Editor's Blog

噛めば広がる牧場の香り......! ヨーロッパ伝統のグラスフェッドビーフをリストランテで味わおう。

こんにちは、編集YKです。編集者になる前は産地直送の牛肉を取り扱う飲食店に勤めていた謎の経歴があり、いまでもグリルで塊肉を焼くくらい料理とお酒に目がありません。

そんな私、広尾の名門リストランテ「ラ・ビスボッチャ」でアイリッシュグラスフェッドビーフが味わえると聞き、さっそくお邪魔しました。

IMG_0607.jpg今回のお肉はヘレフォード種のTボーンステーキ1kg! 骨のT字の部分でサーロインとヒレの部位が分かれており、肉質の違いを同時に楽しむことができます。¥2400/100ℊ、オーダーは1kgから。

お店に到着すると、目の前に骨付きの真っ赤な塊が登場! サーロインとヒレの2種類のお肉を堪能できるTボーンです。ラ・ビスボッチャの井上裕基シェフから「せっかくですし焼いてみますか?」とお声がけいただき、コックコートをお借りして店内中央にある窯に立たせてもらうことに!

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アイルランドの放牧の様子。

さて、読者のみなさまは日本の牛と海外、特にヨーロッパの牛の大きな違いをごぞんじでしょうか。それは「放牧牛」であるかどうか、というポイントです。日本の牛を育てる多くの畜産農家は、牧場の牛舎で牛を繋ぎ止め、主に穀物をメインにした飼料で筋肉の間にサシ(細かい脂)が入る、美しい「霜降り肉」をもつ牛を育てます。これによって肉質は柔らかくなり、特に「和牛」と呼ばれる食肉用の品種では、脂身に独特の甘さを感じる香りが纏いつくのです。

反対に、アイルランドをはじめとしたヨーロッパで行われているのが放牧方式です。牧場の敷地の中で、できるだけ自然に牛が暮らしている状況に近づけて牛を育てます。広大な牧場を歩いて生活するため、赤身に脂はほとんど入らず、張りのある肉質に育ちます。牛が本来食べている牧草を飼料として育つので、添加物やホルモン剤の使用などの心配もなく、サステイナビリティあふれる安心・安全な牛肉が出来上がるのです。

先ほどの写真でも見受けられる通り、赤身にはほとんどサシがなく、肉の左側、サーロインの部分についた脂が黄色がかっているのが分かると思います。「この時期に出荷される牛は、冬の枯れた牧草を食べて育っているので、風味が一層増します」と井上シェフ。いよいよ炭火の上に肉をセットします。

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「イタリアのビステッカ(=ビーフステーキ)は薪で焼くこともありますが、薪の香りがついてしまうとグラスフェッドビーフの香りは楽しめません。時間はかかりますが、火加減も調整しやすいので炭火をつかっています」と井上シェフ。まずは骨の付いた側面をじっくりと焼き、そこから肉の両面を時間をかけて焼いていきます。「骨ごと焼くことで髄液が肉に浸透し、コクが増すんです」。

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開始から15分ほど、表面に焼き色がつくと同時に、脂がほんのりと溶け始め、炭にポタリとたれるとシュワっと牧草の香りが広がります。「この大きさだと焼き上がりまで40分ほどですね。注文されるお客様は窯が見える席を予約されたり、焼いている様子を窯まで観に来られる方もいます」。

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さらに10分後、いい色に焼けてきました。肉の表面にふつふつと赤い肉汁が出始めたら、レアな焼き加減が出来てきた合図です。

焼き台での置き方を工夫して火を入れていきます。「均等に、ムラなく」が難しいところ。「焼き上げる時は焼き台の高さを一段下げて火に近づけ、高温にして表面をパリっと仕上げます」。

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焼きあがったら一度日から遠ざけ、中の肉汁の対流が収まるのを待ちます。そして……。

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写真右にそびえ立つのがサーロインとヒレを分けていたTボーン。圧巻です。

1kgの塊が見事に焼き上げられました! 井上シェフ、流石です。「これは絶対赤ワインです」とバローロをサーブしていただき、いざ実食、まずはヒレから。しっかりと噛み応えはありながら、歯で噛み切れるちょうどよい柔らかさ。たっぷりと肉汁が詰まってうま味が凝縮しています。

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お次はサーロイン。はっきりした赤身と、プリっとした脂身を同時に口に入れると……驚くほど爽やかな香りが口いっぱいに広がりました。まるで草原で肉を食べているかのよう......。脂もサラリとしていて、「重たさ」「クドさ」とは無縁の味わい。しばし、口いっぱいに広がる幸せを堪能してワインを流し込みます。「正直でかいな……」と思っていた自分はどこへやら、アッというまに平らげてしまいました。

「牧草牛も種類は多いですが、なかにはパサつくものや草の匂いが強すぎるものがあります。アイリッシュ グラスフェッドビーフは肉質が柔らかく、肉汁はしっとり。うま味がしっかりして香りのバランスも良く、私が探し求めていたフィレンツェで味わったビステッカを再現するのに最高の肉です」と井上シェフも太鼓判を押します。

少しずつ日常を取り戻し始めたいまこそ、気の置けない仲間と一緒に肉を取り分け、料理で海外に思いを馳せるのも素敵......。そんな幸せを再認識した、スペシャルな一日でした。

アイリッシュ グラスフェッドビーフ キャンペーン
キャンペーン期間:2022年3月14日~5月7日(土) ※社会情勢によって期間の変更がある場合があります。
開催場所:ラ・ビスボッチャ 東京都渋谷区恵比寿 2-36-13 広尾MTRビル1F
メニュー:Lボーンの炭火焼 ¥2,400/100g(注文は600gから)
     Tボーンの炭火焼 ¥2,400/100g(注文は1kgから)
https://labisboccia.tokyo/irelandbeef/
アイルランド政府食糧庁 Bord Bia (ボード・ビア)
https://irishfood.jp/beef/

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