かぐわしきみなと通信

香港バーテンダーと鹿児島焼酎の旅ー緑茶とグルメとお湯割り編

人の縁というのは不思議なもの。香港で長く仕事をしているうちに、東京にいた頃にはまったくなかった、日本の地方都市とのご縁がいろいろ生まれています。

中でも昨年に続き今年もご縁があったのが、鹿児島県。香港のレストランでは鹿児島産の牛や豚を初めとする沢山の食材が使われていますし、香港人にとって日本の中でのお気に入りの観光スポットでもあるのです。

そんなこともあって、鹿児島県庁からのご依頼を受け、去年は香港から有名シェフ4人を連れて食材視察の旅にうかがいました。今年は、ちょっと趣向を変えて、香港のトップバーテンダー達に、焼酎の素晴らしさを知ってもらう旅という企画ができまして、3月に香港から4人を連れて行って参りました。

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今回香港からご一緒したメンバーは、右からフィガロ本誌にも登場している香港トップバーQuinaryのサミュエルさん、鹿児島県の香港でのPRを担当している木邨さん、私、フォーシーズンズ香港の三つ星レストラン付属のCarice Barからイメルダさん、バーコンサルタントなどとして幅広く活躍中のサンディープさん、アジアベスト50バー常連Stocktonのスラージさん。

普段は取材でバーの中で会うみんなと、こうして日本に行くってとても新鮮でした!

サミュエルさんは私の本『週末香港大人手帖』にも登場しています。

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彼はQuinaryオーナーのカリスマバーテンダー、アントニオさんの右腕なのです♪ 去年はフォーシーズンズ東京でのポップアップバーにも来日していました。

そしてさらにこの旅にはスペシャルゲストがいたんです! このブログでも以前紹介した、世界トップバーテンダーの後閑信吾さんです。渋谷のSG Club、もう行きましたか? まだの方、すぐに行くように!(笑)

実は後閑さん、ただいまオリジナルの焼酎を開発中で、九州の焼酎産地を頻繁に訪れています。海外で活躍するトップバーテンダー&バーオーナーならではの目線で作られるその焼酎が完成したら、一気に世界のバーシーンでの焼酎への注目度が高まるのではないでしょうか。ということで、香港からのバーテンダーたちにとっては、最高の案内役が加わってくださり、これはもう頼もしい限り!

さてさて、悪天候の乱気流に負けず、何とか鹿児島到着! 空港で東京からいらした後閑さんとも無事合流。

3泊4日の滞在で、多数の焼酎蔵元とともに、カクテル作りのインスピレーションになるようにと、鹿児島名産品も味わうことができる行程になっていました。

その1つである鹿児島名産の緑茶「知覧茶」。静岡に続いて鹿児島が緑茶の生産量全国2位ということ、恥ずかしながら私も最近まで知りませんでした。

ということで最初にうかがったのは、全国で13人しかいないという茶師10段の池田研太さんによる緑茶ワークショップ@池田製茶天文館本店

この日試したのは、玉露、煎茶、抹茶の原料になるてん茶の3種類。とてもスマートな池田さん、新世代の茶師の雰囲気たっぷり。海外との取引ではアメリカへの輸出が多いのだそう。

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最初にいただいたのが玉露。カフェインや苦味成分になるカテキンは温度が低いと抽出されづらく、うま味成分であるアミノ酸だけが抽出されるので、水出しがお勧めなのだとか。

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中国茶には慣れ親しんでいるけど、水出しで緑茶を飲むのは初めて!との声があちこちで上がりました。アミノ酸の効果でするっと体に馴染みます。これは家でやってみなくては。さっそく普通に日本人でも参考になることばかり。

「量を飲むものではなく、食前酒の代わりに口に馴染ませるのがお勧め」と池田さん。

小さな片口の碗に玉露の茶葉を入れて、水を注ぎ、ゆっくりグラスに注ぐというこの方法、さすが一流バーテンダー揃いですから、みなさん見事なお点前! 集中力を感じますねー。

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ちなみに、玉露の出がらしは、鰹節と醤油と和えて食べると美味しいんですよ、という池田さんの言葉に「カップヌードルにかけて食べたい」と元気な香港女子、イメルダ。

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その次には、玉露よりもさらに苦味と渋味が強い煎茶も水出しで、香りを楽しむワイングラスでいただきました! 

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その後は、てん茶を挽いて抹茶を作る体験も。みんな興味津々。

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和気藹々!

 

てん茶を挽くスラージ!

 

要所要所で、バーテンダー目線の説明を英語で加えてくださる後閑さんと、池田さんや後閑さんの話に聞き入りつつ、いろいろと深く語り合う香港バーテンダーズの様子を見て、この旅は実り豊かなものになりそう!と関係者一同嬉しくなった場面。

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ということで、第一訪問先、大成功♪ さい先の良いスタートです。

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「茶園にも行きたいよね」と話していて、後日立ち寄りました。ものすごく寒くて、すぐに車に戻ってしまいましたが、お茶の故郷に立てるって嬉しいものですね。

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緑茶を堪能したら、初日はやっぱり、鹿児島グルメ=鹿児島牛と黒豚を楽しまないと!

地元の有名店『華蓮」でいただきました、贅沢なしゃぶしゃぶ! 我ながら幸せそう。ああ、この瞬間に戻りたい(笑)。

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そして黒豚と野菜の蒸籠蒸し! 

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蒸籠の中身はこれなんです。

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蒸し上がるとこんな風に!

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美味しいに決まっていますよね! 質の良い食材なら調理がシンプルなほど、美味しさが最高に引き出されます。

ここでのハイライトは、同席された鹿児島県庁の皆さんもその手慣れた手つきに感動したという、世界の後閑が作る、焼酎のお湯割り!

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今、振り返るとなんて贅沢だったんでしょうか!!もっと飲んでおけばよかった、笑。

私もまったく知らなかったこのお湯割り、鹿児島では基本の飲み方=焼酎の美味しさがいちばん楽しめる飲み方で、食事のときにはお湯割りが定番なのだそうです。

お湯でほどよく温まると、芋焼酎なら薩摩芋の芳香が、アフターテイストとしてふわーーーっと口の中に広がって、ホクホク感も味わえて、うっとりさせられます。もともと薩摩芋大好きな私としては、初めて、あ、芋焼酎の美味しさってこういうことだったんだ、すごい好みだ!としっかり理解できました。

この後、地元の有名焼酎バーの「礎」へ。鹿児島だけでも2000銘柄以上の焼酎が造られているそうで、いやはや、ずらりと瓶が並ぶ様には圧倒されました。みんなそれぞれ、ここでお気に入りの焼酎を見つけたそうです。

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そんなこんなで始まった鹿児島の旅、1日目はこの辺で! 

2日目はさまざまなタイプの焼酎蔵元を訪ねます。

 

 

 

 

 

 

甲斐美也子

2006年より香港在住のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。

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