
今日も黒い服を着て、"ウェンズデー"を気取って。
子どもの頃に映画『バットマン』(1989年公開)を観て以来、ファッションは黒!と決めて30年が経った編集YK。「好きなことだけを好きなようにやればいいじゃない、その方が人生楽しいよ?」を体現し続けるティム・バートンと、作品ごとに別人になるジョニー・デップに憧れ、彼らを追いかけてきた人生と言っても過言ではありません。(一昨年前はZoom越しですが、『MINAMATA』でジョニーに直接質問することも叶いました……❤︎)
2022年11月に公開されたバートン監督作Netflix「ウェンズデー」も、公開したその日の夜に一気見。
以来、自宅での作業中にモニターに流しっぱなしにしていたり、全話をスマホにダウンロードして隙間時間におさらいしてみたり……。4周くらいリピートするほどどハマりしている私です。主人公のウェンズデーがチェロを奏でるシーンの指先が可愛すぎて、週末は真っ黒なマニキュアをするまでに。
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Netflixの作品群でも「ストレンジャー・シングス」の次に視聴されたドラマシリーズとあって、世界中でもウェンズデーフォロワーが激増中!
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『スーサイドスクワッド』(2016年、デヴィッド・エアー監督)の時のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)の影響も凄まじかったですが、来年のハロウィンは渋谷にウェンズデーがあふれかえるのでは?と超・超・超期待しています。
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めちゃくちゃ存在感があるのに、どこまでもシックでダークな衣装を手がけているのは、『シザーハンズ』以来ティム・バートン作品常連のコリーン・アトウッド。
ハリポタど直撃世代な私が愛してやまない映画『ファンタスティック・ビースト』(2016年、デヴィッド・イェーツ監督)のファッションデザインで、アカデミー衣装デザイン賞を獲得しているベテランです。クラシカルで素敵な1920-30年代のファッションを再解釈、色使いやディテールで“ちょっと風変わりな“魔法使いのファッションを表現してしまうという、まさに「ファッションの魔法」とでもいうべき手仕事をみせるのがアトウッドの魔術!
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ウェンズデーのシンボリックなワンピースや彼女使用のモノトーンな制服も素敵ですが、今作で最高に大好きなのが、ウェンズデーがプロムで纏うアンティークのドレス!
そもそもテーマカラーが「白」で指定されているパーティでひとりだけ黒なのがたまらない。アンティークショップでドレスに一目惚れしたにも関わらず、自分が纏った姿を「男のための女の客体化の典型?」と聞くあたりも、世の中を俯瞰して見ている彼女だからこその意見。ファッションを紐解けば装飾や機能に宿る歴史を考えざるを得ない、しかし理性を超えた「美しいものは美しい」という直感的な魅力に抗えない……。
ファッションのもつアンビバレントな魅力が、第4話のプロムのシーンにギュッと詰まっていました。
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……正直、ストーリーは「?」という強引な展開もありましたが、世界観とそれを支える美術、ファッションが満点なのでヨシ!
「のけもの」が迫害され、時に涙を流して運命を呪いながらも、「みんな違ってみんないい」と自己肯定感高らかに謳い上げるその姿! 仲間との連帯はありつつも、それはいつでもくっついているようなベタベタしたものでなく、「あなたの生き方もいいんじゃない? 私はやんないけど」と軽くほっといてくれるある種のドライさが心地いい。
“多様性とは”なんてことが語られる30年も前から映像を通じて叫び続けてきたバートンが、“言いたいことも言えないこんな世の中“に、ウェンズデーという怪物の姿で「好きに生きろ!」とエールを送ってくれているようでした。
今日もウェンズデーを気取って、真っ黒な服しかないクローゼットを開いて、黒い服を作るための黒い布を買いに日暮里の繊維問屋街に出かけます。シーズン2、早く来ないかなー。。。
編集YK
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