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パリのスタイリストも注目の新人ブランドが手掛ける映画「悲しみよ こんにちは」。

フランソワーズ・サガンが、「悲しみよ こんにちは」で文壇にデビューしたのは、1954年サガンが18才の時で、世間に衝撃を与えた作品だった。それから70年後、今回その小説が再度映画化されて、秋にはフランスでも封切りになるという。クロエ・セヴィニーは、亡き母の親友として登場、ヒロインの18歳のセシルを演じるのは、米女優リリー・マクネニーだという。

まだスチール写真は公開されていないけど、Lilliummというリリーのインスタグラムには、「悲しみよ こんにちは」のコート・ダジュールでオープンカーに乗ったシーンの写真が載っている。

父や父の恋人とコートダジュールの海辺の別荘でヴァカンスを過ごしながらも、バカロレアの試験に落ちて、ちょっとブルーなリセエンヌが、大人の世界を垣間見る、10代の夏の心情というのは、いつの時代も変わらないかもしれない。ぜひ日本でも公開してほしいものだ。

この映画でのコスチューム担当は、今はまだほぼ無名のレバノン出身のシンシア・メルヘイのブランド、un_produced で、クラシカルな中にも主張のある華やかさを持っていて、いまパリのスタイリストも注目し始めている存在なので、それも少し気になるところ。シンシアは2017年にベイルートを離れて、その後マルタン・マルジェラやバレンシアガなどにいたというし、ジオメトリックなシルエットが、今後どのように進化していくか、期待されている。

パリに暮らしていた80年代後半、フランソワーズ・サガンのシェルシュ・ミディ通りのアパルトマンによく遊びにいっていた。昼下がりのサロンで、彼女と「悲しみよ こんにちは」の話をしたことがある。
「あの処女作一作で、私はエッフェル塔より有名になっちゃったから、それからずっと何をするにも面倒くさくなったわ」とフランソワーズはいっていた。

それほどフランス中を夢中にした小説の再映画化、早くみたいものだ。 

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「笑顔しかわからない多くの人たちより......」フランソワーズ・サガンの横顔とは?

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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