ご近所さんがこぞって通う、学生街の隠れ家バル。

途中海外で暮らしていた時期をのぞき、早稲田界隈の在住歴10年以上となる編集TAOです。「日本に戻ってきても同じ町なんて、よっぽど早稲田が好きだね」なんてよく言われるのですが、さまざまな事情でこの町から離れられなくなってしまったのでして。正直に言うと、さすがにちょっと飽きたな、なんて思うことも……。そんなこの頃ですが、この町にもう少し住んでもいいかな、なんて思わせてくれる店があるんです。その名も、イタリアンバル「キッチン ブイ」！

「キッチン ブイ」は、高田馬場と早稲田の真ん中あたりにある、こじんまりとしたセンスのいい店。奥にはテーブル席もありますが、カウンター席がメインです。ひとりでも気軽に立ち寄れるアットホームな雰囲気なので、仕事帰りや何の予定もないお休みの日にふらりと立ち寄るのが定番。
この店を介して知り合いになった人も多く、常に誰かしら顔見知りがいる、ご近所さんたちの食堂です（笑）。

居心地の良さもさながら、通ってしまういちばんの所以は、店をひとりで切り盛りする店主が作る料理にあります。無農薬野菜や築地で仕入れた魚など、食材選びには並々ならぬこだわり。新鮮な食材をもとに、驚くようなコンビネーションで提供してくれます。目も舌も楽しませてくれる料理の数々に、料理ってクリエイティブだな、と思わずにはいられません。

メニューは仕入れによるため、日替わりシステム。店主自ら手書きで書いた紙のメニュー表が席に置かれています。今日は何が食べられるかな、なんてメニューを想像するのも楽しみのひとつ。ご近所さんがラインで送ってくれたメニュー表を見て、足が向かうこともしばしば。季節の味覚を使ったレアなメニューがあると聞けば、なんとか仕事を終わらせて行かねば、と思ってしまいます。完全に胃袋を摑まれている状態！日替わりなのでメニューは一例ですが、最近オーダーした絶品料理をご紹介します。

「タコとアボガドのゆずこしょうマリネ」¥900。こちらは定番メニューで、私のお気に入り。しょっちゅうオーダーしています。新鮮な食材を引き立てるシンプルな味付けながら、ゆずこしょうがピリリと利いて癖になる味わい。大きくカットされた、柔らかいタコとアボガドの食感がヤミツキになります。

「北海道産ビーツとオレンジのカルパッチョ 自家製パン付き」¥1,000。じっくりトーストしたビーツとオレンジのマリネに、ヨーグルトソースとフェンネルを添えたもの。鮮やかな色彩で見た目も華やかな一品です。ビーツのほのかな甘みにオレンジとヨーグルトの酸味がもたらす、やさしいハーモニー。苦いイメージのあったビーツですが、この店で食べてからすっかり開眼してしまいました。

ビーツ料理の登場率は高く、ほかにも「ビーツを練りこんだ自家製じゃがいものニョッキ」¥1,000があることも。

「秋刀魚のコンフィ」¥1,300丸ごとコンフィした北海道の新秋刀魚に根菜と梨のマリネ、カボスを添えた一品。この日訪れたのは、これを食べるためと言っても過言ではありません。秋刀魚の旨味にジューシーな梨、シャキシャキの根菜……秋の味覚のベストマリアージュ。心の中で、天才か！っと突っ込みながら、いただきました。

「秩父産黒豆と赤味噌入り自家製パン 豚の角煮と」¥1,200「キッチン ブイ」では、自家製パンもおすすめなんです。黒豆と赤味噌が練りこまれたパンは、絶妙な塩加減でしっかりとした味わい。じっくり焼き上げられた豚の角煮は、口の中でほろほろと溶けていきます。

「サルシッチャトマトクリームソース」¥1,300店主の作るパスタは、ファンの多い人気メニュー。常時数種類あるパスタですが、いつもどれにしようか悩んでしまいます。この日は「サルシッチャトマトクリームソース」をチョイス。濃厚ながらやさしい味わいのトマトクリームソースに、サルシッチャの塩気が絶品です。

ちなみに、「キッチン ブイ」はワインの種類も豊富！お酒に弱い私は「自家製紫蘇ビネガーサワー」¥500をオーダーしましたが、ワイン好きの友人を連れてくると皆喜びます。