Editor's Blog

リアス・アーク美術館展と、宮城・岩手への旅。

こんにちは、編集YKです。
あの日から5年が経とうとしています。
テレビなどでも、5年という節目に合わせて特集が組まれています。
当日のことはいまもはっきりと覚えていますが、被災された方々にとっては、節目であるなしに関わらず、世界がまったく変わってしまってから、この5年間はずっと連続した時間だったのだろうということに、改めて想いを馳せています。

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さて先日、編集部からすぐ近くの目黒区美術館へ行ってきました。
開催中の展覧会は『気仙沼と、東日本大震災の記憶』。宮城県気仙沼市にあるリアス・アーク美術館の常設展示『東日本大震災の記録と津波の災害史』が東京地区で初めて大規模に紹介されています。

初日には、リアス・アーク美術館 学芸係長の山内宏泰さんによる講演会も行われました。

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震災直後から、リアス・アーク美術館の学芸員の方々は被災地の記録・調査を開始したそうです。そうして収集された資料を美術館で常設展示することは、かなり異例ですが、単に記録を公開するだけでなく "人を動かす展示" "未来を守るための展示"を目指しているという山内さんのお話に、はっとさせられました。
この展覧会は、3月21日(月祝)まで開催中です。

実は昨年、気仙沼市のリアス・アーク美術館に訪れました。

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"方舟(=アーク)"と名付けられた、高台に位置するこの美術館の建物は、とても珍しい形をしています。

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東北・北海道在住の若手作家を紹介するシリーズ企画『N.E.blood 21』(写真は岩手県在住の菊池咲氏の作品)や、学芸員さんの手描きイラストを交えた歴史・民俗資料常設展示『方舟日記』も楽しい!

そして『東日本大震災の記録と津波の災害史』へ。

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被災現場写真約30,000点、収集した"被災物"約250点から厳選された資料に、新聞や過去に起きた大津波に関する資料を加えた約500点と、震災後に得られたさまざまな情報や課題を表現した108の「キーワードパネル」から構成されています。そう、ここでは"瓦礫"という言葉は使われず"被災物"と表現されています。かつては日常生活のかけがえのない一部であり、記憶の再生装置として捉えているためで、目の当たりにすると、自分自身の生活が重ねあわされ、さまざまな感情が沸き起こります。

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ひとつひとつの写真や被災物、言葉に対峙していると、すべてを見るのにすごく時間がかかるのですが、五感を働かせて体験するインスタレーションとなっていました。被災しているいないにかかわらず、わたしたちはみな当事者であるということを実感し、心の中に、自分にできるアクションを起こすための種が蒔かれたように感じました。

さて、その後は岩手県陸前高田市に移動。

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「奇跡の一本松」は、人工的な処置が施されて生きていませんが、鳥が巣をつくっていました。かさ上げ工事用の土砂を山から運んでいたベルトコンベアーは、昨年秋に役目を終え、解体されていまはほぼなくなっています。

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"再生への足掛かり"をコンセプトにさまざまな復興プロジェクトを行う特定非営利法人「再生の里ヤルキタウン」では、オランダから贈られたチューリップをはじめさまざまな花や植物を育てている「花画廊」に訪れたり、

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地元の中高生たちが自由に勉強や読書、おしゃべりができる「自間学かふぇ」、大学生ボランティアのサポートを得て制作された"逃げ地図"などを見せていただきました。

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宿泊したのは、山の上から広田湾を臨む箱根山テラス。「木と人をいかす」をテーマに、地元産の建材で建てられ、どこにいても光や風を感じられます。シンプルですがすごく居心地がいい!

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ロビーにあるストーブの燃料は、木質ペレット。地域の木質資源の活用であると同時に、輻射熱によって部屋を暖めるしくみになっていて、地域熱供給のモデル施設として展開していくそうです。また、非常時の水資源として、中庭に埋めたタンクに雨水を貯水。
震災後に誕生した箱根山テラスは、エネルギーと、それに伴う経済の地域内循環の重要性を意識して運営されています。未来を見据えた、宿泊施設の新しい形です。

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アメニティは「クーネ」。陸前高田で採れる椿油や柚エキス、宮古のワカメエキスといった地元産の原料と、ネパール産のハチミツなどを使って作られた、フェアトレード団体「ネパリ・バザーロ」が手がける化粧品たち。やさしい香りもそのコンセプトもすばらしくて、自宅でも愛用したくなりました。

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そして翌朝の朝食が最高でした! カフェ内でも食べられますが、テラスに出て、湾や山を眺め、気持ちのいい風を感じながらいただくと心も身体もリセットされるのを感じました。メニューは、野菜料理を中心に、手作りの調味料を活かした、ご飯がすすむものばかり。レシピは、南風食堂の三原寛子さんが手がけています。

この後は、大船渡市で漁船に乗せていただいたり、釜石市の菜の花畑やエコハウスに訪れたのですが、長くなったので次回お届けいたします!

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