オトコが好きなファッション!? ライターの本音トーク

レアンドロ・エルリッヒ展は行っとくべき!爆笑できますんで。

ここで一句。

六本木ヒルズ
あ〜〜六本木ヒルズ
六本木ヒルズ
 

……何ですか、何か問題でも !??
ただつぶやいただけですけどっ。
これ以上続けると、またもや怒られるので、やめときますよ、ええ。

今回はむっちゃ楽しい話をしに来たんですから。
この展覧会、てかイベント、もしくは遊園地(?)に行けば、ワイワイと遊んで笑顔で帰れるっていう。
六本木ヒルズの敷地に入るたびに迷子になり、「ここは脱出ゲーム会場かい」とうなだれる私のような田舎者の話は別にいいんですよ。

「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」
【2017年11月18日(月)〜2018年4月1日(日) @東京・森美術館】

知的水準が低い私は、「アートってこんな感じ」なサブタイトルにテンション下がってたんですが、マスコミ報道で会場を見る限り「面白そう」ってなりまして。
ただ、普段はどこ行くにも一人な私でも、この展覧会ばかりはリア充な熱波を浴びて焼き焦げる気がして、スタートしてから数ヶ月スルーしてました。
でも最近ちょっときっかけができ、このブログの登場が常連なあゆみさんに、「六本木ヒルズの外の『シナボン』で、シナモンロールご馳走するから〜〜」とお願いして一緒に行ってもらうことに。

見た目の印象とのギャップが最高すぎるキャラの持ち主さんと見に行って大正解でしたね。
最後まで笑いっぱなしでした。

一人でもきっと楽しい。
私も次は一人で行き、細部をしっかり見て、冷静に作品分析をしてこようか、とも考えてますし。
(アートうんぬんな話は、このブログの最後にちょこっとだけ触れます)

ではご紹介スタート。

っと、その前に、会場の引き(全体)写真がぜんぜんないのはご容赦を。
アジア人観光客を含め人が多すぎて、写せる状態ではなく。
会場は写真撮影がオールOKだから、スマホだらけでもうたいへんな騒ぎです。

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エントランス。

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これこれ、見たかったやつ!
夜の湖やウォーターフロントのような屋外に連れ出されたようで、心が都会から切り離されます。
床がデッキのような木材なのも、屋外気分を高めます。
会場入ってすぐが、この静寂な大空間。
展覧会に入り込ませる見事な導入です。

「水に浮く普通のボート」と思います?
水なんかないんですよ。
照明と船の造形で、水面に反射しているように見える彫刻。
ゆらゆらと動いてます。

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例のやつ。
廃校の椅子に座る幽霊。

その仕組みは、

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ガラスの反射です。
隣の部屋が、廃校を模した部屋。

ここは大勢の人が押し掛けて、スマホをかざす人がガラスにガンガン映り込んでました。
そんな理由で残念ながら、あまり作品世界には入り込めず。
上の写真は、その中でなんとか切り取った瞬間です。

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覗きのバーチャルシュミレーション。
窓の中はモニタで、人が動いて生活してます。

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鏡のある優雅な試着室。

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え、なに、なに??
人が鏡に映ってたり、映ってなかったり。
あと、これ撮ってるカメラはどこに???

タネ明かしは、

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こーゆーことです。
この部屋はかなりスペースが広く、中を歩き回れます。
ぜったいに入りましょう。
突然、鏡に他人が映ったりして(フレームの反対側に人が来たとき)、おかしくてしょうがない。
私も、見知らぬアジアの女性と真正面で向かいあい、お互いに笑ってしまいました。

続きまして、
たぶん私的にナンバーワンの作品を。


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四方に窓がある小さな中庭のあるお屋敷。
窓の一つから中を覗くと、向かい側の窓に、もう一人の自分がいる!

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これヤバイです。
不思議ってだけでなく、ある種の恐怖も感じる。
ほとんどの人は笑ってましたし、私も最初はそうでしたけど。

SF映画やホラー映画が好きな人間だから、入り込んじゃったのかな?
ニコール・キッドマン主演の「アザーズ」が頭に浮かびました。
(同様の映像が出てくる映画ではありませんが)
もう一人の自分がいる、パラレルワールドが現実に。
「これぞアート」なんですが、そんなお話は最後にちょこっとだけします。

さあ、ここで、
お約束のやつもやっとかないとねっ。

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ぶら〜ん。
いい演技だ 笑

ではおしまいに、こういう楽しみ方がお薦めって作品を。

スクリーンショット 2018-02-25 2.07.04.jpg

「美容室」と名付けられた部屋。
鏡と椅子のセットが、横に4つ並んでいます。
もうお分かりの通り、鏡は素通しで、この写真の鏡の向こう側が別の部屋。
ブラシや整髪剤、ラックなどが完全に同一に配置されてます。
鏡に自分の姿は映らず、隣の部屋にいる人と顔を合わせます。

ここに来たほぼ全員が、お互いに椅子に座って向かい合い、スマホで撮り合ってるんですが、なぜか面白みがイマイチだったんですよ。
この作品のポテンシャルはもっとすごいはず、と考えてたら、あゆみさんから一つのアイディアが。
「隣同士の部屋に2人で入り、端からゆっくりと同時に鏡を見ながら歩き、通過するときに顔を見合わせたらいいのでは?」

その1シーンが上の写真。
ここではマジメな顔してますけど、実際には爆笑の連続です!
鏡から離れて立ったことでリアリティが出て、同じ瞬間にお互いがピタッと歩きを止めたときなんかもう 笑

アートとはなんぞや?

最後に、この「美容室」に象徴されるアート目線なお話をちょっと。
鏡の向こうにあゆみさんがいたとき、自分自身が一瞬、この人に乗り替わりました。
立っているのが自分かどうか分からなくなった衝撃の瞬間です。
「君の名は。」です。
(この映画が好きかどうかはまた別の話ですけども)

窓の向こうにもう一人の自分(何人もの自分)がいる部屋も、クローン人間の自分なのか、別の世界で生きている自分なのか、彼らと現実に対峙した感覚がすごくて。

現代アートではよく、「複雑にレイヤーされた社会構造における自身の立ち位置を曖昧にさせ、存在の概念と時間軸の均衡のバランスについて考えてほしい」とか説明されるじゃないですか。
捻くれ者からすると、哲学の押し付けに思えたり、「美術館は学校?アーティストは教師?」とも思ったり。
そもそも、「そのことを考えなきゃいけない、意味も理由も分かんない」と。
で、その芸術作品を見ると、「う〜ん、心が動かねー」ってことがしばしば。

レアンドロ・エルリッヒさんの作品は、アートとしてのパワーも屈指だと思います。
この “分かりやすさ” の裏には、深い探究心と膨大な労力があるはず。

身近な世界だからこそ、グッと中に入り込める。
「考えを強制される」のではなく、「思わず考えてしまう」。
これこそ “アート” なんでは?

まー、あれですよ、あれ。
アホ野郎のいうことですから、テキトーに受け流していただいて、ともかくはまだ未体験な人は一度森美術館に足を運んでソンなしです。
私はテレビなどの事前情報でマジックの仕組みを知りつつ行きましたが、ぜんぜんOK。
てかむしろ、ちょっと知ってるくらいがちょうどいい展覧会でした。

 

© Kazushi Takahashi

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高橋一史

明治大学&文化服装学院卒業。編集者がスタイリングも手がける文化出版局に入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。担当ジャンルは、ファッション&音楽。退社後はフリーランスとして、原稿書き・雑誌編集・コピーライティング・広告ディレクション・スタイリングなどを行う。

kazushi.kazushi.info@gmail.com

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