込まれて観ていたので、写真を撮り損ねてしまいました・・・。色彩あふれる絵画も魅力ですが、ルドンの「黒」の世界もとても好き。
あと、グッズもバリエ豊富なのです。お部屋に飾りたくなるミニチュアキャンバス、ルドンの絵画の色彩を彷彿とさせるフランスの陶磁器、オリジナルのハンカチや、植物をモチーフにしたアクセサリーまで。思わずグッズ売り場でも長居してしまいます。
ミニチュアキャンバスは4,200円と4,800円のラインナップ。
フランス南西部リヨンの窯「JASS(ジャス)」。釉薬の美しさにハッとします。1900年のパリ万博でグランプリを受賞。1,944円~6,264円のアイテムが揃います。
ハンカチのバリエーションも楽しい。思わず迷ってしまいます。
私は『ひな菊』のハンカチを購入。またゆっくり展示を観に行きたいです。
※こちらの記事も併せてお楽しみください。
会期:2/8~5/20
三菱一号館美術館(東京・丸の内)
10時~18時(祝日を除く金、第2水曜、5/14~18は~21時)
休)月(2/12、26、3/26、4/30、5/14は開館)
一般¥1,700
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