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染色家、柚木沙弥郎さんに思いを馳せて。

染色家の柚木沙弥郎さんが1月31日に永眠されました。

私が柚木沙弥郎さんのことを知ったのは、フィガロで「手仕事の雑貨を探しに。」という特集を担当し、松本で芹沢銈介氏にまつわるエピソードを聞いているときでした。

柚木沙弥郎さんは、柳宗悦による民芸運動に影響され、染色工芸家の芹沢銈介氏に師事。
その後、大胆なタッチと鮮やかな色合いを組み合わせた作品を多く手がけ、動物や植物など身の回りのものを題材にした型染めや絵本の原画なども多く世に残してきました。

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色使い、太めのタッチ、そして力強くも優しい視点、そして想像力を掻き立てるポジティブな雰囲気がとても好きです。

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絵本を見ていても、動物の表情からその動物たちのユーモラスな部分、悲しげな部分、さまざまなキャラクターが見え隠れし、等身大の自分に寄り添ってくれるような優しさを感じます。

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『柚木沙弥郎のことば』(グラフィック社刊)にはこんな言葉が書いてあります。

「いつからはじめたっていいんだよ。僕だって物心ついたのは80歳になってからなんだから」(*『柚木沙弥郎のことば』柚木沙弥郎、熱田千鶴著 グラフィック社刊より)

100歳を迎えた柚木さんの言葉です。

柚木さんの作品を見るといつも思い出すのが、私が幼い頃からお世話になっていた画家夫婦のことです。
その画家夫婦は、絵の具や画材が散らばったコンクリート打ちっぱなしのちょっと変わった家に住むおじいちゃんとおばあちゃんで、小学校の帰りに立ち寄ってはその家にある手塚治虫シリーズを読むというのが日課になっていました。
そのアーティスト夫婦から私が20歳になったときにいただいた作品には
「自分が楽しく生きてください」という言葉が寄せられていました。

当時は漫画が読める風変わりな家のおじいちゃんおばあちゃんと思っていましたが、その言葉はいま現在の私の中でもとても大切なモットーなっています。

100歳を超えても制作活動をし続けた柚木沙弥郎さん。
柚木さんの作品からはいつも前向きで明るい視線を感じて、毎日のなかにどれだけ喜びをみつけ、感じることができるのか? そんなことを教えられた気がします。
自分が楽しく生きること、これって本当に人々に勇気や優しさを与えるんだな、と改めて感じたのでした。

今夜は子どもと一緒に改めて柚木さんの絵本をめくろうと思います。

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