
英国から米国から。愛しのギターガールズたち。
最近、ギターを弾きながら歌うシンガーソングライターの女性たちがとても好きだ。のびのびと自分を表現するその姿と曲が心地良すぎるから。
ウェット レッグは、2019年にイングランドのワイト島でリアン・ティーズデイルとへスター・チャンバースによって結成された二人組。
グラストンベリーのバックステージでのスナップ。彼女のインスタグラムのフォロワーにはファッション関係者も多い。
4月に出たファーストアルバム「Wet Leg」はイギリスのアルバムチャート一位を獲得している。
独特の世界観が繰り広げられる「Wet Dream」のMV。日本のビルボードチャートでも19位にランクインした。
私が興味を持つきっかけとなったのは、6月末に開かれたグラストンベリー・フェスティバルでのライブ映像を観たこと。たっぷりしたシルエットのドレスに髪から長く垂らしたリボンで、ガーリーなたたずまいながらも性的な暗示を含む歌詞をあっけらかんと熱唱する姿がとても良かった。
グラストンベリー・フェスでのファーストシングル「Chaise Longue」の演奏。来年2月には日本来日も果たす予定。
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グラストンベリー・フェスのライブで見つけたもうひとりはビーバドゥービー。フィリピン生まれロンドン育ちのZ世代のアーティストだ。
本名はビー・クリスティ。8月のサマーソニックで初来日する。
グラストンベリー・フェスでは、セカンドアルバムからの「Talk」を披露。
2017年にYouTubeにアップした曲「Coffee」はすぐに30万回以上再生され、2018年にレコード契約。同年4月にはファーストアルバム「Fake It Flowers」をリリース、今月15日にはセカンドアルバム「Beatopia」を発売予定だ。
セカンドアルバムに収録の「See You Soon」。次にいつ会えるか分からない恋人に「またすぐにね」と語りかける。
10代、20代始めならではの繊細な心情を、パワフルで美しい曲に乗せて清涼感ある声で紡ぐ。youtubeを見ながら独学で覚えたというギターもいい。
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そしてもう一人はスネイル メイル。「かたつむり郵便」という名のそれはバンドではなくて、アメリカ人リンジー・ジョーダンによるソロ・プロジェクトだ。
まっすぐな瞳が印象的。
2018年に1枚目のアルバム「Lush」を、2021年には2枚目の「Valentine」を出している。
どれも可愛い、スネイル ネイルのアルバムジャケット。
同性愛者であることをカミングアウトしている彼女の歌は、クイアであることへの苦しみ、痛み、恋人との別れなどを包み隠さずに歌に込める。
セカンドアルバムからの「Valentine」は、周りの目を気にして女性同士の恋愛を諦めて異性との交際を始める元恋人へのヘビーな心情へを歌う。MVの最後はちょっとショッキングなので要注意。
「Reistine」はファーストアルバムからの一曲。美しい旋律に乗せて歌う、満たされない想いが切ない。
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彼女たち3組に共通しているのは、とても自然体だということ。これまでのギターを抱えた女性ロックシンガーの多くは、ワイルドだったりセクシーなイメージだったりと、そのために常に頑張っている印象が私にはとても強かった。
でもウェット レッグも、ビーバドゥービーも、スネイル メイルも、彼女たちは飾ることなくそのままで、自分の内面をしっかりと見つめながら歌う。それはセックスについてだったり、恋人との間で揺れ動く心だったり、自分のセクシャリティだったりと内容はさまざまだけれども、共通して言えるのは自分たちにとても正直なところだ。独自のファッションセンスを持っているのも良い。
クリスタルのようにキラキラと輝く彼女たちの奏でるギターサウンドにのせて、琴線にふれる歌詞を透明感ある声で歌う彼女たちは、私にとって宝物みたいな存在だ。
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