かぐわしきみなと通信

3月の香港でアートな食体験を

アジア最大のアートの祭典、アートバーゼル香港が定着して以来、香港の3月はアートで溢れていて、とても楽しいのです。

やっぱり食い倒れの街ですから、アート月間もなぜか食べ物と直結。たくさんのレストランのシェフやバーテンダーが「アート」というお題に取り組むことに。

先日は尖沙咀にあるザ・ランガム香港で、アートメニューの試食に呼んでいただきました♪ 

最初はまず、ロビー階にあるラウンジのバー、アルチザンへ。

正直、日頃取材で、面白いカクテルたくさん飲んでるし~ぐらいの気分でいましたが。やって来たカクテルを見たら、わあ、こういうのは初めてです。ヴァン・ゴッホの「星降る夜」にインスパイアされたブルーグリーンのカクテル。卵白のフォームの上に素敵に絵が描かれています。

DSC09363.jpg

「すごく1つ作るのに手間がかかるのよ」と言われ、制作風景を見学させてもらって、感動。

これは次に来るモンドリアンのカクテルを作っているところ。なんと定規まで登場! 楊枝のような棒で点描のようにして丁寧に描いてくれているバーテンダーさん。私たちが前できゃーきゃー騒いでいるのに、すごく集中していました。

DSC09367-2.jpg

出来ましたー!!とても可愛いカクテルです。同じく卵白フォームを絵のベースにしていますが、こちらはサフロンをインフューズしたジンに、エルダーフラワーリキュールやレモンジュース。とても飲みやすい、爽やかモダンな味♪ ちゃんと絵のイメージに味も合っている・・・・・・かな?

DSC09378-2.jpg

さあ!今度はサルバレート・ダリの「永遠の記憶」。あのどろりと溶けた時計を上手に描いています。これが一番難関だとか!

DSC09381-2.jpg

できました-! こちらはメスカルにオレンジジュースやオレンジビター、グランマニエなど、まろやかな苦みが素敵です。

DSC09384-2.jpg

せっかくできたので、全員集合で記念写真を!

作っているところを見なかったら「へーきれいね」で終わっていたかもしれません。見せていただいて良かったです♪

DSC09387.jpg

さあ、この後。いよいよ今日のメインイベント。地下にあるレストラン、ボストニアンで、香港人アーティストのマイケル・ラムさんとボストニアンのシェフが一騎打ち(笑)するこの企画。題して「Taste the Elements of Art」。水、土、火、空気という4つの要素を描いたマイケルさんの油絵からインスピレーションを得た4つのメニューがやってくるそう。

立って説明してくれているのがシェフのペドロ・サンパーさん、シェフを見上げている中央の方がアーティストのマイケルさん、その左はランガムのF&Bディレクターのシェーン・ウィルキンソンさん。真っ赤な壁とそこにかけられている香港の古い風景がとても印象的なこのボストニアン、まもなくリノベーションに入るとかで、この姿が見られるのは今回が最後とか。ちょっと寂しいですけど、ますます素敵になって戻ってくるのでしょう。

DSC09400.jpg

それではさっそく、アートと食の華麗な競演の始まり、始まり!

最初はこの「水」にちなんだ前菜です。こちらがマイケルさんの油絵。とても立体的で瑞々しい!

DSC09390.jpg

その瑞々しい水が、こんな前菜に。北海道産ホタテ貝とウニのカルパッチョ。アボガドやきゅうり、トマト、アボガド、紫蘇が和えられています。爽やかでとても幸せな味でした!

DSC09402.jpg

次がこちらの「土」。鮮やかな黄色に目が引きつけられますよね。

DSC09393.jpg

これがその答え! 鮮やかな黄身が中央に。イベリコ豚のベロータハムやポルチーニ茸、黒トリュフ、松の実を使った温かみのある大地の恵みばかりです♪

DSC09405-2-2.jpg

さあ、いよいよメインは「火」。あの赤い炎のような部分が、まるでドラゴンみたいだね、やっぱりメインはドラゴンの肉かな、などとふざけていたところ・・・・・・

DSC09389.jpg

テーブルにやって来たのは、海のドラゴンこと(笑)ボストン・メイン・ロブスター! そしてラムのローストも鮮やか。ブラッディ・キャロットというのは紅にんじん? きれいな炎はビーツで作っているのです。見て楽しい、組み合わせもばっちりな一品です。

DSC09414-2.jpg

出席者にいたワイン雑誌のエディターさんがメインに合わせて選んだというこのワイン、ワイン音痴な私にも分かる美味しさでした。すっきりして優しい。

DSC09412-2.jpg

さあいよいよデザートはこちらの「空気」。だんだん油絵まで美味しそうに見えてきました(笑)。

DSC09392-2.jpg

やって来たのは、ブルーベリーとライラックの花びらをあしらった、ホワイトチョコレートとミルクヨーグルト。ボリュームがしっかりあります。そしてこのとき、1人一杯分の「星降る夜」カクテルが運ばれてきました。きっと私たちがバーを離れてから、ずっとこれを作ってくれていたんじゃないでしょうか(涙)。
美味しくいただきました。

DSC09429.jpg

アートを題材にすると、日頃美しい料理を作っている人たちも、ますます刺激を受けるみたいで、毎年味覚と視覚への刺激以外に、不思議なワクワク感のある楽しい食体験ができるこの3月の香港。

期間限定メニューばかりなので、香港にこの時期来る方たちには見逃せません♪

甲斐美也子

2006年より香港在住のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。

ARCHIVE

MONTHLY

Business with Attitude
Figaromarche
airB
言葉の宝石箱
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories