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ハリウッド・ピンク一色のロンドンの流行りのバーって?

時代が戦争やコロナなどで、不穏な状況になってきているせいか、世の中はその逆に優しいものを好む傾向になってきている。メイクも「ピーチ・メイキャップ」モモのような柔らかいピンクを、頬や目の下に入れるという。
インテリアも、直線よりは曲線の家具のデザインが目立ってきていて、サロンに置く長椅子、カナぺにしても、ころんとした角の尖ってないものが好まれている。
スイーツも、デコレーションはパステル調の色を使ったレトロ風バブルケーキが人気のようだ。
そしてモードも、生涯着れるようなスロー・ファッションに向かっている。

そうした傾向は少し前からきていたけど、今回建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を、アフリカの建築家、ディエベド・フランシス・ケレが受けたことで、改めてそうした日常的な流れが、アカデミズムの領域でも認められたことを知る。
ベルリンを拠点にして活躍する建築家ケレは、ブルキナファソ出身で、ベルリンの大学を出たあと、そのままドイツに留まって、主にアフリカの仕事をしているという。
「人間が生きる場所、日常的に生活をする場ということを常に大切に考えている」
ケレはそう語っていて、たしかにブルキナファソに建てた学校建築をみても、スタイルはとても素朴で、小さなイレギュラーな窓はいかにも子供たちが喜びそうだ。
同じ賞を、あの過激で独創的な建築家ザハ・ハデットが取ったことを思うと、時代変わればこうまで変わる、と思ってしまう。 

パリで親しくしていた有名インテリア・デザイナー、インディア・マダヴィから「私がロンドンで仕事をしたところが、流行りの場所になったみたいよ」とメールがきた。彼女は女優のゴルシフテ・ファラハニのいとこで、パリではゴルシフテもやってきてみんなで夕食に出かけたり、彼女の自宅で手料理を食べた思い出がある。
ネットで調べると、インディアが手がけた「スケッチ」というバーレストランの写真がすぐにみつかる。それをみて、驚いた。薄いピンク一色で、ネットの記事をみると「ハリウッド・ピンク」を使ったマダヴィは、「ヨーロッパとアフリカンなテーストをミキシングした」と説明している。

さすが、インディア、きてる!

 

 

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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