
MUSIC DIARY 24/7/伊藤なつみ
最高に楽しかった yoshiokubo 2017 s/s collection (前編)
今月の一大イベントは7月20日に開催されたyoshiokuboのファッション・ショー、2017 s/s collectionに音楽スタッフとして参加したこと。心底、楽しかったです。
*インヴィテーション・カードからしてオシャレ。
yoshiokuboのスタッフさんとは、以前ドラマーの沼澤尚さんがミュージシャン仲間とショーで生演奏をした時以来交流があり、展示会等の度に遊びに行っては話題の音楽の話などしていました。この6月の展示会にはドラマーのYuumiさんを誘って行ったところ、「どんな音楽をやっているの?」という話になり、彼女が生ドラムに加えて、ループや電子パッドを使った演奏をしている話をしたところ、「聴いてみたい」ということに。でもライヴではその手法で演奏していても、音源になっておらず、動画もネットに上がっていないことから、「では、展示会の最終日までに動画を撮って見せに来ますね」と約束。
私はこういう行動は早い方なので、早速Yuumiさんにそのまま自宅に来てもらって大まかな構成を考え、次にスタジオに彼女の機材を持ち込んで動画を撮影、そして再び展示会会場へ。スタッフに見せたところとても反応が良く、「実はいつも9月にやるショーを今回は7月にやるんだけど、そのショーのイメージに合いそう」ということで、デザイナーの久保嘉男さんをはじめとするショーのスタッフにも動画を見ていただくことに。そして結果、Yuumiさんが音楽担当に決まってしまったのでした。これまではスタッフからの提案でミュージシャンやDJが決まっていたのに、非常に珍しいケースなのだそうです。
*その演奏の様子を撮った動画。
Yuumiさんはドラマーとしての実績は十分あり、幕張メッセ規模の大会場で演奏した経験もありますが、たった1人でライヴをしたことはなく(ドラムの独演こそ珍しいですよね)、ショーに必要となる13分を超すような曲を作ったこともなく、ファッション・ショーを実際に見たこともないのが実情。相当なプレッシャーだったと思います。
6月末に久保さん、スタイリストの望月唯さん、演出家の辻井宏昌さんとミーティングしましたが、7月の彼女のスケジュールは既に他の仕事でかなり詰まっていたので、細かい打ち合わせなど私が間に入ることに。ただ私もイベントやライヴのプロデュース、マネージャー経験もあるとはいえ、今回は初めてのファッション・ショー。しかも今回は秩父宮ラグビー場の観客席の通路をランウェイにするため、通常の倍の長さとなり、登場する服もこれまでの30体から40体と多く、またルーパーを使って多くの音を重ねて長時間演奏するとどうしてもズレてくるので、ある部分まではしっかり構成を考えて決めておかねばならず、ショーの構成と音楽のタイミングの照らし合わせ、フィナーレの展開などは、連日直前まで辻井さんと確認し合うことになりました。
*派手な衣装の時にはインパクトの強い音を、と要望が。ルックは本番に向けて3回修正された。
Yuumiさんは好評だった最初に作った音楽のイメージを発展させて3〜5つの波を構成。研究熱心ゆえ、過去の久保さんのショーや服の出順から曲のイメージを膨らませ、またミシンの音をサンプリングするといった遊び心も加えて音を構築していきます。ただ、リハはショーの当日に1回しかできないため、ランウェイを歩く時間が長くなった場合も考えなくてはならず、また辻井さんから「フィナーレはできればドラムだけで全然違うビートにしてほしい」と要望があり、本番2日前にして悩むことに。ちょうど3連休に入り、いつものスタジオが深夜まで空いていなかったり、フィナーレの曲が決まってからも時間配分確認のために全体の動画を撮らなくてはならず、再び夜まで作業が続いたり、また機材を運ぶために遠方のスタジオへ連日自分の車を出さなくてはならず、ここはちょっときつかったですね。
一方で、Yuumiさんが長めのヴァージョンを考えている時に、自分がいいと思ったチャイナシンバル4連打や気持ちいいハイハットをバシバシ入れてもらい(実際は曲が短くなったので披露されませんでしたが)、フィナーレ曲の出だしもホール&オーツの「マンイーター」のイントロが頭に浮かんだので電話口でYuumiさんに聴かせたところ、その直後に入ったスタジオでは、さすがのセンスでアイディアを膨らませてカッコよく完成させてしまっていて。こういう楽しみを満喫できたのは嬉しいです。
そして、当日を迎えました。
続く☞
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