年末年始に観たい、ファッション作品!
年始締め切りの原稿もあったりするので個人的には休んでいる場合ではない気がしているのだが、できればゆっくり過ごしたい年末年始がやってきました。
そこでこのたびはそんな折にぜひ観ていただきたい、ファッション的におすすめの新作リアリティ番組・ドラマ・映画をいくつかご紹介したいと思う。
まずはNetflixのリアリティ番組「セリング・サンセット ~ハリウッド、夢の豪華物件~」 。(編集部注:動画へのリンクは記事の最後にまとめてご紹介しています。)
2019年にスタートしていて、11/24にシーズン4が配信された。タイミングを逸してブログでは取り上げていなかったが、毎シーズン楽しみにしている番組である。
LAにあるオッペンハイム不動産が舞台で、とにかくエージェントたちがきらびやかすぎてまぶしい。豪邸の売買がメインではあるので、部屋数多いな〜、クローゼット広くていいな〜とか、衣食住の「衣」にしか興味がない私でも気になってしまうものの、それよりもエージェントたちがブランド物をガンガン身に着け、ダイナマイトボディを惜しげもなく披露する姿に目がいってしまう。
そんなエージェントたちの中ではクリスティン・クインの爆発力が断トツですごかったのだが、新シーズンそれに対抗できるキャラが登場した。エマ・ヘルナンである。
細身のナイスバディにブロンドヘアで、自宅のプールサイドでピンクのハート型サングラスとビキニで友人をもてなす姿はもはやパリス・ヒルトンにしか見えない。今後の活躍を大いに期待したい。
そして12/15、「セリング・サンセット」のスピンオフ、「セリング・タンパ〜フロリダ西海岸、憧れの高級物件〜」も始まった。
こちらはフロリダ州タンパにあるアルア不動産の話。扱う物件の額が「セリング・サンセット」より低いこともあってか、エージェントたちのキラキラ度は負けている気がする。しかしビヨンセのコスプレをする回があったりして、皆ディーバ感のある装いというか、ビヨンセやリアーナとかそういう方向性で大変興味深い。中でも、若手のアン・ソフィーにはギャルみがあって気になった。
会社から独立するとか、昇進のために上司にアピールするとか、仕事の取り組み方について考えさせられるシーンもあったりする。売り家の説明がきちんとできずに怒られる、というエージェントもいて、服も素材とかシルエットとかよく把握せずに適当に接客する店員さんいるよな……、とか思ってしまうのだった。
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さて、次は、今季のファッション系の目玉!? 12/22にシーズン2が配信されたNetflixのドラマ「エミリー、パリへ行く」である。
「セックス・アンド・ザ・シティ」の制作者が手がけ、スタイリストも同じパトリシア・フィールド。わくわくしながら昨年シーズン1を観たところ、あれ? 自分が歳をとったから? 何だか展開に気持ちが乗らず、ファッションもコテコテに感じられて引いてしまう自分がいた。「セックス・アンド・ザ・シティ」の4人も十分コテコテだった気がするのだが、エミリー役のリリー・コリンズの身体が細すぎて服に負けているのか? 舞台がシックなパリだから余計浮くのか? 時代の流れでしょうか? そんなモヤモヤを抱えてしまったのだった。
で、シーズン2。
やっぱりエミリーはじめ出演者の服装が突拍子なさすぎて、その服装をスルーして相手が普通に会話を始めるのに違和感が……。”Emily wears silly clothes.”と、言われるシーンがあるが、本当に、バカっぽくも見えてくるような……「セリング・サンセット」のエージェントたちも負けず劣らず派手で、センスがいいとも言い難いのだが、意志を持って堂々と着ているからかブラボー、と賞賛したくなる。しかし、このドラマの登場人物たち、特にエミリーと友人のミンディーは、着せられている感が強く、なぜここでそんな格好を? みたいなことが多い気が……
そのせいできゃぴっとしたアメリカ人たちよりフランス勢の俳優たちの服装の方がよく見えてしまうのはやっぱり私の歳のせいか。若者ならエミリーに憧れを抱くのか。といってもフランス人にしてはコテコテにスタイリングされている気はしたが。
結局ドラマの中でいちばんかっこいい! と思ったのは、エミリーの上司役で50代後半のフィリピーヌ・ルロワ=ボリューさんのビキニ姿でした。鍛えているんだろうなあ。
思わず戸惑いばかり述べてしまったが、ファッション関係者がちらっと出演していたり、ディオールとベスパのコラボスクーターやショパールのジュエリーが登場したりとブランドも積極的に協力しているようなのでファッション好きなら要チェックです。
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ここで、11月末からこれだけ観ていたら、そりゃ年末仕事が溜まるでしょうよ、自分……と改めて振り返ってみて恐れおののく。
ま、それはさておきさらに2022年の1/28に公開される新作映画も一足早く観ることができたのでここで紹介しておきたい。
ウェス・アンダーソン監督・脚本の『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』である。
雑誌「フレンチ・ディスパッチ」編集部が舞台。私も編集者やライターのはしくれであるがゆえ、作品から雑誌愛が伝わってきてうれしくなる。ファッションも扱う雑誌という設定だったのにファッションのストーリーが出てこなかったのがちょっと残念だったが……。
そしてもちろんいつものウェス作品のようにとにかく何もかもこだわり抜かれており、撮り方や美術やら豪華キャストが着るレトロな服装やら、相変わらずどこを取ってもかわいい。ファッションについてはレア・セドゥのパツパツの制服姿にも惹かれたのだが、今回ピックアップしたいのはフランスの若手女優リナ・クードリである。1968年に起こった、パリ五月革命をモチーフにしているストーリーに出てくる学生運動グループの会計係役で、ヘルメットにミニスカート姿。資料を見ると当時のカルチャーをいろいろ勉強したらしく、60年代風スタイルが見事にしっくりきていた。
味わい深いイラストが劇中ふんだんに用いられているので、私がわざわざ描くまでもないんですが。
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ちなみにリナ・クードリさん、3/25に日本公開予定でディオールのアトリエが舞台の映画『オートクチュール』にも出ているらしい。この映画もぜひ観てみたい。
1/14公開の『ハウス・オブ・グッチ』もあるし(まだ観れていないのですが)、来年はファッション映画が多くてうれしい。
ということで、私の方は粛々と掃除と仕事に取りかかりたいと思います……
本年もブログを読んでいただき本当にありがとうございました。
みなさまどうぞよいお年をお迎えくださいませ!
●ブログ内で紹介した作品はこちら!
『セリング・サンセット ~ハリウッド、夢の豪華物件~』
『セリング・サンセット』のスピンオフ、『セリング・タンパ〜フロリダ西海岸、憧れの高級物件〜』
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