
ジェーン・バーキンと娘が描く、3枚のTシャツ。
「ほら、こうしてこの“手”のデッサンが胸のところにきたら、ハート・トゥー・ハートで伝わると思うの」
そう説明しながら、ルー・ドワイヨンは、私たちが南三陸の仮設住宅の女性たちの支援のために立ち上げた「アマ・プロジェクト」のために、繊細な線画「手」のデッサンを1枚くれたのだ。
「Tシャツを作るから、デッサンを描いてくれない?」と頼んでいた私たちに、彼女は単に1枚のデッサンというだけでなく、こころのこもった「手」を描いてくれていたことを知り、感激する。メルシー ルー!
「アマ・プロジェクト」は、東日本の大震災の1年後、ルーの母親ジェーン・バーキンにいわば背中を押されて立ち上げたソーシャル・プロジェクトで、被災地の仮設住宅に住む女性たちが、現地で仕事も見つからず困っているという話をきき、ボランティアにはまったく素人だった私たちが設立したものだった。
仮設住宅に住む「お母さん」たちに、「お茶っこ会」に集まってもらい、材料を提供してブレスレットを編んでもらおうという活動で、その売り上げを被災者たちにお渡ししている。だけどそれが大震災から6年も経つと、最初の頃は私たちの支援活動に関心を示してもらっていた方々からも、「まだやっているの?」という視線を向けられることが多くなってきた。
正直いって、もう辞めたい、という誘惑にもかられる。そんな気持ちを勇気付けてくれるのが、ジェーン・バーキンだった。「被災地に、仮設住宅がまだあるのなら、続けるべきよ」と。たしかに正論――。
すっかり弱気になっていた私たちも、今秋からもう1度立て直すことにした。遠いフランスに住んでいるジェーンが、こんなに心配してくれているのに、私たちが手を引くわけにはいかない。
暫く活動を休止していたので、まず諸々の出費を補うために、Tシャツ販売から始めることにした。
そのためにまずジェーンが“少女の絵”を、シャルロット・ゲンズブールは“猫”を、ルーは“手”を描いてくれ、3者3様のTシャツが出来上がった。この売り上げで、私たちはブレスレットを編む材料や現地での経費を補えると思う。
もしこの「メリメロ」のブログを読まれて、ジェーン・バーキン・ファミリーが一家揃って協力してくれている私たちの活動に関心を持っていただけたら、アマ・プロジェクトのサイトにぜひアクセスしてください。Tシャツはユニセックスのフリーサイズ。3枚のなかから、好きなデザインを選べます。
さらに、ルー・ドワイヨンが、インスタグラムに今回描いた「手」の写真をアップしたところ、陶器で有名な「アステイエ・ド・ヴィラット」のイヴァン・ペリコリとブノワ・アスティエ・ヴィラットから連絡があり、ルーによる手のデッサンをまとめたアート本「ドローイング」を、出版することになったという。
来日したルーに、表参道のアッシュ・ペー・フランスで再会すると、「手」のデッサンがデザインされたマグカップを両手で抱えている。アートブックの発売と同時に販売されるという。
「これからも“手”」を描いていきたいわ。顔よりも表情が素晴らしいと思うの。ほら、手の間から、時が流れていっているでしょう?」
フォロワー25万6千人というルーの素顔は、まるで詩人のようだった。
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