いま面白いメンズのハイブランドはどれ ? (2019年春夏限定Ver.)
さて。
…………… ん ……………………………………。
…………いや、やめとこう、いつもの無駄話はっ。
本題行きますよ、本題。
「いま面白いメンズのハイブランドはどれ?」
ってことで3ブランドをご紹介。
なんですが、「3つに絞りました」とかじゃありません。
これがイイ、って考えたら3つになったという。
2019年春夏を眺めるうえでの2大キーワードがあります。
1 ストリート(を上手く取り入れているか)
2 エレガンス(復活の気風を提案しているか)
「ストリート」って分かりにくいですよね。
「ポピュラー音楽のカルチャーと結びついた、スポーツカジュアルな90年代的服装」
ってとこでしょうか。
ヒップホップやスケーターなんかの。
パーカのフードを頭からすっぽりと被ってるようなヤツ。
グラフィックやDJやってる男子が好きな感じの。
「とある集団の皆が話す共通言語」。
「エレガンス」とは、上品な服装のこと。
「ミュージシャンや俳優のセレブをブランドに取り込み、
そのファンを中心に口コミで広めて服を売ろう!
SNSの宣伝効果バンザイ!!」
というビジネスモデルが完全に定着したメンズモードの世界は、
そのやり方が通用しない大人層へのアプローチを久しく避けてきました。
若く若く、とにかく若くと。
ただ、人は飽きる生き物ですからね。
一般社会に通用する、大人な高級ファッションが再び注目されてきたという。
ではこれから、3ブランドを見ていきましょう。
ショーとルック写真はオフィシャル、各アイテム写真は私が展示会で撮ったもの。
……あ、そーだ、今回はアイテムのお値段もコスパも、まったく気にしてません。
そして、「このブランドの服や小物を身につければ、誰でもイケてるオトコになれる」って話でもありません。
デザインの個性や時代の読み方に、グッときたブランドのセレクトです。
★ディオール
PHOTO:PATRICE STABLE
きれい、まーきれい。
この新鮮味溢れるノーブルさで、19年春夏の私的ベストな「ディオール」。
さらに、ただキレイなだけじゃないんです。
テーラードジャケットを裏返した、「インサイド・アウト」構造のデザイン。
透ける素材感もストライプの柄も旬の気分。
爽やかな色は、ジェンダーレス発想。
文句のつけようがなくカンペキですね。
ストリートスタイルの定番パーカも、透ける素材使いで。
エレガンスとの絶妙なミックス感がたまりません。
そして、さらにキーアイテムがありまして、
ストリートシーンの憧れブランド「アリクス(1017 ALYX 9SM)」のデザイナー、マシュー・ウィリアムズが、
ディオールのためにデザインしたバックル。
いわゆるコラボアイテムです。
ジョットコースターの安全ベルトで使われるこのバックルはアリクスのアイコン。
ここに目をつけ、「君たちのことは分かってるぜ」なアピールをするのが、
新ディレクター、キム・ジョーンズによるディオールです。
ウィメンズで話題の復刻サドルバッグも、バックルがメンズ仕様に。
今季からメンズもブランド名から「オム」がなくなり、単なるディオールに。
統合されたことで、ウィメンズとの連携が増えてきたようです。
続きまして……同じ「LVMHグループ」ですけども、
★ルイ・ヴィトン
LOUIS VUITTON Men Collection Spring-Summer 2019 (C) Louis Vuitton All rights reserved
Louis Vuitton / Ludwig Bonnet
正直言います。
新ディレクターによるパリコレのショールックをネットで見たときに思ったのは、「これはないよ」と。
高級モードとしてのエレガンスやデザイン性が足りないと感じてしまい。
ヒップホップとの結びつきが深いアフリカン・アメリカンのヴァージル・アブローが、ラグジュアリーメゾンを率いることでオトコの間で話題騒然だったこのコレクション。
見方が変わったのは、実際にアイテムに触れてからでした。
日本の展示会場。
まず、カッコよさにヤラれたのは、
このモノグラムバッグ。
蛍光オレンジの樹脂製チェーンをつけた “だけ” ともいえるのに、
旬の色で伝統を新しく演出したセンスはバツグンです。
金属パーツやエッジ(パイピング)が黒なのも男っぽいアレンジですね。
(元のエッジはベージュのヌメ革)
近頃のメンズに共通するテーマである「ユーティリティ(機能性)」にも積極的で、
ポケットが多い “着るバッグ” を多々登場させてます。
これがまた、ショー写真では分からなかったクオリティの高さでして。
モノグラムが型押しされた革だったり、
同じく蛍光オレンジを使ったり。
素材や縫製といったプロダクト品質が高いから、チープな印象がありません。
LOUIS VUITTON Men Collection Spring-Summer 2019 (C) Louis Vuitton All rights reserved
Louis Vuitton / Ludwig Bonnet
ショールックでの着こなし。
“お洒落” かどうかの判断は人ぞれぞれといえども、楽しいのは間違いなく。
★ジル・サンダー
じわじわと人気が出てきた感のある、新生「ジル・サンダー」。
ラグジュアリーグループに属していないこともあり、
ディオールやルイ・ヴィトンのような騒がれ方をしてません。
でも私の仕事の周囲でも「ジル・サンダーいいよね!」な声が増えてます。
「ファッション好き」、というより、「服好き」な人に評判な気が。
ルック写真のカッコよさは、今季のメンズでナンバーワンだと思いますねー。
スタイリングも人物の存在感もダントツ。
続いて展示会でチェックしたのは、
ずるずると長く着るニット。
グラフィカルな色彩は、就任間もないディレクターのルーシー&ルーク・メイヤー夫妻のうち、
自身のブランド「OAMC」を手掛ける男性のルークのデザインでは?
軍モノっぽいスニーカーも、ルークの力でしょう。
OAMCもスニーカーが最高なんです(これと似てる)。
どのラグジュアリーブランドも足並みを揃える、
流行のハイテク系スニーカーをガン無視なところがカッコいいぞ!
もしも、もしもですよ、
私がイケてる外見の金持ちな若いオトコだったら
(どうですか、この徹底したファンタジーな設定は!)、
いま着たいのはジル・サンダーでしょうね。
(ハイブランドの中から服装を選ぶなら)
水濡れに強い生地を使っていたり、実はリアルなライフスタイルがあるんです
(とても分かりにくいけど)。
シルエットやディテールは大きくデフォルメされてますし、
ファッションニスタじゃないと着にくいでしょうが、
意外と日本的なストイックさもあって。
ちなみにカナダ出身のルークはイギリスの最高峰、オックスフォード大学で経営学を学んだ人。
「学業に優れる=いい服つくる」ってことにはなりませんけども、プチ情報として小耳に。
そしてジル・サンダーのインスタのブレなさが、まー素敵。
https://www.instagram.com/jilsander/?hl=ja
自分たちの世界を伝えることに集中してます。
さらに、OAMCは、
https://www.instagram.com/oamc_official/?hl=ja
投稿数が29件だけ(5月7日時点) ww
好きだわ〜この姿勢。
ではでは、今回はこれで!
たまには余計なこと言わずに、さらっと消えますよ〜。
photos © Kazushi Takahashi
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