行くしかない!注目アーティストデュオ・ネルホル初の美術館アート展、終了まであと1週間。
彫刻家である飯田竜太とグラフィックデザインを基軸に活動してきた田中義久による、ネルホル(Nerhol)。連写撮影したポートレートの出力紙や素材を幾重にも重ね、束ねたものに彫刻を施していく、その多面的で独自性のある手法で知られるアーティストデュオだ。
2007年に結成されて以来、ふたりが美術館で初めての大規模展「Nerhol 水平線を捲(めく)る」が開催したのが2024年9月のこと。そんな個展が11月4日(月・祝)で幕を閉じようとしている。開催は残すところあと1週間、エディターTERUMIが駆け込みレポートします!
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開催地は、JR千葉駅から徒歩15分の距離にある千葉市美術館。レトロモダンな建築が面白いことでも知られるこの美術館に足を踏み入れて、まず目撃するのは、1階にある約400㎡に及ぶ指定文化財「さや堂ホール」の空間を生かした立体展示。元々は銀行が入っていたという歴史的なネオ・ルネッサンス様式のホール一面に、和紙片が敷かれた圧巻の景色が待ち受ける。
マスタードイエローの和紙が床に敷き詰められ、まるでイチョウの葉が敷き詰められた秋の路地に迷い込んだような錯覚に陥るこの風景は、ぜひ実際に目にしてほしい。
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本展は1階のほか、7階、8階の3フロアで構成されており、ネルホルの活動において重要な作品や未発表作品などが多数展示されている。第1会場である8階展示室では、2019年にVOCA賞を受賞した作品「remove」や、帰化植物(自生地から、人間の移動などによって日本国内に持ち込まれ野生化した外来種の植物)にフォーカスしたシリーズまで飾られ、ネルホルのおふたりの目線で見た自然と人間社会の関係性を感じさせる。
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私が最も興味を惹かれたのは、7階フロアで巨大な和紙が積層されたこちらの展示。
今回、千葉市美術館での開催にあたって、市の花として認定されているオオガハスに注目したネルホルがオオガハスを練り込んだ和紙を重ね、削って制作したという。オオガハスは1951年に千葉市で2000年以上前の地層から発見された古代ハスで、ここにも歴史の積み重ねと自然、そしてロマンを感じさせるネルホルならではの感性が。
そして1階のホールに散りばめられた和紙片は、この作品から削り出したものが活用されているのだそう!
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展示フロアの壁には何やら意味ありげなチェック柄の壁がちらほら出現する。これはなんと、通常は壁紙を貼ってきれいに仕上げるはずの展示用壁面を、壁面を貼らずにむき出しのまま使用している状態。会場設営の際に、これまで行われたさまざまな展覧会の壁紙の痕跡が残った模様に魅了されたネルホルの発案でそのまま使用されることになったのだそう。
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積み重ねたマテリアルを削って、完成させる手法は時間を積み重ねてきた年輪そのもの。正面から見るだけでは一見わからなかった重なりが、上下左右、斜めから見ることで別の視点を与えてくれる。その立体感や時間の積み重ねを感じ、多角的に味わいたいこの展示。思わず見入ってしまうあの感覚を味わいに、11月の3連休にまた観に行こうと思います!
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