躍動感溢れるダイメ・アロセナの新作で気持ちを上げて☝️
そろそろ桜の開花が期待できそうな休日の陽射しには、キューバ出身のダイメ・アロセナの最新アルバム『キューバフォニア』が似合う。CDのアートワークから想像できるように、躍動感溢れる歌とダンサブルで賑やかな音楽を体感できるからだ。
ダイメ・アロセナの最新アルバム『CUBAFONíA』
彼女の名前を知ったのは、UK発のアシッドジャズ〜クラブジャズ・ミュージックシーンの今や重鎮であるDJジャイルス・ピーターソンが『HAVANA CULTURA MIX:THE SOUNDCLASH!』(2014年)というコンピレーションアルバムにダイメを抜擢したことから。聴けばわかるけれど、アルバムを聴いているとダイメの歌声で必ず耳が止まる。それほど、存在感が違う。昨今のジャイルスといえばキューバ音楽のグルーヴに魅せられ、ハバナ愛から、“ハヴァナ・カルチュラ・バンド”というプロジェクトを結成してアルバムをリリースするほどで、ダイメのアルバムもジャイルスのレーベルBROWNSWOOD RECORDINGSからリリース。日本でもデビュー・アルバム『ヌエバ・エラ』(2015年)が話題となり、同年10月にはピーター・バラカン氏監修の音楽フェスティバル「LIVE MAGIC」で初来日公演を行なっている。
キューバの伝統と革新を象徴すると言われる天才シンガー、ダイメ・アロセナ
2枚目となる『キューバフォニア』は全詞曲彼女の手によるものながら、前作のジャジィなヴォーカル・アルバムと対極を行くような内容で、ビッグ・バンドと共にダイナミクス全開というほど歌い楽しんでいる。1枚目が心を休めるように聴く1枚としたら、本作は太陽の下でエナジーを充電しながら聴くような感じ。古き良き時代から受け継がれてきたキューバの音楽をさらなる変拍子に汲み入れながら、今のキューバの音楽シーンを牽引する若手ミュージシャンたちと大胆に楽しんでいるのが伝わってくる。
ブックレットに「キューバフォニアはキューバのリズムと文化と歴史をめぐる旅。それは私の旅の始まりでもあるの」とダイメが記載しているように、幼少時から音楽に親しんで育ったという、彼女の豊かな音楽要素を網羅した縦横無尽な歌いっぷりは凄い。アフロ・キューバンはもちろんのこと、ゴスペルやR&Bに、ジャズも当然昇華しているし、そこに新世代の音楽を築いていこうとする革新的な姿勢は明らか。特筆すべきはスキャットで「La Rumba Me Llamo Yo」や「Mambo Na’ M À」は圧巻だ(後者の歌い出だしはKTタンストールのループを連想してしまった)。
歌詞は恋愛を歌ったものが多く、その誠実な思いと開き直った時の思い切りの良さ、無邪気な感じはアデルを想起してしまうほど。おそらくビヨンセやアデルは絶対にダイメ・アロセナの歌をチェックしている気がする。
是非、4月から始まる新たな1年を前にして、パワフルで才能溢れるダイメ・アロセナの歌を全身で浴びてほしいです。
5月1日、2日にはブルーノート東京での来日公演も決定!
来日情報はコチラ→http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/dayme-arocena/
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