
季節の変わり目に、眉の色を変えてみる。
前回早速シャネルのショーについて思いの丈を述べてしまったが、2月末〜3月頭まで2019-20年秋冬パリコレクションに行ってきた。いつものようにオフランウェイにも目を配っていたところ、今季は何だか洋服のスタイリングというよりも、ちょっとした小技が気になった。
まずは、Y/PROJECTのショー会場で見かけた彼女。
Y/PROJECTをPRしている会社に勤めている様子で、お客さんを席に案内したりなんかしていた。ともかく目を奪われたのが、その蛍光グリーンの眉。髪の毛から服まで全身真っ黒で、鼻ピアスやチェーンネックレス、レザーのハードなミニスカートから、パンク・ゴス志向がぷんぷん臭う中、眉に色を持ってくるとは!
これはかっこいいと一緒にいたスタイリストさんと盛り上がり、美容院で色を入れてもらうべきなのかなど、さんざん方策を練ったあげく、手っ取り早い方法を編み出した。まずムダ毛用の脱色クリームで眉の色を薄くする。そしてシルバーのアイライナーで眉を白っぽくし、その上からカラーマスカラを塗る。
私は今髪の毛先がピンクなので、とりあえずこのやり方で時々ピンク眉を実践してみている。当初は困惑からか見て見ぬふり対応だった周囲から、最近「ピンク眉ですよね」と、コメントをもらえることが多くなり(かと言ってほめられているというわけではない)、何となく市民権を得てきた気がする。この調子で(?)髪を真っ黒にしたあかつきには、蛍光イエローなど、いろいろな色を試してみたいと1人でわくわくしているのである。
次にはっと思わされたのは、ステラ マッカートニーのショーの後に、バスから見かけた姿。
なんだ、普通じゃん、と思われるかもしれないが、ポイントはサングラスである。2019-20年秋冬のランウェイでは、何やらサングラスが目についた。それも、パリシックな格好にティアドロップのサングラスをかけていたセリーヌのように、スタイリングをきりっと引き締めてクールにもっていく役割を担っていたように思われる。こちらの彼女も、シンプル、ベーシックなスタイルにシャープさが増している。この戦法、スタイリングに何かパンチが足りないな、と思った時に使えるのでは。
最後は、かのシャネルのショーのフロントロウに座っていた、スタイリストのケイティ・グランドさんである。
47歳にして、プラダのスタッズ付きヘッドバンドをさらっと身につけ、ミニボトムを履いて生足を出している。このヘッドバンド、パンク方面好きの私としても気になっていたのだが、かわいらしさもあるアイテムゆえ、キャラや年齢を考えるとなかなか手が出せていなかった。しかし、彼女は年齢やら、決して細くない脚やら(すいません…)を気にしているような感じは全くなく、「イタい」ことにもなっておらず、スイートな大人いいな、と思わせてくれた。それは、彼女がミュウミュウのスタイリングを手がけていたりしてそのあたりのさじ加減を熟知しているエキスパートだからなのか…
ちなみにスイートな大人いいな、と思ったのはこの時に始まったわけではなく、少し前にロンドンで発表されたシモーン ロシャ で、44歳のクロエ・セヴィニーをはじめとする大人たちがたくさんモデルに起用されていたのを見たときからである。大人がふんわり、ロマンティックな格好をしてもいいのか!と開眼したのだが、いや待て、大人だけどそもそもロマンティック好みでないのに、急ではないか?と自分に言い聞かせて踏みとどまっていた。でも、ケイティさんの姿を見て、少々ロマンティックでも、自分の世界に引き寄せればいけるんでは?と思い始めてしまっている。大人気のシモーン ロシャ のヘアクリップとか、小物だったら…
ということで、季節の変わり目、私がいろいろ挑戦して「イタい」ことになっていたら、やさしく注意してあげてください。
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