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かこさとしさんが教えてくれたこと。

こんにちは、編集NSです。子どもの頃に見聞きしていつまでも記憶に残っていること、皆さんにもきっとあると思います。私にとってそんな存在のひとつが、かこさとしさんの絵本。昔読んだことある!いま子どもと一緒に読んでる!という方も多いのではないでしょうか。

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左から『だるまちゃんとかみなりちゃん』『かわ』『地球』『海』(すべて加古里子の名義)。

「だるまちゃん」シリーズに代表される、作者の人柄を思わせる優しい話も楽しいのですが、工学博士であるかこさんらしさが凝縮されているのが科学絵本。宇宙や人体や自然の仕組み、人類の歴史、地球や海に存在する生き物……その対象は多彩で、大人にも学びが多い内容を、子どもにもわかりやすく描いているのです。

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『地球―その中を探ろう―』より。秋の野山の断面図に描かれる、そこに暮らす生き物たち。「さわがに 2.5cm」「つきのわぐま 2m」など、生き物の大きさも書き込まれています。

とくに好きだったのが『地球』と『海』。どちらも食い入るように読みました。私が図工の時間に描く絵はよく、「ちまちましている」と言われました。俯瞰からの構図ばかりで、細かくいろんなものを書き込んでいたからです。ダイナミックな構図を思いつかなかっただけかもしれませんが、これはきっとかこさんの影響です(安野光男さんの「旅の絵本」シリーズもブリューゲルの絵も、大好物です)。目に見えるものの奥にも多彩な世界が広がっていて、面白いことはもっといっぱいある。そんなことを教えてくれたのも、かこさんでした。

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「かこさとしからだの本」より、『たべもののたび』『あかしろあおいち』『ほねは おれます くだけます』。複雑で神秘的な体の仕組みやミクロの世界の話を、いまは親子で楽しんでいます。

今年5月2日に92歳でお亡くなりになったかこさん。訃報が届く前から準備が進んでいたという『かこさとしのひみつ展 ―だるまちゃんとさがしにいこう―』が来月、川崎市の川崎市市民ミュージアムで開催されます(7/7~9/9)。複製原画やスケッチなど200点以上が展示される過去最大級の展覧会。次に読むかこさんの本を探しに、子どもの頃には気づかなかったかこさんのすごさを探しに、そしていろんな影響を与えてくれたお礼を伝えに、観に行こうと思います。

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