猫ごころ 巴里ごころ

ヨアンナ・クリークのにわかファンに。パリジャン・サラダの店へ。  

パリもやっと外出許可証がなくても、外を歩けるようになったと友人たちから「ワッツ・アップ」で連絡がくる。7月からヴァカンスにもいける、とうれしそう。

東京もいよいよ緊急事態宣言解除に。

今朝は、逗子からやってきた豆柴くんを連れたソフィー・ドゥ・タイヤックと一緒に、外苑前の「シトロン 青山」に行く。パリに住んでいた頃、よくランチにキッシュとサラダを食べていたけど、いかにもパリの雰囲気がする店。

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店主のジョナサン・ベルギッグは、BNPパリバ銀行の行員として東京に赴任したけど、日本がすっかり気に入って、有名銀行を辞めてしまい、オーガニック食材を使った軽食のその店を開いたという。クラフィティがおいしそう!

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「テラス席なら犬連れでも大丈夫?」と聞くと、「ウェルカム!」といってくれた。

テラスに座っていると、数週間ぶりに外出したので、外光が眩しい。

ソフィーとフランス語を話すのも久しぶりだ。マスクをプレゼントしたら、ソフィーからも猫のマスクをもらった。

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自粛中は相変わらずネットフリックス三昧で、最近ではパリのスタイリストの友人に薦められた「ジ・エディ」という長篇シリーズものにすっかりはまっていた。『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の撮ったもので、パリのジャズクラブが舞台になっていて、それぞれのミュージシャンの生き様を描いたストーリー。自由に生きながらも、いろいろな困難に遭遇する。

「え、あの『コールド・ウォー』の女優が、『ジ・エディ』の女歌手?」

なかでも素敵な女優だと思って注目していたジャズクラブの女歌手は、友人に言われなければ気づかなかったけど、ヨアンナ・クリークだという。少しふっくらしたせいか最初は分からなかった。

彼女は「コールド・ウォー あの歌、2つの心」という映画で、ズーラという印象深い役を演じていて、モノクロームの映像の中で、ポーランド、ワルシャワ、パリで冷戦下の男女の出会いを描いたもので、ラストシーンが忘れられない場面だった。

歌手役もちょっとふんわりした感じが素晴らしく、見終わったら、これからはヨアンナの出演映画は絶対見ようとにわかファンに。

もう一本は大河ドラマの「運命の炎」で、1897年パリで実際にあった話だそうで、貴族たちの社交界のチャリティバザーの会場が炎に包まれ、126人の死者が出たという大事件をもとにしている。そこで生き残った3人の女性のドラマだけど、それがあまりにも長く、途中で寝落ちしてしまう。

死者は全員女性で、どうやら大部分の男性は我先に逃げ出したというのが妙に気になる。

今夜は何を見ようか。どんな長篇でも、一旦見だすとやめられなくなるという厄介な性分、自分でも持て余してしまう。

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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