35歳、シングルマザーのエディターが、パリに移住してみたら

ティーンエイジャーの留学と友人づくり。

こんにちは、鈴木桃子です。息子がパリで16歳となり、いよいよティーンエイジャー感が満載のこの頃です。

先日は、自分の部屋で締め出しをくらいました。泥棒が多いらしいパリでは、どこのアパルトマンも鍵が厳重。エントランスが二重になっていて、部屋もオートロックです。
部屋を借りる際、オーナーに「もし鍵をなくしたら、交換に20万円くらいかかるから」と言われ、いまでもビクビクしながら鍵を保管して生きています。

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毎日、ご近所で見かける番犬。

そんなこんなで、まだ肌寒い3月の半ば、夜9時頃のこと。鍵も携帯も持たず、上着も羽織らないまま、エントランスまでゴミを出しに降りた私。部屋の中には息子がいて、出る際に声をかけておいたので、部屋に戻ったらドアを開けてくれるはずでした。30秒後、部屋に戻ってベルを鳴らしたところ、誰も出てこない……。30回近く、ベルを押しましたが、誰も出てこない……。ドアの前で息子の名前を呼び続けていたところ、同じフロアのご近所さんたちが、何事かとわらわら出てきました。事情を話したら、「うちの部屋からなら、窓の中の様子が見えるんじゃない」と、部屋に招き入れてくれ、同じフロアの3部屋にお邪魔することに。しかし、どの部屋から息子の名前を呼びかけても出てこず。携帯を持っていなかったので、ご近所さんのSNS経由で息子にメッセージを送るも返信なし。「私も部屋にいる友人が寝てしまって中に入れず、一晩中外にいたことがあるの」と、ご近所さんに慰められながら、お茶をいただき、上着を貸してもらい、2時間が経過。「最後にアパルトマンの外側から声をかけてみよう」と提案してもらい、外に出て、みんなで一斉に息子の名前を大声で呼んでみたところ、息子がガラリと窓を開けて顔を出しました。ドアを開けなかった理由は、私がいなくなったことを忘れていて、ベルに気づかなかった理由は、音楽を聴いていたからだそうです。愕然とする一同。ああ、ティーンエイジャー……。

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可愛い見た目で、厳重なエントランス。

何事も自分自身でいろいろできるようになったことはありがたい反面、もはや私が必要ではなくなってきたことを実感する日々です。母親として一緒にいることを求められた時期って、本当にあっという間。パリに来て、いま私の人生に少し時間と心の余裕ができたとはいえ、それは私の事情であって息子の事情ではありません。親としては、ずっと一緒に遊んでくれるような気がしてしまうけれど、それもいつまでも続くわけではないのですよね。そう思うと、まだ一緒にいろんなところを訪れてくれるうちに、たくさん旅行に行ったりしようと思うのでした。私の自己満足にすぎなくても、この母親タイムがこれからの私の人生の財産になる気がしています。

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ようやく暖かい日差しを感じるパリですが、まだ気温は10℃前後。

しかし16歳という年頃、息子は息子自身のコミュニティを持つことが大事。学校では、普通に友人たちと話して遊んでいるようなのですが、休日に約束をして遊ぶほどの友人はまだ見つけられていないみたいなのです。「日本と外国のティーンエイジャーってどう違う?」と聞くと、「ママとアンミカくらい違うよ」という答えが返ってきて、どのように違うのかはわからなかったのですが、なんとなく、すごく違うということは掴めました。

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フランスの桜をもらって、家の中で花見をしました。

日本にいたって、自分に合うコミュニティを見つけるのは難しい年頃。小学生の時は、言語が伝わらなくてもすぐ仲良くなっていたけれど、ティーンエイジャーの友人づくりは、そう簡単ではない様子。加えて、フランス人の人間関係がそんなにオープンではないこともあります。知り合いになったフランス人いわく、「フランスでは、小さなグループをつくって仲間内で遊ぶのが普通。近所に住んでいたり昔からの知り合いだったり、その仲間に入るのは難しいと思うよ」とのこと。もしかしたら、この感覚って少し日本人に近いのかもしれないなと思いつつ、フランスのコミュニティに入っていくには、時間が必要なのかもしれません。趣味のダンススタジオに所属しているのですが、そこで友人の輪が広がるといいなと思っているこの頃です。

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ティーンエイジャーの友人づくりはどんな国も大変。

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鈴木桃子

パリ在住エディター、ライター。1987年生まれ。早稲田大学在学時、20歳で結婚&出産。出版社勤務を経て、離婚後に渡米。帰国後、2016年よりフィガロジャポン編集部のエディターとして勤務。2022年10月より、高校生の息子とともにパリへ移住し、フリーランスで活動中。
Instagram:@momoko____szk

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