Editor's Blog

食べ物を育む時間、作り届けてくれる人たちについて。

フィガロ編集部もテレワークが中心となりしばらく経ちました。
部屋の中の光が入る場所を、鉢植えや水栽培の植物たちと取り合い……いや分け合って、ひしめきあいながらテレワーク中の編集YUKIです。いままで昼間はほとんどいなかった人が急に幅を利かせているので、彼らは不本意だと思いますが、仕方ありません。

そんなある日、フォトグラファーの黒坂明美さんから、この写真が届きました。

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photo : AKEMI KUROSAKA (STUH)

おいしそう!!!と心の中で声を大にして叫びました。ひよこ豆で作る、中東料理の定番フムス。先日、黒坂さんと一緒に味噌を仕込んだのですが、それ以来お豆に興味が湧いて、いろんな豆料理にトライしているそう。

味噌の材料は、大豆と米麹、塩の3つだけ。仕込みにかかる時間はたった1時間ほどで、あとは半年寝かせておけば味噌へと自分で育ってくれます。半年後には、お互いの味噌を持ち寄って「手前味噌の会」を催せる日常が戻っていることを願わずにいられません。

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photos : AKEMI KUROSAKA (STUH)

フムス、さっそく真似して作ろうとしたものの、我が家にあったひよこ豆が古かったのか何時間煮ても柔らかくなってくれず、諦めてただの茹で豆としてサラダなどに入れて食しています。でも豆を一晩水に漬け、時間をかけて煮る、そんな時間を持つことで気持ちが潤うのを感じました。

時間をかけて煮るといえば、ベジブロスもよく作ります。テレワークになり毎日家で食事をとるので、屑野菜があっという間に貯まります。

春野菜の葉や皮、根には、これから大きく育つためのエネルギーがみなぎっているからか、味もとてもおいしく身体にチカラを与えてもらえるよう。週末に作っておくと、手間もお金もかけずしてファイトケミカルが豊富で免疫力、抗酸化力を高めてくれるスープを毎日いただけます。炊き込みご飯や、これでさらにポトフなどを作っても。「ベジブロス」で検索すると作り方が出てくるので、おうちごはんの頼もしい味方としておすすめです!

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その野菜を買う場所や手段が限られてしまっているいま、どこで何を買うか、をいままで以上に考えます。東京に住んで仕事をしている以上、どんなに気をつけても、自分が保菌している可能性がゼロとは言いきれない。近所には畑と採れたて野菜の無人販売所があり、マスク&手袋着用、除菌したコインで購入しています。

また、以前住んでいた街の八百屋「やさいやふうど」さんが、いま給食や飲食店、観光地で使用されるはずだった野菜を積極的に仕入れていて、宅配で届けていただいています。誰かが作り育てた食材が、必要としている人の手に渡されていく――取り立てて意識してこなかったその流れにあらためて気付かせてもらえました。そして日々の“食べる”行為が少しでも意味のあることに繋がれば、と考えるようになってきました。

テイクアウトを利用することで大好きなお店を応援する人たちも増えています。コロナウイルスの影響は深刻で辛いことばかりだけれど、いずれ日常が戻った時にこうした気付きはずっと心に留めてにコロナ後を生きていきたい、そんなことを思う日々です。

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