Editor's Blog

難民のクラフトマンシップが生む、美しいインテリア。

こんにちは、編集YUKIです。
今回は、前回のブログでご紹介した国際見本市「インテリア ライフスタイル」で出合った、ある素敵なプロジェクトをご紹介します!
写真は、その展示風景から。

190731_blog_18.jpg

プロジェクトの名前は「MADE51(メイド フィフティーワン)」()。

これは、難民となった人たちがもともと持っている技術と才能をものづくりに生かし、避難先でも安全で尊厳のある生活を送れるようにサポートする取り組みです。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によって、2016年にスタート。

上の写真でUNHCRのロゴの上に書かれているのは、フィリッポ・グランディ高等弁務官がこのプロジェクトのために寄せた言葉。ざっと下記のような意味です。

「ひとつひとつのアイテムに、歴史と文化にまつわるそれぞれの物語が存在しています。そして、戦争や迫害から逃れてきた人が、この世界に美とスタイルをもたらすことのできるチャンスが宿っています」

* MADEはMarket、Access、Design、Empowerment for Refugee Artisansの頭文字、51は「1951年難民の地位に関する条約」が由来。

190731_blog_14.jpg

こちらは、ブルキナファソに住むトゥアレグ族の難民による、槌で打った金属を革で覆うという職人技を用いて作られています。手に取るととても滑らかで、丁寧な手仕事であることが伝わってきます。

---fadeinpager---

190731_blog_12.jpg

目に飛び込んでくるものはどれも、「可愛い!」「使ってみたい!」「飾ってみたい!」と感じる魅力を放っていました。

190731_blog_13.jpg

190731_blog_16.jpg

190731_blog_17.jpg

190731_blog_19.jpg

「MADE51」のグローバルリーダーであるハイディ・クリスト氏の講演も聴くことができました。難民となる人たちは、ごくわずかな身の回りのものしか避難先に持っていくことができないけれど、故郷で培った技術や、先祖から代々継承してきた文化遺産を携えているのだという言葉が印象に残りました。

190731_blog_20.jpg

こんな愛らしいクリスマスオーナメントも!

190731_blog_21.jpg

いま世界的なトレンドとして、職人技へのリスペクトがあり、そして自分が身に着けたり使ったりするものを、誰が作ったのか知りたいという思いを持っている人がたくさんいる、と語るクリスト氏。その中で「MADE51」のプロダクトが、クオリティの高さによって評価され、たくさんの人たちのもとに届くことを願ってやみません。

190731_blog_23.jpg

アジアでの見本市には、今回が初出店。

190731_blog_30.jpg

通常、見本市でプロダクトの購入はできないのですが、今回の「インテリア ライフスタイル」では、アトリウムディレクターであるmethodの山田遊氏によるポップアップショップ「(CORNER SHOP) by method」が出現。出展作品の一部を購入できるようになっていました。

写真手前は「MADE51」の、伝統的なコイルと編み物の技法を用いたバスケット。ルワンダの難民キャンプで、ブルンジとコンゴからの難民によって制作されたもの。手に取り、質感と色合いの美しさに心惹かれ……

190731_blog_37.jpg

連れて帰ってきました。
何を入れようかなーと楽しく想像しつつ、ひとまずエアープランツを入れてみました。

日々のニュースで「難民」という言葉を耳にしますが、いま紛争や迫害によって故郷を追われている人は7,000万人以上とのこと。誰もが無関係ではいられない「難民」として暮らす人たちの存在を、卓越した職人技が生んだ美しいプロダクトから感じられるって、素晴らしいことだと思いました。
「MADE51」の活動にこれからも注目していきたいです。近い将来、日本でも購入できる機会がたくさんできますように。

MADE51のような取り組みがもっと必要です。誰も難民になりたくないし、援助を受けたくない。彼らも尊厳のある生活を送りたいのです。だから私はこれが最初の一歩であることを願っています。


アンジェリーナ・ジョリー(UNHCR特使)

MADE51
www.made51.org

---fadeinpager---

そして、前回ご紹介したかったのに写真を取り損ねてしまったブランドの写真を提供いただけました!

E&Y

190731_blog_35.jpg

世界中のデザイナーによるデザインやアイデアをもとに家具やオブジェを開発、製作、販売するE&Y。今回は建築家の中山英之氏によるハート型オブジェ「CONCRETE HEART」を発表。当初は東日本大震災の被災地支援チャリティーバザーのために、事務所にあった材料だけで即興的に制作したそう。

コンクリートは被災地で「かさ上げ」「防潮堤」など、どこかネガティブなイメージがつきまとうけれど、中山氏にとってコンクリートは大好きな材料。もともとは形のないコンクリートを、優しい形に流し込んだといいます。ブックエンドやドアストッパー、小型犬を繋ぐ(!)など、日常でちょっと重いものがほしいなー、という時に、とのこと。ポップアップショップで見かけて、後ろ髪を引かれる思いでした。
www.eandy.com

---fadeinpager---

IFUJI

190731_blog_36.jpg

長野県松本を拠点に活動する木工作家、井藤昌志氏によるブランド。今回はテーブルや椅子、食器棚など家具の新作も。

削ぎ落とされたストイックなフォルムの家具と食器は、静謐な雰囲気を纏っていました。日本古来の草木染めを応用した木材染色により、独特の風合いが生み出されています。写真中央のテーブルは折りたたみ式で、折りたたまれた姿も美しかったです。
http://laboratorio.jp

ARCHIVE

MONTHLY

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories